一匹の猫との出会いが獣医師への道を歩むきっかけだったという木本晋一郎先生が院長を務める「きもと動物病院」。2014年1月に開業、JR豊田駅からバスで10分、日野緑地や黒川清流公園の豊かな自然に恵まれた落ち着いた住宅街の中にある、愛らしい外観の動物病院だ。妻で獣医師の根岸真見先生とともに、日々、地域の犬猫の健康を守るために幅広い診療を行い、夜間時や急患にも対応、往診も行っている。温厚な人柄で話しやすい雰囲気の木本先生は、動物愛護活動で知られる山口獣医科病院の山口武雄院長のもとで手術や治療の実績を積んだ。母校の大学病院でも血液内科の研修医として勤務し、内科疾患の治療と予防医学に力を入れている。また、TNR活動という殺処分されるノラ猫を減らすための動物愛護活動に取り組んでいる。「ペットが家族の一員として幸せな社会生活が送れるようお手伝いしたい」と語る木本先生に、診療のポリシーや医療にかける思いを伺った。
(取材日2014年6月18日)
―静かな住宅街の落ち着いた環境にあるクリニックですね。
はい、この辺りは自然も豊かで住みやすい地域です。私の地元は横浜で、獣医師として共に当院を運営する妻は埼玉が実家なので、その中間で開業したいと探し回りました。この日野市多摩平の辺りは、ゆったりと静かで落ち着いた雰囲気で、近くには川が流れ、森のような公園もありますし、2人ともこの環境が気に入って決めました。このあたりはペットを飼っているご家庭も多く、川沿いの道を愛犬の3歳になるコーギー犬の幸ちゃんの散歩をしていると、愛犬を連れて散歩する方とよく出会います。この地で開業して良かったなと思います。自宅は当院の近くなので、夜間の急患など緊急の電話は私の携帯に転送され、すぐにかけつけられる体制になっています。
―病院の特徴を教えて下さい。
診療対象は犬、猫です。ご近所の方が多く、「動物病院が近くに出来てよかった」と皆さんおっしゃいます。予約制ではありませんので飛び込みでも大丈夫です。また、往診も手がけています。飼い主さんが高齢で車のない方などは来院するのが大変なので、病院が落ち着いた時間に往診に伺います。当院には入院施設もあり、犬猫や病気の内容によっても部屋を分けており、安心して預けていただけるようになっています。動物病院や大学病院での勤務医時代、多くの手術を経験してきましたので、手術等、ある程度までの治療は当院で可能です。出産や帝王切開などの手術は夜間も多いですね。さらに高度な治療が必要な場合は母校の麻布大学附属動物病院をご紹介しています。特に大学病院時代は血液内科が専門でしたので、内科診療については検査から治療まで高いレベルの診療を提供するべく力を入れています。
―通常の診療の他に、ノラ猫の保護や愛護活動にも積極的に関わっていらっしゃいます。
当院が行っている「T.N.R活動」とは、Tはtrap(トラップ)つまり人道的な捕獲器でノラ猫を捕獲し、Nはneuter(ニューター)で不妊手術(避妊去勢手術)の実施、Rはreturn(リターン)で元の生活場所に戻すことで、飼い主のいない殺処分されるかわいそうな猫たちをこれ以上増やさないという目的で行われる動物愛護活動です。ノラ猫を媒介としてウィルス性の疾患、白血病やエイズなどが蔓延する可能性があります。不妊手術を行うことにより、病気に感染した猫が生まれるリスクを減らし、病気の蔓延を防ぎます。ノラ猫でも、その地域全体の合意の上で、地域のみんなでお世話・管理をしながら外で飼う地域猫として可愛がってもらえればとの願いもこめて活動しています。当院ではこのT.N.R活動を推奨し、ノラ猫の不妊手術をリーズナブルな価格で提供しています。また、地域の方が保護したノラ猫に飼い主さんを見つける活動も定期的に行っています。元ノラ猫だった子が飼い主さんにかわいがられているのを見ると、幸せになってくれてよかったなと思いますね。
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