北浦和駅より徒歩10分、犬・猫の診療を行う「みんな動物病院」がある。院長の山口健先生は、2012年に同院を継承し現在の院名に変更した。犬用・猫用の待合室と診察室に分かれているのが、同院の特徴だ。継承時、さまざまな人と関わり支えてもらい、獣医師という仕事が好きだと実感したという山口先生。それだけに、「一生懸命やったことは決して裏切らない。だから常に頑張り続ける」と、飼い主の心のケアにも注力し、前向きに病気と付き合えるよう手助けをしている。そんな山口先生に、診療理念や取り組みについて話を聞いた。
(取材日2016年8月5日)
―こちらの医院は前院長から継承したそうですが、経緯など教えてください。
私は継承するまで、県内の動物病院に分院長5年・本院長5年を含めた15年間勤務していました。その病院を退職するタイミングで、当院継承のお声をかけていただいたんです。前院長の松岡信郎先生が急逝なさり、残されてしまったスタッフごと継承してくれる院長を探されておりまして、ちょうどその時期と合った感じです。2012年12月にここを継承させていただいて、もう3年半になります。前院から継続勤務しているスタッフも2名おりますが、彼女たちの方がこの病院では先輩ですから、私の方が小さくなっていたりして(笑)。院長の私が中心なのではなく、皆の力を合わせて盛り上げて行ける職場であるよう、心がけています。
―医院名の由来を教えてください。
私は、この病院が私からまた次の世代へと受け継がれていき、この地にずっと愛され続ける存在にしたいと思っています。先代から私、私から次の誰かへ。その流れの中の「今」を担当しているのが私なだけです。継承するたびに名称が変わると患者さま方を混乱させてしまうので、誰がやっても違和感のない名前をと考えました。そして、そのときのスタッフや患者さま、当院に関わる全ての皆さまから「自分の病院」と思ってもらえるようにと、「みんなの動物病院」と名付けました。
―内装などこだわったポイントはありますか?
ペットは、飼い主さまにとって自分の子どものような存在ですよね。だから、私はその親子がリラックスして過ごせるような、優しく楽しい雰囲気にしてゆきたい。院内には病気に関するポスターは極力貼らないように、医療を連想させる用品類も待合室・診察室には置かないように心がけています。いわゆる「病院っぽさ」を感じさせない雰囲気づくりがこだわりでしょうか。診療対象は犬猫ですが、加えて飼い主さまをどうしたら少しでも楽にしてさしあげられるかを常に考えるようにしています。どうしても重い話をしなくてはいけないケースもありますので、場の雰囲気だけでも明るく保ちたいですね。
―診療時に心がけていることはありますか?
私が心がけているのは、問診の時間をしっかり取ることです。いきなり診察するのではなく、まずお座りいただき、リラックスした状態でゆっくりお話を聞くようにしています。私も患者の立場だったら、病気について詳しく知りたいし、その説明はきちんと伝えてもらいたい。だからこそ、自分自身がきちんと話を聞いて説明する獣医師でいようと思っています。例えば重い病気の子の飼い主さまは、お気持ちが混乱しがちです。その様なときでも、もう一度ゆっくりお話を聞きながら病気の説明を差し上げてゆくと、前向きに頑張ってゆこうというお気持ちになっていただけることがあります。するとほんの少しですが、それだけでその子を症状も変わってきたりとか。冗談みたいな話ですが、そうやって動物を幸せにすることで、飼い主さまも幸せにできたら良いなと思っています。
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