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広島 実 院長の独自取材記事

広島動物病院

(世田谷区/池ノ上駅)

最終更新日: 2023/01/22

閑静な住宅街にある「広島動物病院」の広島実院長は、「私は地域の町医者ですから」と謙虚に語るが、東京大学の研修生時代や病院を継いでからの数年間は、最先端の腫瘍治療にも携わったプロフェッショナル。大学病院でもまだ使われていなかった抗がん剤を文献から探し出し、余命2〜3ヵ月の犬を1年延命させたこともあるという。飼い主との信頼関係を大切にし、インフォームド・コンセントやセカンド・オピニオンの重要性も説く。多くの飼い主に携帯電話番号を教え、外出時でも急患の知らせが入ると病院に駆けつけるという広島先生に、動物医療の昔と今、子ども時代のエピソード、休日の過ごし方などさまざまなことを伺った。 (取材日2012年3月15日)

小学生の頃から獣医師の父を手伝っていた

獣医師になったきっかけを教えてください。

父が獣医師だったので、幼稚園の頃から往診について行ったり、小学生の頃は手術の手伝いもしていました。ですから、小学生時代から獣医師になりたいと思っていました。小学4年生の頃、自分と同じ年齢の飼い犬が死んでしまったときは、泣きながら「僕が獣医だったら治してあげられたかもしれない」と思いましたね。ただ、中学、高校の頃は反抗期だったのでしょうか、それほど獣医師になりたいと思っていたわけでもなく、両親も獣医師になれ、ということはありませんでした。なので高校3年の親子面談の時、「獣医大学に行きたい」と言ったら両親は驚いていたのが印象的ですね。

実際に獣医大学に入って、勉強は興味深いものでしたか?

大学の実習で、当時は牛など大きな動物が多く、小動物に触れる機会はほとんどありませんでした。それもあり、大学を卒業したらJRA(日本中央競馬会)に就職したいと思っていたのですが、落ちてしまいました。結局、東京大学の大学病院の外科で2年間研修をしました。同期は4人で、私以外は東京大学出身でした。先生からは、「働いて覚えるしかないから」と、こき使われましたよ(笑)。外科で診察・治療したのは、腫瘍が多かったです。当時は東大が最先端の治療を行っていたのではないでしょうか、日本ではまだあまり使われていない新しい抗がん剤などを使い、非常に勉強になりました。また、ちょうど私がいた頃に、動物用としては日本で初めてCTスキャンが入りました。動物の場合は、CTスキャンの際に麻酔をしますが、その方法からまず議論しましたね。

東京大学の研修後は、どのような診療を行ってきたのでしょうか?

父と一緒に働いたのは1年だけです。その後、東京大学の研修で同期だった友人と7〜8年一緒に診療しました。当時はやる気満々で、まだ使われていない新しい抗がん剤を文献から探してきて使用したりもしていましたね。そんなある日、片足を引きずって歩く犬を診療しました。レントゲンを撮ったら、骨肉腫だったんです。でも、飼い主さんによると、大学病院での診察では「骨肉腫ではない」との結果だったそうです。しかし、再度その犬が私の病院へ来たときには、骨肉腫がひどくなっていて、断脚しかない、ということになりました。その時にはすでに転移もしていて、普通なら余命2〜3ヵ月のところ、新しい薬を使って1年延命しました。最初のレントゲンで、どうみても骨肉腫だったのに、説得しきれなかったことが悔しかったです。あるいは、自分たちから東京大学の大学病院を紹介していれば、飼い主さんも納得してもっと早くに抗がん治療ができたかもしれない、と思います。数年後、大学病院に戻った知人から連絡があり、上記の新しい抗がん剤を使ってみたところ、転移した腫瘍が消えたり小さくなったりしたケースが何例かあったそうです。自分の判断が間違っていなかったことへの安心とともに、あの犬をもっと生かしたかったという気持ちがさらに強くなりましたね。

インフォームド・コンセントとセカンド・オピニオンの大切さ

昔と今で、病気の傾向など違いを感じることはありますか?

特に病気の傾向などに変化はないと思いますが、最近のペットたちは長生きするようになりましたね。獣医療の進歩と飼い主さんの意識の変化が理由でしょうか。昔は、フィラリアで死ぬ犬が非常に多かったんです。今は、犬を室内飼育する方が多いし、フィラリアの予防もきちんとする方が増えました。私が病院で診察を始めて以来、フィラリアで死んだ犬はほんの数頭です。また、検査技術の向上で、皮膚疾患やホルモン系疾患の診断がきちんとできるようになりました。

診察や治療方法には、だいぶ変化があるのですね?

時代の流れで、医療の専門化はますます進んでいます。私も、今は腫瘍をはじめ、他の症例でも、少しでも難しいと感じたら、すぐに専門医を紹介するようにしています。当院でできる範囲はここまでで、専門家に相談するとよりいい結果が得られますよ、と飼い主さんに選択肢を示して選択してもらう、というのが私の仕事。私は地域の町医者だと思っていますから、すべてを自分で抱え込まないようにしています。

最近は、獣医療でもインフォームド・コンセント、セカンド・オピニオンが大切にされているようですね。

私も、手術が必要な時は、手術のメリット・デメリットや、麻酔の危険性をきちんと説明しています。例えば、乳腺腫瘍の場合、腫瘍は1ヵ所ですが片側全部切除します。ですが実際は表面の皮膚をはがしているだけで、お腹を開ける手術より簡単で傷も浅いんですよ、とかね。手術に不安を感じたら気軽にセカンド・オピニオンを、ともお話します。他の病院で股関節脱臼の手術をすることになったけれど、そこのドクターが麻酔の危険性など怖くなるようなことばかり説明するので、悩んだ飼い主さんが私に意見を聞きに来たこともありますよ。死ぬ危険もあると言われると、確かに怖くなってしまうかもしれないけれど、他の獣医師でもその手術をしたほうがいいと思う、と聞くと安心しますよね。悩んだら、隣の病院にでも駆けこんで「どう思いますか?」と聞いてみるといいと思いますよ。

ペット治療の第一歩は飼い主との信頼関係を築くこと

診察・治療の際、モットーにしていることはありますか?

地域の医者として、まず飼い主さんと信頼関係を築くことを大切にしています。病気の動物をなんとかしてあげたいと思っても、飼い主さんが納得してくれなければ治療は前に進みませんから、説明をしっかりすることを大切にしています。治療には飼い主と獣医師の相性も重要です。なかには、私の説明に納得できないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。そんなときには、我慢して診察・治療を受けるよりも他の動物病院に相談されるほうがよいでしょう。そうすることが動物のためにも飼い主さんのためにもると思います。また、重症の場合は患者さんには携帯電話番号も教えて、何かあったらいつでも連絡がとれるようにしています。一度、飲んでいる時に、急病で診てほしいという連絡が入ったこともあります(笑)。本当は酔って診察するのはよくないと思いますが、飼い主さんがそれでもいいというので、急いで酔いを醒まし、病院に戻って診察しましたよ。

休日は何をして過ごされるのですか?

最近は釣りですね。東京湾あたりでぼーっと。どうやったら釣れるかなどを考えていると、ひとりの世界に没頭できて、他のことを忘れられるような、その感覚が好きです。仕事が終わったあとなど週1〜2回は行っているでしょうか。今、病院で保護している川鵜がいるんですが、いつか釣りに行ったら放してやりたいと思っているんです。

読者の皆さんにメッセージをお願いします。

犬でも猫でも、ストレスのない環境で過ごすことが病気予防・長生きの一番の秘訣だと思います。ペットのおかげで人間が癒されているのに、ペットが癒されていないのでは、やはりかわいそうですよね。ペットは言葉を話せないので、飼い主がペットの気持ちになって考えてあげなくてはならないと思います。以前、朝から夕方まで一時預かりすることを数日続けた犬がいるのですが、肝臓の数値がものすごく上がってしまった。それが、飼い主の家へ戻したら、すぐに数値が下がったのです。たまたまかも知れないけれど、ストレスが体調に影響を与えることもあると思います。だから、手術をしても、翌日に歩いて食事ができるような子はすぐ家に帰すようにしています。少しでもストレスをなくすことが、早期の治癒につながると思うからです。ペットと暮らしている方は、一度、ペットの気持ちになって、ストレスについて考えていただけたら、と思います。

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