東京メトロ半蔵門線、都営新宿線住吉駅A1出口から、新大橋通りを西に3分ほど歩くと「動物病院モルム」に行き着く。通りに面した入り口から院内に入ると、そこは燦々と自然光が降り注ぐ明るい待合室。インテリアは白基調にオレンジ色が効果的に映え、ポップな雰囲気が漂う。並べられている椅子もカラフルだ。「病気のペットを連れて来る飼い主さんも元気を無くしていることが多い。そういう時に少しでも明るい気持ちになれるように、ここに来ると楽しいなと思ってもらえるように、配色を工夫したんですよ」と、柔らかい笑顔で説明してくれた桑野悟院長。この地で開業してから30年以上、地域のペットの健康をサポートしてきた。クリニックの特色や診療ポリシー、これまでの道のりまで、じっくりとお話をお聞きした。
(取材日2013年11月19日)
―クリニックの特色を教えてください。
地域密着型であるところが一番大きな特色ですね。街のホームドクターであることを第一に、自分が好きな動物、わかる動物ということで、犬・猫に始まって、ウサギ・ハムスター・小鳥・カメといいうように、徐々に診療動物の範囲を広げてきました。さらに、休診日も設けていません。10数年前までは、土曜の午後と日曜を休診日にしていたのですが、たくさんの飼い主さんに来ていただけるようになって、土曜日は午後の2時とか3時まで診療が終わらず……。休みの次の月曜も、すごく混むようになりましてね。これは分散させないと仕事ができないな、ということで休診日をなくしたんです。そろそろ、休診日を作ってもいいのかなとも思うこともあるのですが、毎日の通院が必要になるケースも出てきますし、患者さんにとっての利便性を考えて、休みの日を作る勇気を持てないんですよね(笑)。
―スタッフ体制と院内設備について教えてください。
普段は、看護師2名と私、という3名体制が基本です。ただ、私は大学と専門学校の教育にも携わっているので、病院に来られない日があるんですね。そのバックアップをしてもらうために、私以外に獣医師3名が非常勤で診療を行っています。院内設備は、赤外線治療器や超音波診断装置、血球検査機や生化学自動分析装置など、私以外の獣医師が診療する上で不足のないよう整えています。院内の間取りやインテリアについては、結構こだわって設計しました。10年ほど前に建て替えをした際、それまでの診療の中でこうなっていると使いやすいな、ということをたくさん盛り込んだんです。診察中に待合室の様子が見えるように、また、スタッフ同士でアイコンタクトが取りやすいように、院内は見通しを良くてあります。
―動物との接し方において気を付けていることはありますか?
飼い主さんのペットという意識ではなく、「自分ちの子」だと思って接しています。ただ、努めてそのようにしているわけではなくて、自然とそうなってしまうものなのですが(笑)。「大丈夫だよ」という声かけから始めて、少しでも安心できる環境を作りたい。動物も分かってくれるんじゃないでしょうかね。診察中に機嫌のいい子をみると楽しくなります。近所に住んでいる飼い主さんが、「うちの子は、病院の前を通るとどうしても入りたがるんだよね」なんて話してくれることもあって、なによりのほめ言葉です。
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