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体の負担が少なく済みやすい 消化器疾患の診断に重要な内視鏡検査

ヴィータ動物病院

(川崎市中原区/武蔵中原駅)

最終更新日: 2023/12/15

下痢や吐き気、血便などの消化器症状、玩具などの誤飲は、動物を飼う日常で起こり得る事態。犬や猫は言葉で伝えることができないだけに、飼い主の心配も大きくなりがちだ。「基本的に慢性の消化管の病気は内視鏡検査を行わないと確定診断ができません」と話すのは、消化器を専門とし内視鏡検査を得意とする「ヴィータ動物病院」の八巻佳佑先生だ。これまでの経験を生かし、検査時間の短縮や質の高い生検、安全に配慮した全身麻酔の実現に努めている。そんな内視鏡検査のエキスパートである八巻先生に内視鏡検査はどのような場合に行うのか、検査の流れなどについて詳しく聞いた。(取材日2023年11月30日)

体への負担を考え、検査時間の短縮と麻酔前の全身チェックを重視。豊富な知識と経験で取り組む内視鏡検査

  • Q.内視鏡検査はどのような場合に行うのですか?

    A.

    ▲内視鏡検査について研鑽を積んできた八巻先生

    おもちゃなどの異物を飲み込んでしまい、内視鏡検査を実施するケースが多いですね。口から内視鏡を挿入し、胃の中にあるおもちゃを取り除きます。また下痢や吐き気、血便などの消化器症状が長く続く場合も内視鏡検査を提案することが多いです。状態に応じて、口からに加えて肛門からも内視鏡を挿入して検査を行います。ただし症状があるからといって、いきなり内視鏡検査を行うわけではありません。基本的に、まずはエックス線や超音波で腹部の画像検査を実施。そして対症療法では改善につながらなかったり、再発を繰り返したりしたら内視鏡検査をお勧めする流れになります。
  • Q.内視鏡検査では何がわかるのですか?

    A.

    ▲内視鏡は動物の大きさに合ったもので対応する

    消化器症状の原因特定に有用だと考えています。慢性腸炎か腸の腫瘍か、特にこの2つは治療も元気に過ごせる時間も大きく変わってきますから、内視鏡検査で確定診断を行うことが重要です。内視鏡検査では観察だけでなく、怪しい箇所や正常に見える箇所も含めて粘膜組織を採取し、病理の獣医師に組織検査してもらうことで初めて確定診断につなげられるのです。ちなみにこの生検では、診断漏れがないように粘膜を何ヵ所も採取するので、慣れていないと時間がかかってしまいます。また、胃から大腸への細い出口部分に内視鏡の先端を入れる際にも技術が必要です。つまり、スムーズな内視鏡検査をめざすには獣医師の経験がとても重要なのです。
  • Q.内視鏡検査の流れを教えてください。

    A.

    ▲状態に配慮しながら内視鏡検査を実施

    まず内視鏡検査の実施日の1週間前前後に、血液検査とエックス線検査、腹部の超音波検査、血圧測定など麻酔前検査を一通り行います。検査当日の朝はご飯を抜くなど、12時間の絶食が必要です。実施可能と判断したら、静脈点滴をしてしっかり水分を補い、状態の安定を図った上で麻酔をかけていきます。補助的な薬を入れながら時間をかけてゆっくりと麻酔をかけ、呼吸など状態を確認しながら口から内視鏡を挿入。食道、胃、小腸まですべて観察してから病理を採取します。検査時間は30~40分。肛門からも内視鏡を入れる場合は、浣腸を含めてトータルで1時間20~30分かかります。
  • Q.内視鏡検査を受ける動物の体への負担が気になります。

    A.

    ▲麻酔使用にあたり、獣医師のチェックは必ず行う

    麻酔によって寝ている間に内視鏡を入れるので、処置リスクや身体的負担はほとんどありません。麻酔だけは必ず負担やリスクが伴いますが、当院では麻酔前検査をしっかり行った上で内視鏡検査を実施しています。また、内視鏡検査の経験豊富な獣医師が担当するため、短時間で質が高い検査をめざせます。当院では内視鏡検査だけでなく、すべての全身麻酔をかける処置の前に麻酔前検査を行っています。手術前の麻酔前検査は、健康診断と同じぐらいしっかり行うよう心がけていますので、飼い主さまにとって、安心材料の1つになると思います。ちなみに検査後は、麻酔から覚めて1時間ぐらいで帰れる状態になる傾向があります。
  • Q.内視鏡検査後の注意点や日頃のアドバイスを教えてください。

    A.

    ▲検査後の過ごし方についても丁寧に指導している

    検査後は少し様子を見て、まずはお水をあげてからご飯をあげてください。病気やその時の体調にもよりますが、基本的に検査を受けたその日からご飯を食べられるでしょう。ただ、ご飯とお水の量に注意していただきたいです。いつもより少ない量を食べさせてください。誤飲を防ぐためには、飲み込みやすい物を動物が届く範囲に置かないことが重要です。口にくわえてしまっても、慌てずに気を散らすなどして、驚いて飲み込ませないように対応しましょう。また、病気の予防のためには普段から健康診断を受けることが大切です。6歳を超えてくると病気の発症率が高まる傾向があるので、健康診断の頻度を増やし、予防につなげていただけたらと思います。

動物病院からのメッセージ

八巻佳佑先生

普段の様子とは異なる症状、特に下痢や食欲低下などの消化器症状がある、一般的な胃腸炎の治療をしても良くならない、再発を繰り返す、体重がどんどん落ちているなどがあれば、内視鏡検査の実施をお勧めします。吐き気や下痢などはよくある症状ですが、原因は軽い胃腸炎から重く慢性的な胃腸炎、腸の腫瘍までさまざまです。まずは健康診断などの際に腹部の超音波検査をしっかり行い、必要に応じて内視鏡検査に進みます。当院では、この一連の流れがワンストップで行えます。また高い技術を生かすことで、高品質な生検や、内視鏡検査時間と麻酔時間の短縮を期待できるのです。何か心配な症状があれば、気軽にご相談ください。

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