―診療の際に大事にしていることを教えてください。
【井上院長】来院していただいた方には診察をした段階で、治療に関していくつかご提案をするように気を付けています。動物の場合、費用の問題もあります。検査して治療したほうがいいと思っても、それはあくまで獣医師側にとって正しいことであり、飼い主さんにとって正しいかどうかはわからないので、必ずご相談するように心がけています。
【村田副院長】井上先生ともよく話しているのは、飼い主さんの気持ちをくみ取ってあげて、こちらから積極的に聞いてあげようということです。例えば「いくらかかるんだろう」という聞きづらいこともこちらから言ってあげる。選択肢を広げて飼い主さんと一緒に考えていけたらいいねと話しています。
―獣医師の仕事は、動物と飼い主さんの両方に寄り添う必要があるのですね。
【村田副院長】動物と飼い主さんの2方向に向き合うというより、家族としてトータルで見て、どこでどういう方向へ持っていってあげるのが、その子と飼い主さんにとって一番いいんだろうと考えますね。診察は30分とか1時間ですが、残りの23時間は飼い主さんと暮らしているわけじゃないですか。ライフスタイル的にこのお薬を出して飲めるのか、飲ませてあげられのかそこをしっかり把握し、獣医学的にこのお薬がいいのかどうかはもちろん、形状も「粒」がいいのか、「粉」がいいのか、こまかなことまで気を配って処方することも大事だと思います。適切な治療を行うことは絶対条件ですが、その家族にフィットした治療を見つけ、相談して決められればそれが一番いいですね。
―病院に連れてくるのが大変な猫への対応は、どのようにしたら良いのでしょうか?
【井上院長】診察時に病院が苦手で連れてくるのが大変な子だと伝えていただけたら、家でできる健康管理をご提案します。毎回ブルブル震えながら病院へ来るぐらいなら、毎日家で体重を計って、おしっこ、ウンチの記録をつけるだけでもよいでしょう。その上で「体重が1割減ったら病院へ行こうね」とか「1日3回だったおしっこが5回を超えたら病院に来ようね」といった、ちょっとしたコツをご提案します。
【村田副院長】治療のとき、バックヤードに連れて行かず、飼い主さんになるべく一緒にいてもらうようにしています。飼い主さんに声をかけてもらうだけで診察させてくれるようになるので、そういったことは心がけています。猫特有の性質を把握し、猫に優しい診療を提供するガイドラインを示した活動があるのですが、当院もゆくゆくは病院のシステムを、そのガイドラインに沿ったものに調整していきたいと考えています。
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