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太田 譲 院長の独自取材記事

新浦安太田動物病院

(浦安市/新浦安駅)

最終更新日: 2023/01/30

JR京葉線新浦安駅から車で約5分、浦安市役所のすぐ近くに位置する「新浦安太田動物病院」。2階建てで、シンプルなレイアウトの待合室には大きな水槽が設置され、院長が捕ってきたという熱帯魚が悠然と泳いでいる。太田譲院長は、「病気やケガに苦しむ動物を救うことはもちろん、飼い主さんの思いや希望に寄り添った治療を」と、院内にはCTも備え、エビデンスだけにとらわれないさまざまな治療を施す。早朝から深夜までの診療時間、ドクター3、4名によるチーム医療など、地域の飼い主のニーズをふまえた親身な診療体制も心強い。「今後は浦安の動物病院全体のボトムアップをはかっていきたい」と語る太田院長に、診療ポリシーや特徴、今後の展望などについて聞いた。 (取材日2016年8月22日)

飼い主の思いや希望に寄り添った診療を

開院までの経緯を教えてください。

当院は1996年に開院しました。麻布大学獣医学部を卒業後、研修医を経て6ヵ所の動物病院に勤務していたのですが、高校生の時からずっと住んでいるここ浦安の地にいつかは開業し、地域の飼い主さんの役に立ちたいという気持ちを抱いていたのです。開院以来、おかげさまでたくさんの飼い主さんに足を運んでいただいています。当院で診療する動物は、犬が7割前後、猫が3割前後といったところでしょうか。その他、フェレットやうさぎを診ることもあります。院内は、2011年の東日本大震災をきっかけに耐震化工事などを行いリニューアルしました。ここから車で5分くらいの所にはCTが置かれた施設もあり、CTスキャンによる診療も行っています。犬を怖がる猫ちゃん専用の診察室も設け、完全予約制で対応しています。

診療する際に心がけていることはどんなことでしょうか?

病気やケガで苦しむ目の前の動物たちを助けることが、僕たち獣医師の使命ですが、ひとつの治療方法だけを無理強いするのではなく、飼い主さんの思いや希望にできる限り寄り添いながらさまざまな方法を提案していきたいと思っています。例えば重い疾患にかかったとしても、何もせずに命が途絶えることを待つのでなく、飼い主さんと相談しながら痛みをやわらげたり、その子のQOLを少しでもあげられるような治療を施したいと思っています。飼い主さんにとって大切な家族の一員である動物と、一日でも長く一緒に暮らせるためのお手伝いをしていけたらと思っています。

さまざまな方法を取り入れていらっしゃいます。

先ほども申し上げましたが、飼い主さんの立場にたって考えてみると、例えば飼っている動物ががんにかかってしまったら、「どんな方法でもいいから少しでも苦しみをやわらげてあげたい」など、わらをもつかむ思いになる方は少なくないと思うのです。最近は「エビデンスに基づく医療」が主流で、「治癒率が低い治療法はそれだけ効果が少ない」と考えられがちですが、だからといって「治癒率が低い治療法は行わない」という考え方には疑問を感じます。飼い主さんのお考えを聞きながら、多様性のある治療法を取り入れ、飼い主さんの「あきらめたくない」という気持ちに応えていくことも必要だと考えています。

動物の健康的な延命をめざす

がんに対して行う治療はどんな研究がされていますか?

まず、がんを治す手術や化学療法が研究されています。また、これでがんが治るというわけではありませんが、がんの再発を予防し免疫力を上げ、健康的な延命がのぞめる方法も研究が進んでいます。なお、がん以外の疾患にもこの方法が期待できるという考え方もあります。その他には、がん細胞を攻撃するTリンパ球を体外で培養、増殖し、それらを再び体内に戻すという方法も研究されています。具体的には、動物の脂肪の一部をとり、いろいろな細胞になれる能力のある幹細胞を培養して再び体内に戻すという方法です。医療の進歩に伴う高齢化などの影響からか、最近は動物もがんが増えてきています。

CTを備えられているのですね。

当院では、動物のより詳しい病変を把握するため、2003年にCTを導入しました。CT検査を行う場合は全身麻酔の必要があります。頭部、胸部、腹部、四肢をくわしく観察することができる機器です。

スタッフの体制や診療時間について教えてください。

当院では、僕をはじめ3、4人のドクターが常駐し、基本的に担当医制で診療にあたっています。手術もほとんどの症例を当院で対応しますが、症状や緊急度によっては随時大学病院を紹介するなど連携体制を整えています。診療時間は、朝は7時から、夜は水曜・日曜以外は21時までと長くとり、早朝や夜の時間帯の受診も可能です。深夜に具合が悪くなっても次の日の朝、会社に行く前に当院を訪れ、安心して仕事に向かうという飼い主さんも多く、感謝の言葉をいただくこともありますね。

浦安エリアの病院同士の連携を深め、ボトムアップを

獣医師をめざしたきっかけを教えてください。

小さい頃から実家で犬、猫、鳥、うさぎを飼っていて、動物が身近にいました。動物が好きで一緒にいたいと思っていたのに加え、医療にも興味があったので、将来の仕事については獣医師以外の職業を考えたことはなかったです。小学校の文集にも、将来の夢は獣医師と書いていました。夢を実現して獣医師になりましたが、動物が元気になっていく姿を見ると本当にうれしいですし、やりがいも感じています。日々の診療においては、若いスタッフと一緒に仕事をすることで、彼らから学ぶべきところもたくさんあります。これからも謙虚な姿勢で動物医療と向き合っていきたいと思います。

お忙しい日々のなか、休日はどのようにお過ごしですか?

開院当初は、診療以外の時間は先端医療の勉強などにあてていました。最近は釣りに出かけています。先日は、千葉県の勝浦に行きました。浅瀬のところで、黒潮にのってながれついた熱帯魚を網でとり、待合室の水槽に放して飼っています。

今後の展望についてはどのようにお考えですか?

獣医師として「個」を優先させすぎると、時には自分自身のこれまでの経験の積み重ねがよりよい医療の妨げになることも、無きにしもあらずだと思っています。浦安のエリアは動物病院が多いので、自分自身の研鑽はもちろんみんなで技術を向上させながら知恵を出し合い、浦安の動物病院全体のボトムアップができるような働きかけをしていきたいと思っています。他の動物病院をかかりつけにしている飼い主さんが、夜間に具合が悪くなって当院に来た場合には、当院で施した治療をかかりつけの病院にしっかり引き継ぎするなど、病院同士の連携も強固にしていきながら、浦安以外の近隣の飼い主さんにも「動物を診てもらうのだったら浦安へ」と思ってもらえるような取り組みを行っていきたいですね。

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