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中西章男 院長の独自取材記事

阿佐谷ペットクリニック

(杉並区/阿佐ケ谷駅)

最終更新日: 2023/01/22

JR阿佐ケ谷駅北口から徒歩10分。静かな住宅街の中に「阿佐谷ペットクリニック」はある。入口に続くアプローチには水飲み場。よく見ると足元のコンクリートには犬の足跡。見上げると中西章男院長が飼っていたという白い犬と黒い猫動が描かれた看板。診察室に入る扉のドアノブは猫の後ろ姿。あちらこちらに中西院長の動物への思いが感じられる。口を聞けない動物に変わって飼い主から症状を詳しく聞いて、どのように診断し治療していくのかの過程を丁寧に説明したうえで、いつくかの選択肢からベストな治療方法を選択してもらうというポリシーは開院時から変わることがない。そのポリシーは阿佐谷ペットクリニックに勤務する若い獣医師に引き継がれ、一丸となって診療にあたる。その姿勢が地域の動物と飼い主にホームドクターとして高い評価を受けている。 (取材日2013年12月3日)

動物の高齢化に伴い鍼の診療を導入

阿佐ケ谷に開院されて25年以上経つのですね。 

1981年に日本獣医畜産大学(現日本獣医生命科学大学)を卒業後、同大学院の修士課程、博士課程に進み、フィラリア症や動物の免疫学を研究する傍ら、付属病院の外科に勤務していました。外科では、フィラリア症にかかった犬の心臓から住み着いた寄生虫を取り出す手術などをしていましたね。大学院卒業後、約1年間開業医の先生の下で勉強し、翌1987年に開院しました。今年で26年目になりますが、常にホームドクターとして地域の動物や飼い主さんをサポートしたいという思いでやって来ました。特に一匹(頭)の動物をメインとサブの二人の獣医師で担当し、お休みや他の診療中でもお待たせすることのないような体制で診察しています。人間でも病院で待たされるのはいやですからね。また、2005年には獣医師同士が推薦し合う「頼りになる犬・猫の先生351人の一人に選んでいただきました。選考基準の一つに飼い主の立場に立った信頼のおける診療姿勢があると聞いています。きっとホームドクターとしての経験を評価していただけたのだと思います。

どのような動物や飼い主さんが多いのでしょう?

阿佐ケ谷は庶民的な土地柄ですね。当院に通って来るのは、主に猫や犬です。しっかり飼われているなと思える飼い主さんが多い印象を受けます。私がどんな動物も看たいという気持ちで診療を続けて来たからなのか、ウサギの飼い主さんの間でしっかり看てもらえるという評判が立ち、最近はウサギの診療に通院される方が増えましたね。患者さんの多くは阿佐ヶ谷に住む方ですが、口コミで他の区域からもいらっしゃいます。診療の主訴は一般的な皮膚病や消化器系の病気が多いですが、最近は、人間と同様に動物も高齢化が進んでいることもあって、高齢の動物の診療が増えています。2002年に『車イスに乗ったチロ』で老齢犬を取り上げた本を書いたこともこともあるかもしれません。

鍼治療も手がけてらっしゃるのですね。

老齢犬の診療が増えて来た頃、東洋医学を診療に取り入れる先生が出始めました。当時から治療する動物のツボにレーザーを当てると反応がいいことは実感していましたが、私自身は東洋医学の効果をあまり信じていた訳ではありません。でも、利用できる可能性も考えて、否定する前に一度しっかり勉強してみようと、獣医東洋医学会(現日本伝統獣医学会)の2期生になったんです。10年程前のことです。講義では、人間の鍼灸の先生から、2年かけて鍼灸学の基礎を学びました。その後、足腰や神経に問題があったり、おしっこが出ない尿路閉塞や大腸が動きづらくなったりしている場合の治療方法の一つとして、実際の診療にも取り入れています。鍼そのもので緊張して体がこわばると効果が期待できないので、「痛くないよ。触ってもだいじょうぶだよ」とツボにレーザーを当てることから始め、10ヵ所位鍼を打ちます。そして置鍼をしながら温灸で暖めるのですが、そうすることで鍼を刺した時の緊張がほぐれ、「気持ちがいい」という記憶が動物に残って、次も怖がらずに治療させてくれるようになります。でも、効果がでなかったり性格的に受け入れなかったりする動物もいるので、見極めが大切だと思います。

1日2回のミーティングで治療するすべての動物の症例を把握

どのような病院をめざされているのでしょうか。

以前から総合的な医療を手がけたいと思っていました。人間の総合診療科のような概念を持った動物病院です。何科にかかっていいのかわからない、何が起こっているのかわからないというケースを適切に診断して、当院でできる治療は当院で、外科だったら外科の得意な先生にお願いすることもあります。飼い主さんにそれらを情報として提供した上で選択していただきたいんです。もちろん、飼い主さんが治療方針・方法を選ぶときには、獣医師がサポートして、一緒に考えたいと思っています。飼い主さんが飼っている動物に何が起こっているかをしっかり知っていただくこと、説明して理解していただくことが私のポリシー、方針です。当院にはそれに賛同し、実践できる先生に集まっていただいています。

勤務されている若い先生方に院長の思いやポリシーをどのように伝えているのでしょう? 

当院のカルテを見ていただくとわかるのですが、「何でもかんでも」「あれもこれも」「いろいろ」「すべて」気がつくことはすべて書いています。デジカメで取った写真も貼っています。治療する動物に何が起きたかをしっかり把握するために記録しているんです。だから厚いでしょ(笑)。 例えば皮膚病にかかったとしても、1年前のことだと飼い主さんも忘れちゃっています。でも記録を残しておくことで、前と比較して良くなっているとか、悪化しているとかお話しできるし、判断できます。私が大切に思うのは、何が起こってどうなっていくのかという過程です。算数でも解答だけではなく、式を書かせるでしょ?過程を記録してあるから、 飼い主さんに「こういう症状があって、こういう根拠で、こういう病気の可能性があります。こういう検査をして、こういう治療をしていきましょうと提案できるんです。当院の獣医師はみんなそうしています。

若い先生方の成長をどうご覧になっていますか?

10年位前までは、大学を出たら開業することを目的に、当院のような開業医の下で勉強してその後独立するという人が多かったように思います。しかし最近は男女問わず、勤務医として長く勤務してくれる先生が増えていますね。当院に勤務していただく先生には、実際に仕事を始める前の段階で、私のポリシー・方針をお伝えし、しっかり実習していただきます。それを理解、納得してもらったうえで最低3年は勤務していただかないと、私も十分な指導ができないからです。また、当院はふだんから午前午後の1日2回、ミーティングの時間を持っています。それぞれの時間帯に、どんな症例があって、どんな治療をしたかを確認し合い、わからないことがあれば全員でディスカッションするんです。自分が担当した動物について報告することで、記憶に残るようにもなるし、相談されたことを私だけが回答するのではなく、みんなで考えます。私が見落としているようなことを指摘してもらえることもあります。また複数の先生でチェックすることで、ミスを未然に防いだり、考えが足りないところをできる限り少なくしたりすることもできますからね。実際に自分が担当していない症例をこのミーティングで疑似体験できるメリットもあります。

ペットにとって、飼い主にとって、ベストな治療方法を提案

どのようなきっかけで獣医師をめざされたのですか? 

先ほどもお話しした私の著書『車イスに乗ったチロ』の中にも書きましたが、中学時代に飼っていたクーという名前の雑種犬を飼っていたんです。当時私は京都に住んでいたのですが、元の飼い主が引っ越して、置き去りにされ、ノラ犬になったクーは、最初はエサをもらいに現れていたのですが、だんだんその頻度が増え、いつの間にか我が家の一員になっていました。私には記憶にないのですが、「中学時代に言っていたとおり、獣医になったんだね」と当時の友達は言っているので、クーとの出会いが獣医師をめざすきっかけになったのでしょう。クーはその後14年間、京都から東京へ引っ越した後も、私と多くの時間を一緒に過ごし、たくさんのことを教えてくれました。今の私の診療の根底には、ク―との生活があります。当院のマークにいる白い犬は、実はクーがモデルなんですよ。

どんな休日を過ごされているのでしょうか?

モータースポーツ、楽器演奏、それから動物とあそぶことかな。モータースポーツは昔から好きだったので、開業して余裕ができたころからレーシングカートを始めたんです。今は車でサーキットを走ることが多いです。休日には筑波や富士、茂木あたりまで足を伸ばして走っています。それから最近、友達に誘われてエレキギターを始めました。月に3回習いに通っています。バンドを組もうにも、友達も私もみんなエレキギターだから無理ですね(笑)。そしてクーが死んだ後も我が家にはずっと犬がいます。クーもそうだったけど、我が家の犬達は不思議とみんな長生きで、今いる犬も高齢なんですよ。

最後にドクターズ・ファイルの読者にメッセージをお願いします。

一番身近でペットに接しているのは飼い主さんです。動物の日常の様子をよく見ているからこそ、小さな変化にも気付けるんです。どんな些細なことでもかまいませんので、飼い主さんが感じられた違和感や状況をできるだけ正確に獣医師に伝えてください。飼い主さんとのお話が、治療やその後の経過につながっていくんです。また、「痛い治療はしないでほしい等、飼い主さんが動物にどうしてあげたいかを遠慮せずに伝えてください。そうすることで、私たちの持っている選択肢の中から、ペットにとっても、飼い主さんにとっても、一番いい治療方法が提案できるのです。いつも、飼い主さんが選択するときの支えになりたい、どうすることが動物にとって一番がいいのかを一緒に考えさせていただきたいと思っています。

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