都心で働く人々が多く暮らす郊外の住宅地、神奈川県川崎市幸区。エアリーズ動物病院は2014年4月、矢向・鹿島田駅から徒歩15分ほどの、幸区役所近くに開業。大学院で脳神経を専攻、てんかんや椎間板ヘルニアなどの神経疾患の勉強を続けてきた近藤洋五院長と、学生時代に臨床病理を専門に学んできた近藤麻里先生の夫妻が、日々の診療にあたっている。大切なペットの病気に悩む飼い主の本音を汲み取り、無駄な検査を省いて、納得できる最善の治療方法を提案。本当にペットのためになる治療を安心して受けてもらうため、セカンドオピニオンや専門医紹介も積極的に行っている。白と茶色を基調にした落ち着いた雰囲気の、新しいきれいなクリニックを訪問。院長先生が多く経験してきたてんかんや椎間板ヘルニアについても詳しく話を聞いた。
(取材日2014年6月17日)
―クリニックの特徴や開業のきっかけを教えてください。
【近藤院長】僕は大学時代に軟部外科、大学院では神経系の研究を行ってきたので、クリニックとしてもこの分野に詳しいのが特徴でしょうか。現在も東京の母校に通って勉強を続けさせて頂いています。脳神経が障害されると体の一部や全てが動かなくなります。症状は多種多様ですが、神経は生命の根幹で、原因を追究しそれを治療することに興味を持ちました。脳神経疾患の診断を行うには多くの病気を除外する必要があり、トータル的な医学知識が必要になります。研究者として神経専門で研究を行っていくのも良いのでしょうが、他の疾患も幅広くやりたいと思って臨床の道を選びました。卒業して最初に勤めた動物病院が、神経系の得意な院長であり、神経疾患以外にも外科、内科疾患と幅広く経験をさせていただいたという縁もありました。臨床家として経験してきたこと、勉強してきたことをいかしたいと、開業を考えるようになりました。
―神経科として椎間板ヘルニアの診断治療に携わってきたのですね。
【近藤院長】はい。椎間板ヘルニアの症例も多く経験してきました。人間の場合、腰椎椎間板ヘルニアは脊髄終末より下方で起こることが多いため、脊髄本幹から分岐した神経の障害によってしびれなどの症状が出ることが多いようです。しかし、犬や猫は人間と比較して脊髄自体が長く、椎間板ヘルニアを起こすと多くの場合、脊髄の本幹が傷害を受けるため、脊髄損傷となってしまいます。それで、人間よりも症状が重く出ることが多いんですね。多くはありませんが猫にも起こることがあります。
―椎間板ヘルニアというとダックスフンドが連想されます。
【近藤院長】確かにダックスフンドに多い疾患です。3頭飼っていて3頭ともヘルニアということもあります。しかしそれ以外の犬種でも珍しくはありません。椎間板ヘルニアは残念ながら予防法はありません。太らせないことが予防とよく言われますが、遺伝的な素因も強く、痩せていてもヘルニアになる子はいます。段差や階段などは避けることはできても、歩いていて振り向いただけで腰を抜かしてしまうこともあります。しかし予防はできなくても、発見は早いほど良い面はあります。軽症であれば、最初にしっかりとした管理をすれば、手術しないで済む可能性も高くなります。ただし、お薬を使って痛みがなくなることで、普段通りの運動をしてしまうと、一気に悪化してしまうことがあります。そのため、お薬で治療をする場合は運動制限が重要になります。痛みが引いても階段やソファーなどの上り下りはさせず、二本足で立ちあがることも避けることが大切です。
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