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安部勝裕 院長の独自取材記事

安部動物病院

(台東区/入谷駅)

最終更新日: 2023/01/22

「恐れ入谷の鬼子母神」、そして夏の朝顔市で知られる台東区入谷。東京メトロ日比谷線・入谷駅から上がると、「言問(こととい)通り」というメインストリート。その先にそびえ立つ東京スカイツリーをめざして5分ほど歩くと合羽橋道具通りと交わる交差点に。そこを左に曲がって2本目の筋を入ったところ、オレンジ色のクロスラインが目立つ建物が安部動物病院だ。できるだけ“お待たせしない”ことをモットーとしているため、待合室は小さいが、駐車場のキャパシティーが大きく、遠方からの外来の需要に応えている。遠方外来が多いのは、日本に希少な獣医眼科専門医が診療にあたってくれるからだ。その安部勝裕(まさひろ)院長は終始、穏やかな笑顔を絶やさず、インタビューに応じてくれた。その笑顔とともに、お話の中に登場する飼い主を必ず「ご家族の方」と呼ぶことも印象的だ。専門の技術・知識を持つだけでなく、それを使ってどんな診療を行うのか、極力丁寧にその子たちを愛する家族(飼い主)に伝えたい、という強いマインドが感じられる。 (取材日2012年10月30日)

「獣医眼科専門医」の草分け的存在である父の後を継いで

平日はもちろん、毎週土曜日、隔週で日曜日も診療していますね。

当院の場合、この近所よりも栃木県とか福島県とか、車で遠くから来院されるケースが多く、週末に診療しないと、そうした方々が来られないからです。特に土曜日はいつも予約がいっぱいで、1日20件くらい(平日は平均10件程度)診療しています。スタッフは私以外に獣医師が3名、看護士が4名で対応しています。一般診療も行っており、そちらは主にその獣医師たちが診ているのですが、近年は私の専門である眼科の診療件数がぐんと増えています。週末はほとんどがそうですね。ですから個人的に完全な休日を取れるのは、やはり月に2日程度になってしまいますかね……(笑)。

安部先生のような「獣医眼科専門医」は、現在、日本にどれくらいいるのですか?

私は2006年に「比較眼科学会」で資格を取得しました。こうした資格を持っている獣医師は都内で10名いるかいないか……日本全体でもせいぜい20名程度ではないでしょうか。アメリカやヨーロッパなど、海外で勉強してきた方も含めれば、もう少し人数は増えるかもしれません。ただ、いずれにしても動物の目をきちっと診療できる獣医師は、そんなに多くないだろうと思います。

どうして眼科の専門医になろうと思ったのですか?

私の父、つまり、この安部動物病院の初代院長が小動物の眼科の草分け的存在でした。父が当院を開業したのは半世紀以上前、昭和30年代の初め(1955年頃)です。その時代はまだ小動物の臨床がしっかり確立されていませんでした。そこで父は日本で未開拓の診療分野を手掛けようと、眼科治療に取り組んだそうです。私はその父の後を継ごうと高校生の頃から決めていました。そして、1983年に日本獣医畜産大学を卒業した後、昭和大学病院の眼科で白内障手術(人間のための手術)の勉強をして、1989年から当院で勤務を始めたのです。その後、10年あまり副院長として働き、2000年から先代の後を継いで院長を務めることになりました。

子どもの頃は、お父様の仕事を間近に見ていたのですか?

私が小学生低学年の頃、父はまだよく往診をしていたので、幾度かいっしょに連れて行ってもらった記憶があります。毎回、かなり遠くまで行きましたよ。西新井(足立区)とか、八潮(埼玉県)とか……一番遠いところでは、木更津(千葉)まで行ったことを覚えています。おそらく往診先の家の人からお菓子をもらうことが目当てだったのでしょう(笑)。私は特に何か手伝うわけでもなく、ただそこで父が動物を診療するのを見ていただけです。でも、そういう体験があったせいか、大きくなる頃には自分の心の中に獣医師という仕事のイメージと進路が、自然とできていました。

目の病気の予防策は? 早期発見方法は?

ワンちゃん・ネコちゃんたちは目を診察されるのを嫌がりませんか?

検査用の機器は眼球の写真を撮るために光を発するので、それを怖がる子はいますね。また、以前に病院で怖い体験をしてトラウマになってしまっているのか、どうしても嫌がって診察させてくれない子、暴れてしまう子もいます。そういう場合は鎮静のためのお薬を使わざるを得ないこともありますが、大半の場合はスタッフが抑えて保定できます。もちろん、おとなしく診察を受けられる子も少なくありません。これはワンちゃんに関してですが、最近は、病気になった時のことも想定して、病院でちゃんと診てもらえるよう、意識してしつけをする人も増えてきているようです。

目の病気は家庭生活と何か関係があるのでしょうか? 日常生活の中で予防する手立ては?

人間と違ってテレビやパソコンを見るわけではないので、生活習慣は関係ありません。動物の目の疾患は、ほとんどが「遺伝的疾患」です。たとえば今、日本で最も飼育数が多いと言われるトイプードルの場合、「白内障(はくないしょう)」と網膜剥離が最も発症しやすい疾患です。ワンちゃんに関しては、どの犬種にどんな疾患が多いのか、すでにまとまったデータが確立されているので、当院のホームページ上でも紹介しています。最近はどうすればワンちゃんやネコちゃんと楽しく暮らせるかをちゃんと考える人たちが増え、病気の予防のために食事管理・健康管理もしっかりできる家庭が多くなってきました。しかし、残念ながら、生活習慣から起こるものでない以上、目の病気に関しては予防策の立てようがありません。ただ、いっしょに暮らす家族として、異常にいち早く気付き、早期治療をすることで、その子たちの痛み・苦しみを軽くすることは可能だと思います。

目の病気の早期発見のためのチェックポイントを教えていただけますか?

早期発見のためのチェックポイントは、白目の部分が充血していないか? 目やに(分泌物)が多くないか? 目がショボショボしていないか? 目の表面が曇っていないか? 涙の量や頻度が多過ぎないか?……などです。  こうした症状が見られたら、一度、受診してみることをお勧めします。まず最初に行かれるのは、ご近所のかかりつけの先生だと思いますが、通常は目薬をさすくらいの治療しかしません。それだけで治れば問題ありませんが、何日も症状が続くようなら、専門医を受診された方がいいでしょう。また、特に異常が見られなくても、ある程度の年齢になったら定期的な検査を受けることをお勧めしたいです。

ご家族(飼い主)の方とのコミュニケーションが最重要課題

ご家族 (飼い主) の方に対する診療説明はどのように行っているのですか?

目の症状は肉眼ではよく分からないので、写真を撮ってモニター上に映し出し、今、どんな状態になっているのか、あるいは治療・手術などによってどう改善したかを説明し、症状や治癒の過程・結果などを、ご家族の方に把握していただくようにしています。また、説明する際、特に注意しているのは、そのご家族が「一番何を求めているのか」をつかむことです。少し極端な例になるかも知れませんが、緑内障という病気にかかったワンちゃんがいました。これは視覚を失う上に激しい痛みが伴います。そこで、痛みを取るために眼球を摘出するか、見えなくなっていても眼球を残したままにするか、二通りの手術の方法を、それぞれのメリット・デメリットの説明と併せて提案しました。そして、いったんご自宅に戻って、ご家族全員で相談してきてください、と伝えたのです。親子・ご夫婦・ごきょうだいの間で意見が分かれるケースは珍しくないので、緊急性がなければ、そうしてご家族同士で話し合って検討し、意見を統一していただくことにしています。どなたかが納得していない状況で進めてしまうと、後から大きなトラブルに発展するケースもあるので、ご家族の方とのコミュニケーションは、診療と同じくらい大切にしています。

安部先生のような専門医は日本では希少な存在ですが、欧米などではどうなのでしょう?

日本よりも普及しており、なおかつ、非常に先進的です。私は昭和大学で眼科を勉強した後、アメリカの専門医の見学に行きましたが、あちらでは当時(1980年代半ば)から専門医制度が確立されており、一般ときっちり分かれていました。逆に一般の獣医師が眼科などの専門治療を行うと、訴訟問題になるくらいです。現在は年に一度アメリカで行われる獣医眼科専門医学会に出席しています。最新の情報を得られ、とても有益なのですが、そこでお休みを取り、週末を1回スキップしてしまうと、その次の土曜日の診療が大変なことになります(笑)。

福岡にも毎月いらっしゃるそうですが?

眼科を勉強している後輩が福岡にいて、彼の病院で眼科診療をおこなっています。まだ九州には眼科専門医はいませんので、地域での眼科専門診療の普及と将来的に専門医をめざす彼のスキルアップのために月に2回だけですが、福岡へ行くようになりました。また、当院内でも眼科を勉強中のスタッフがいます。若手を育成していくことも大切な仕事だと思うので。

診療する際、いつも心がけていることは何でしょう?

当たり前のことですが、「できるだけ丁寧に診る」ということです。「無理をしない」ということも大切だと思います。件数が多いからと言って無理なスケジュールを組んだり、手早く効率的にやろうなどと考えると、トラブルのもとになりかねません。今後は私のような専門医に求められる水準がますます高くなるでしょうから、手術などに伴うリスク、例えば合併症などに対する説明責任も大きくなってくると思います。当分は「余裕を持って……」とまではいかないかもしれませんが、診察もご家族の方へのインフォームド・コンセントも、とにかく「丁寧に」を心がけていきたいです。

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