横浜市青葉区にある「あおばペットクリニック」は2017年開院。明るい陽射しの差し込む開放的なクリニックである。院長の田中泰三先生は、クリニックの雰囲気そのままの、気さくで話しやすい人柄だ。「動物は話すことができませんから、飼い主の方が少しでも疑問に思ったり気になったりすることがあったら、どんなにささいなことでも、いつでもご相談いただけるよう、入りやすいクリニックにしたかったのです」と語る。見逃しのないよう丹念な診察と精密な検査をし、全力を尽くしたいという田中院長に、獣医師をめざしたきっかけから動物医療にかける思いまで、じっくりと話を聞いた。
(取材日2017年5月23日)
―獣医師を志したきっかけを教えてください。
子どもの頃から自宅で犬と猫を飼っていたので、動物は好きでした。けれども獣医師になろうと思っていたわけではないのです。きっかけは高校時代、飼っていたシェパードが亡くなったからです。当時、理系のコースにはいたものの、将来の進路について悩んでいた頃でした。その子は10歳になるかならないかでしたが、僕にしてみれば10代をともに過ごした友達のような存在でした。原因は乳がんで、触ればわかるほどのしこりがあったのですが、気付いてあげられなかった。そんな悔しい思いをしたことで一念発起し、獣医師をめざしました。スタートが遅かったので、勉強は大変でしたけれどね。獣医学科に進んでからは開業医をめざすようになり、卒業後は勤務医として研鑽を積みました。
―開院にあたって、こだわったことはありますか?
誰でも入りやすいように、淡い色使いの内装にしました。入り口を全面ガラス張りにしたのは、明るい空間になるのはもちろんですが、院内の様子がよくわかるので、入りやすいのではないかと思ったからです。例えば「散歩のついでにちょっと行ってみようかな」と思えるような気軽に相談に来ていただけるような雰囲気づくりをめざしました。また検査機器なども、できる限り充実させました。どんなに目が利く医師でも、十分な設備がないと見つけることができませんからね。来院しやすいことと検査機器が充実していること、それが病気の早期発見や早期治療にもつながると考えています。青葉台にしたのは妻が神奈川出身で県内で探そうと思っていたからです。クリニックの前の道路も整備されていて歩道があるので飼い主の方もペットを連れて来やすいと思ったのでここにしました。公園も多くて落ち着いた良い街でしたからね。
―青葉台の飼い主さんの印象はいかがですか?
ペットに対して意識の高い飼い主さんが多いと感じます。健診なども定期的に通っていらっしゃる飼い主の方も多いので、当院でもその一助になればうれしいです。ただ歯のことについてはケアできていないケースが多くあります。飼い主さんに聞くとケアはしておられましたが、うまくできておらず見づらいところは飼い主さんが思っているより悪くなっていることが多い印象です。例えば歯根部の炎症・感染が広がってしまうと上顎の骨を溶かし鼻腔まで穴を空けてしまうことがあります。下顎の骨が長期の炎症によって薄くなってしまったケースや目の下の皮膚に穴が空き膿が出てくるケースなどもあります。そうならないように予防が大事です。歯についてはまだまだ検査が不十分なこともありますし、高齢になってからケアを始めるのは難しいので、専門的に学んできた経験を生かして始め方などについての相談などしていきたいです。
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