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整形外科・腫瘍科・眼科・歯科が連携する 動物のための高齢医療
池尻大橋ペットクリニック
(世田谷区/池尻大橋駅)
最終更新日: 2021/10/12
人間と同様、動物も長寿高齢化が進む昨今。高齢になればなるほど、体の一部分だけでなく全身に何かしらの症状が出てくるのは避けられないこと。“犬と猫のための総合病院”として幅広い診療科目と充実した設備を誇る「亀戸動物病院」では、分院である「池尻大橋ペットクリニック」、「ふなぼり動物病院」と連携し、整形外科・腫瘍科・眼科・歯科それぞれのスペシャリストによる高度な診療を実践している。そこで山田武喜院長をはじめ、腫瘍・がん治療が専門の「池尻大橋ペットクリニック」院長・遠藤美紀先生、眼科が専門の「亀戸動物病院」本庄真奈先生、歯科が専門の「ふなぼり動物病院」院長・町田健吾先生に、各分野での高齢の動物に多い疾患や、連携することのメリットについて聞いた。(取材日2013年10月28日/11月22日)
目次
多かれ少なかれ他科との関連がある高齢動物の疾患。だからこそ求められるのは専門性の高さ
Q.一般診療のみを行う動物病院との一番の違い、メリットは?
A.もちろん当院でも一般診療はしていますが、それに加えて週に1〜2回、曜日ごとに専門的な診療ができるドクターに来てもらうことで、より高度な診断・治療の提供が可能です。それぞれの分野において、他の症例などを用いた、より一層専門性や説得力のある意見を聞くことができますので、患者さんにとっては大きなメリットといえるでしょう。また、各分野ならではの精密機器がそろっていることもメリットの一つ。例えば、歯科でいえば歯科用デジタルレントゲン、眼科では眼底を立体視できる双眼倒像鏡などの機械、腫瘍科であれば、外科手術の際に使用する、ほとんどの腫瘍を短時間で取ることのできる超音波切開凝固装置など、設備にも専門性の高さが表れていると思います。獣医師が腕を磨くことは当然ですが、今の時代は、それに加えていい機械・設備がなければ、動物たちや飼い主さんのニーズに応えられる治療はできません。また当院では、これから獣医界を担っていく若いドクターや学生の方が、各専門分野の診療を勉強するために来られることもあります。こういった点で、医療の連携は患者さんだけでなく獣医師側にとってもメリットになっています。▲「亀戸動物病院」院長・山田武喜先生
Q.高齢の動物に多い腫瘍は何ですか?
A.一般的には皮膚、体表にできる腫瘍が多いです。メスでは乳腺腫瘍、オスでは肛門周囲腫瘍、その他には、肥満細胞が腫瘍化した肥満細胞腫、皮膚に見られる良性の組織球腫などがよく認められます。ただ、これは飼い主さんが見つけやすいことが要因になっている可能性も考えられます。最近では飼い主さんの意識の向上、検査機器や技術の発達により、皮膚がんの一種である悪性メラノーマや、皮膚・食道・子宮頸部などの表皮に発生する扁平上皮癌といった口腔内腫瘍、また、血管の悪性腫瘍である血管肉腫や消化管の腺癌といった腹腔内腫瘍なども増えてきています。これらの疾患は老化が一番の原因として考えられますが、犬種特異性の腫瘍もあるため、遺伝が関与している可能性も。また猫に関しては、白血病ウイルスが一部のリンパ腫へ関与しているといわれている他、喫煙家庭ではリンパ腫の発生率が高いというアメリカでの報告もあります。▲「池尻大橋ペットクリニック」院長・遠藤美紀先生
Q.目と他科の疾患との関連性は?
A.中枢神経系の炎症性疾患である肉芽腫性髄膜脳炎など頭の中の病気の場合、突然失明することがありますし、子宮に膿が溜まる子宮蓄膿症の場合は、全身的に血液に毒素が回るので、目の充血が起こります。それから、歯の影響も受けやすいです。人間と違い上顎洞と目がつながっているので、歯石が溜まっていたり歯根が腐っていたりすると目が充血します。なかなか充血が治まらないとき、口腔もしっかりと診て、歯を治療したら目がすっかり良くなったというケースも少なくありません。高齢期でいうと、圧倒的に白内障が目立ってきます。また、乾性角結膜炎という甲状腺機能の低下によって起こるドライアイも多く見られますね。高齢に限定すると、実は犬より猫のほうが目の病気は多い。特に慢性腎不全からくる高血圧症、それによる網膜剥離がよく起こります。ですから腎不全のある子は眼科でも診たほうがいいし、網膜剥離と診断されたら血液検査をしたほうがいいでしょう。▲「亀戸動物病院」眼科・本庄真奈先生
Q.動物が罹患する歯の病気とその原因を教えてください。
A.3歳以上の犬猫の80%は歯周病に罹患しているといわれています。これは、飼い主さんによる歯磨きができていないことが大きな原因の一つです。人間と同様、犬猫にも歯磨きは必要。そのためには子犬の頃から歯磨きに慣れさせて習慣化させることが一番重要なのです。もちろん、成犬になってからでも遅くはありません。その他、ドライフードなのかウエットフードなのかといった食事による影響、デンタルガムを与えているか、いつも遊んでいるおもちゃの種類など、環境的な原因が挙げられます。また大型か小型か、長頭種か短頭種かなど、犬種、猫種という個体としての違いもありますし、ストレスや全身疾患(糖尿病、ホルモン異常)が、歯周病の悪化因子になることもあります。▲「ふなぼり動物病院」院長・町田健吾先生
Q.内視鏡による検査・治療も有効だそうですね。
A.体に異変がある場合、まずは血液検査やレントゲン検査、超音波検査などを受けていただきますが、病変の部位がお腹の中など直接触れられない場所にある場合、それだけでは確定診断ができないことがあります。従来は、例えば大腸に異変が見つかったとき、手術と同様に開腹しないと診断することができないケースも多くありました。けれども、内視鏡や腹腔鏡による検査や手術であれば、開腹手術と違って体への負担が少なく済みます。また、麻酔をかける頻度を抑えることができますので、老齢動物にとってたいへんメリットが大きいといえるでしょう。また、検査や治療の様子を動画でご覧いただけるので、飼い主さんに病態をご理解いただきやすい点も特長の一つだと思います。当院では、直径6mmと9mmの内視鏡や、3.3mmの膀胱鏡など、数種類の機器を用いた検査・治療に力を注いでおり、太さにバリエーションがあるので、口や耳、鼻の穴、細いものだと尿道や膣からも挿入でき、より広い範囲を精密に検査できます。また腹腔鏡に関しては、主に検査のために使用していますが、最近では避妊手術を受ける犬猫に対して、低侵襲の腹腔鏡手術を積極的にお勧めしています。▲「亀戸動物病院」軟部外科・水本貴士先生
動物病院からのメッセージ
ひと昔前まで動物の寿命は10歳といわれていましたが、現在は15歳が平均寿命になりつつある時代。ですから、10歳を過ぎたからといって年齢のせいにして諦めてはダメ。歩けないなどの症状は、年齢ではなく病気が原因であるほうが多いですので、諦めずに専門のドクターに診てもらうことが大切です。また人間の場合、血液検査などの正常値はだいたい決まっていますが、犬に関しては犬種も大きさもさまざまなので、正常値の範囲が広くなります。従って、非常に大事なのが「その子にとっての正常値」をあらかじめ取っておくこと。5歳になったら定期検診などで血液検査をしておいて、今後の病気を発見するための基礎となるデータを取っておきましょう。
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