三浦由紀 院長の独自取材記事
リーフ動物病院
(渋谷区/参宮橋駅)
最終更新日: 2023/01/22
参宮橋駅から徒歩2分ほどの非常にわかりやすい立地にある「リーフ動物病院」。可憐な笑顔が印象的な三浦由紀院長は、犬猫のほか、うさぎ・フェレット・ハムスターなど小動物全般を診療できるドクターとして、大きな信頼を集めている。モットーにしているのは「ストレスをかけない診療スタイル」。不安や緊張を解きほぐし、ペットの気を巧みにそらしながら丁寧に診察する様子は、お話を聞いているだけでも動物の安心感がよくわかる。動物病院の名前は、三浦院長が好きな海に生息する「珊瑚礁」の英名が由来だそう。「珊瑚礁は海の生物達にとって安らぎの場。この病院も、ペット達にとってそんな場所になるように」という願いをこめた三浦院長に、日々の診療にかける熱い想いを伺った。 (取材日2013年9月9日)
犬や猫のほか、エキゾチックアニマルと呼ばれる小動物全般が治療対象
獣医師をめざしたきっかけを聞かせてください。
幼い頃から動物が好きで、よく多摩動物公園に遊びに行っていました。自宅では犬や小鳥、ハムスターなどたくさんのペットを飼っていて、私がお世話係として、毎日一緒に遊んでいましたね。小学生の頃はうさぎを飼っていたのですが、かなり高齢だったということもあり、何もしてあげることができないまま亡くなってしまったんです。子ども心にとてもショックで、そのときに「獣医師になって、病気の動物を助けたい!」と強く思いました。大学の獣医学部に進んでからは、動物園内にある動物病院での実習に2年連続で参加し、より野生に近いさまざまな動物たちの治療を経験しました。そんな経緯もあって、勤務医時代はエキゾチックアニマルの診療に力を入れて習得してきました。
大学卒業後のご経歴について教えてください。
日本大学を卒業後、2004年まで東京・多摩地区の動物病院に勤務したあと、もっと見聞を広めたいと思い、東京農工大学・動物医療センターへ。2012年まで東京・23区の動物病院でも臨床経験を積んだ後、こちらで開院しました。当院では、犬・猫以外にも、エキゾチックアニマルと呼ばれるうさぎ・フェレット・ハムスター・モルモット・小鳥など、小動物全般を診察対象にしています。最近では特にうさぎをお連れの飼い主様が増えていますね。犬や猫と違い、小動物はより野生に近い性質を持っているため、少々体調が悪くても、症状を隠してしまうことがあるんです。そのため、飼育管理が非常に重要で、それぞれの特性をしっかり理解した上で飼育することが病気の予防につながります。そういった観点から、飼い主様へ飼育の仕方を確認したり知識を啓発したりといった活動も、積極的に行っています。
こちらで開業した経緯と、「リーフ」という名前の由来について教えてください。
この近くに住んでいる知人が、以前、「近隣に動物病院が少なくて困っている」と話していたんです。そのことが頭にあったので、開業する前、さまざまな場所をリサーチしているときにこのあたりを訪れてみたところ、都心に近いながらも緑が多く、閑静な環境が気に入りました。「リーフ」という病院名の由来は、私自身、海が大好きだということにちなんでいます。「リーフ」は英語で書くと“reef”となり、珊瑚礁を意味する言葉。珊瑚礁は海のなかで暮らす生物にとってとても居心地がよいところですよね。そんなふうに、ここへやって来る動物達にとっても居心地のよい空間になれればと思い、「リーフ」と名付けました。
不安やストレスを与えず、動物たちとの信頼関係を育む治療
治療に際し、特に心がけていることはありますか?
人間同様、ペットも病院を受診するときは不安でいっぱいなんですね。具合の悪い動物は緊張したり、おびえたり、興奮したりするケースも少なくありません。そんなときに治療しようとして無理に押さえつけてしまうと、ますます不安とストレスが高まって、症状がさらに悪化してしまいます。そのためこちらでは、力で不動化させる保定をせず、うまく気をそらしながら診察を行うよう心がけ、動物たちとの信頼関係を深める努力をしています。人間でもそうですが、一度、「病院は怖いところ、イヤなところ」というイメージを持ってしまうと、なかなか足が向かなくなってしまうんです。ですから、できるだけ動物たちの気持ちになり、不安やストレスを与えない診療を大切にしています。
診療内容の特徴について教えてください。
爪切りや歯磨き、給餌の方法、しつけなど、日常生活のケアから、大学病院など高度獣医療専門施設へのご紹介まで、幅広く対応しています。また、手術室やICU(集中管理室)も備えているので、手術後のケアや重症疾患の集中治療、隔離が必要な動物の治療なども万全の体制で対応しています。最近、特に増えているのがサプリメントの活用。がんを始めとする難治性疾患にも有効に作用する場合が多く、また、副作用の心配がないため、通常のお薬に加えてサプリメントを併用したり、あるいは、サプリメントだけに切り替えたりするケースが目立っています。実は、私が飼っている犬も脊髄軟化症のため、最近、前足に麻痺が見られるようになったのですが、抗生物質とサプリメントを併用したら劇的に症状が改善し、今では自力で起き上がれるようになったんです。もちろん個体差もありますが、最近のサプリメントは味も改良されていますから「通常のお薬は副作用が心配」という方は、サプリメントの使用を考えるのも一案かな、と思います。
こちらには、ペットホテルやトリミングのサービスもあるのですね。
ペットホテルでのお預かりや、トリミングによるシャンプー・カットは、すべて予約制で承っています。動物病院同様、こちらも犬や猫だけでなく、小動物全般を対象にしているので、これまで様々な種類の動物たちが利用されました。変わったところでは、ねずみの一種で最近人気が出始めているデグーマウスやフクロモモンガなど……(笑)。 なかなかそういった動物を預かってくれるホテルがないということで、インターネットで検索してこちらへ辿り着く飼い主様が多いですね。
ペットと飼い主が、共に幸せであるように。最善の動物医療を実現
最近のペットブームについて、獣医師としてどう思われますか?
犬や猫と異なり、エキゾチックアニマルの飼育はあまり一般的ではないということもあり、誤ったケアにより動物達が体調を崩してしまうケースも少なくありません。最近では、マンションなどの室内でペットを飼う方が増えているため、できるだけ小さく育てようと、あまりエサを与えない飼い主様も多いんですね。しかし、成長期にダイエットをしてしまうと、骨格や筋肉の成長がストップしてしまったり、栄養失調になってしまったりする危険もあります。実際、発育不良でこちらへいらっしゃるペットも多く、そういう場合はサプリメントや注射などで栄養を補給します。飼い主様にとっては、飼育しやすいということはとても大切かもしれませんが、できるだけ自然に近い状態で成長を促してあげることも、とても大切なこと。そういった意識を持ってペットとの生活を楽しんでいただくため、飼い主様には正しいケアの仕方をご案内するようにしています。
先生のプライベートについてお聞きします。どんな趣味をお持ちですか?
開業してからは休日という休日はありませんが、勤務医時代は日帰りでスキューバダイビングに行ってしまうほど、海が大好きなんです。きれいな海を求めて、国内外、あちこち出かけました。日本国内であれば伊豆諸島、海外であればメキシコやカリブ海、パラオなど……。海のなかにいると気分的に落ち着いて、とてもリラックスするんです。水中の生物にも興味がありますし、海の中の世界を見ているだけで、自然と癒されるような気持ちになります。最近はなかなか時間が取れず、スキューバダイビングからずいぶん遠ざかってしまいましたが、またぜひ、時間を作って再開したいですね。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
人間に対する治療同様、動物病院でもインフォームド・コンセントはとても大切なテーマだと考えています。どんな病気でも治療法は一つとは限りませんし、それぞれの個性や体質、病態のレベルなどを総合的に考慮したうえで、最善と思われる道を選択し、飼い主様の同意のもとで治療を進めるのが獣医師としての私の役割だと思います。どんなに重症で、他院の先生から「手術をしないと危険です」と宣告されたとしても、飼い主様が「手術をさせたくない、メスを入れたくない」という場合もあるでしょう。そんなときは、ぜひ、セカンド・オピニオンとして、こちらでご相談いただければと思います。どうしても手術しなければならないのか、他の手段で補うことができないのかなど、さまざまな観点から飼い主様に納得いただける治療法をご一緒に考えていきます。また、そうすることが、動物たちの健康と幸せな暮らしを守る、最善の動物医療なのではないでしょうか。どんなに些細なことであっても、解らないことやご心配なことがありましたら、いつでもご相談ください。