―こちらでは、腹腔鏡手術に力を入れていると伺いました。
腹腔鏡手術は、トロッカーと呼ばれる手術器具を通し、テレビモニターに映し出された画像を見ながらおなかの中で手術を行う方法で、2年半前に導入し、現在では当院の柱になっています。開腹手術では3・4センチの傷口を開けますが、腹腔鏡手術では小さな傷ですみ、小型犬なら3ミリの穴2つ、5ミリの穴1つで可能です。ですから、術後の回復が早く、動物の負担が少ないのがメリットです。傷口をなめることがないので、炎症の心配も少ないんですね。歳を取った動物の場合も体への負担が少なく手術できるので、安心していただけています。当院では、腹腔鏡の避妊手術を行っていますが、開腹手術の場合は1泊の入院が必要なところ、日帰りが可能です。その他、腹腔手術は、膀胱結石や子宮蓄膿症、停留睾丸の治療にも適応します。また、従来は大きく開腹しないとできなかった細胞診も腹腔鏡なら容易にできますので、肝臓や腸の腫瘍が疑われる場合の検査がしやすくなりました。
―腹腔鏡手術は、まだそれほど普及していないそうですね。
そうですね。腹腔鏡手術を行うには技術的な勉強・トレーニングが必要で、モニター機器を配置するため、専用の手術室を作るなど設備投資も必要ですから、導入している動物病院はまだ少ないと思います。当院では、避妊手術を多く手がけることもあり、動物への負担が少なく、飼い主さんに安心していただける腹腔鏡手術をいち早く取り入れました。現在避妊手術は、適用できる場合はすべて腹腔鏡手術で行っており、2年半で約500件の手術を行いました。腹腔鏡での手術の料金は開腹手術よりも高く設定するケースが多いようですが、当院では従来と同じ料金で行っています。
―腹腔鏡以外でも、特徴的な機器や設備はありますか。
機器は一般的なものはすべて揃え、あらゆる検査に対応しています。また、酸素カプセルを設置し、椎間板ヘルニアや骨折の治癒促進にいかしてもいます。椎間板ヘルニアは、人気の高いミニチュアダックスやフレンチブルドッグがなりやすい傾向がありますね。酸素カプセルは術後だけではなく、腰痛がある場合の緩和にも活用できるんですよ。最近ペット用の酸素カプセルのサロンも見られますが、動物病院でならより安心していただけていると思います。
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