五島 朗 院長の独自取材記事
ごしま動物病院
(江戸川区/平井駅)
最終更新日: 2023/01/22
JR総武線平井駅南口から徒歩5分。賑やかな駅前通りを少し入った住宅地の一角にある「ごしま動物病院」。この地で40年続く動物病院を、2年前に先代の父から引き継いだ五島朗院長。スラリとした長身と爽やかな笑顔が好印象な五島先生は、一度は一般企業に就職した後に、35歳で獣医学部へ入学して獣医師になったという異色の経歴を持つ。「社会経験を積んでから獣医師になって良かった」と語るとおり、そこで培った柔和で臨機応変な対応と、気さくな人柄が魅力だ。地域密着の動物病院として「一日も早く父に近づきたい」と熱く語る五島院長に、これまでの経緯や今後の展望について話を聞いた。 (取材日2017年1月18日)
一般企業での社会経験を経て、獣医師になる夢を実現
2年前に医院を継がれたとのことですが、これまでのご経歴を教えてください。
小さい頃から父を尊敬していて獣医師になりたいと思っていたのですが、夢叶わず別の道を歩むことにしました。それで一般企業に勤めることにし、接客業に興味がありましたのでアメリカで大手のコーヒーチェーンへ入社しました。仕事はとても楽しくて、ストアマネージャーとしても頑張っていたんですよ。そこで妻とも出会いましたから、結果として良かったんです。だけど、どうしても心の奥底で獣医師になる夢が諦めきれませんでした。それで35歳で一念発起し、再度大学受験にチャレンジして麻布大学獣医学部に入学しました。卒業後、大田区の動物病院に約3年間勤めたのち、2年前にこの病院を継ぐことになりました。これも全て支えてくれた妻のおかげなので、とても感謝しています。
接客エキスパートな獣医師ですね。
入社前にはワーキングホリデーでカナダに行ったりなど、若さに任せていろんなことをしてきました。異色な経験を持っていることが、今の僕の糧になっているのかなと思っています。文句も言わずに自由にさせてくれた両親には本当に感謝していますよ。獣医師としてはまだまだ経験は浅いですし、父の足下にも及びませんが、接客や対応力は他の獣医師さんよりも得意だと自負しています。コミュニケーションスキルや対応力などを身につけるには、やはり社会経験を積むのが一番ですね。診療においても、「飼い主さんの視点になって考える」ということが自然にできている気がします。ですが獣医師としてのスタートが遅いため、まだまだ覚えることが多くて未熟な面が多々あるので、その点はしっかり肝に銘じて日々勉強しています。
35歳で始めた大学生活はいかがでしたか?
とても楽しかったですよ。みんなは18歳、僕だけ35歳だったんですけど、職場でアルバイトの若い子たちと日常的に接していたこともあり、全く違和感なくスーっと溶け込みました(笑)。学生たち側からは「なんだこのおじさんは?」と思っただろうけど、僕としては学べる喜びが大きくてワクワクしかありませんでした。そんな感じだったので、みんな同級生として次第に仲良くしてくれるようになりました。過去問を見せてくれたり、席を空けておいてくれたり。ここでも前職で培ったコミュニケーションスキルで友だちがたくさんできましたよ。今思い返すと、その後に勤めた動物病院の院長も、40歳で新卒の獣医師が面接に来てビックリしたと思います。だけど本当に親身になっていろいろ教えてくださいました。今でも尊敬して頼りにさせていただいています。
アットホームな雰囲気と丁寧な診療を大切に
ドラマや漫画の舞台のような雰囲気ある医院ですね。
そうですか? そう言っていただけるとうれしいです。もうかなり古いですし、全く新しくしていないので昔ながらのままですけどね。動物病院としても40年以上経ちますし、その前は旅館だったそうで、その当時からそのまま使っていますから。いろいろと直さなければと思うのですが、2年前に父から受け継いだまま、なかなか手が付けられていない現状です。ですが、来院いただいた患者さんの中にも「落ち着く雰囲気でいいね」とか「病院らしく感じない」「動物たちが警戒しない」などと言ってもらうことがあるので、手を加えるべきかこのままにしておくべきか、今のところ悩み中です。
では、具体的な診療内容を教えてください。
犬、猫を中心に、家庭で飼われている動物でしたら全般診療させていただきます。一般内科や歯科診療の他、健康診断や予防医療、去勢・避妊手術なども行っています。いざという時にはベテラン獣医師の父が2階に待機していますし、高度医療が必要と判断したらすぐに専門医と連携をとって早急に対応しますので安心してください。その他、予約制でトリミングやペットホテルも行っています。トリミング前には、健康チェックを必ず行います。皮膚、口腔内、耳道内の診察もしっかり行うため、そこで隠れた病気や怪我などがわかることもあるんですよ。ですからトリミングと合わせて健康チェックもできるということで好評をいただいています。
診療にあたって心がけていることはありますか?
以前勤務させていただいた動物病院院長の「よく話せ・よく触れ・よく見ろ」という教えを心に留め、日々の診療にあたっています。飼い主さんの思いにしっかり耳を傾けるのはもちろんですが、当の動物たちの様子を見落とさないよう、丁寧な診療に努めたいです。それをふまえた上で、病気を早期発見する予防医療には力を入れていきたいと考えています。この辺りは昔ながらの住宅地なので、住民は年配の方も多く、それにともない高齢のワンちゃん猫ちゃんも多くいます。病院に来院や通院するのが難しくなってしまったワンちゃん・猫ちゃんや年配の飼い主さんへの往診も積極的に行っています。また、いつでも気軽に立ち寄ってもらえるよう、アットホームな雰囲気づくりを心がけています。
地域密着で飼い主と信頼関係を築いていきたい
お休みの日やプライベートについてお聞かせください。
3歳と6ヵ月の子どもが2人いるので、休みの日は子どもたち中心で動いています。2人とも男の子なので、なにをするにも遊び甲斐がありますよ。3歳の息子とは公園によく行くのですが、走り回って動き回って楽しんでいます。妻も現在は産休中なので、家族そろって出がけることがお互いに一番のリフレッシュになっていますね。今は全然行けていないのですが、旅行がとても好きで、獣医師になるまでは長期休みをもらって妻と一緒によく出かけていました。子どもたちがもう少し大きくなって、私も獣医師としてもしっかりしてきたら、また家族でいろいろな場所へ出かけたいなと思います。
今後チャレンジしたいことはありますか?
現状に満足することなく、もっと勉強して経験値や技術、知識を上げていきたいですね。飼い主さんに不安を与えないために、しっかりとお話を聞き、獣医と飼い主さんとしてだけでなく人と人のつながりとして、良い関係を築いていきたいと思っています。また、地域の飼い主さんのためにも往診は今後も続けていきたいですね。それから、いつか実現させたいのですが、高齢の動物たちのケアや、新しく迎える動物たちのしつけ教室など、いろいろなことが学べる院内セミナーを開催できればいいなと考えています。地域密着の動物病院として、飼い主さんと動物たちの力になっていきたい、役に立っていきたいと強く思っています。
最後に読者にメッセージをお願いします。
いつも思っていることなのですが、具合が悪いな、いつもと様子が違うな、と感じたらすぐに病院へ連れて行ってあげてください。2、3日様子をみてから来られる方がとても多いように感じるのですが、より症状が悪くなっていることが多々あります。動物のちょっとした変化や様子を一番把握しているのは飼い主さんなので気になること、聞いてみたいこと、なんでも構いませんから、気軽に立ち寄ってほしいと思います。爪切り、耳掃除など、どんな些細なことでも大丈夫です。前述のトリミングに合わせての健康チェックも活用してもらえればうれしいですね。気軽に足を運んでもらえる動物病院づくりをめざしていますので、ぜひいつでも相談に来てくださいね。