西平英司 院長の独自取材記事
板橋中央どうぶつ病院
(板橋区/千川駅)
最終更新日: 2023/01/22
千川駅から徒歩6分ほどの場所にある「板橋中央どうぶつ病院」。犬、猫の診療を中心に、一般診療に加えてがん治療、ペットホテル、トリミングまで、幅広く対応している。「飼い主さんと動物の幸せを最優先に考える医院にしたい」と語る西平英司院長は、日本獣医がん学会認定医であり、ワシントン州立大学や東京大学付属動物医療センターなどで経験を積んできた。閑静な住宅街で歩道も広く、ペットにとっても安心・安全なこの土地を開業場所に選んだという。木目を基調とした内装やペット同士が接触しないようにと、広くゆったりと設計された同院は「なるべく家に近い雰囲気に」という院長の配慮の表れだ。院長の柔和な人柄に接すると、ペットはもちろん飼い主も緊張がほぐれ安心して何でも相談できそうだ。いよいよ開院が間近に迫り、動物診療への思いやクリニックの展望についてなどを伺った。 (取材日2015年2月12日)
がん認定医のための勉強で、診断と治療の幅が広がった
獣医師を志したきっかけを教えてください。
中学生のときにヨークシャテリアを飼っていて、その子が乳腺腫瘍(しゅよう)になって脳にも転移して死んでしまいました。そのときの悲しみとともに、もっとどうにかできなかったかなという無念の思いが原点にあります。それから実家が動物病院だったというのも大きいですね。小さい頃から動物と接する機会が多かったですし、自然に獣医師という職業に興味を持つようになりました。父はとにかく仕事熱心で、診察時間外でも手術を頻繁に行ったり、夜間に診察をしたり、ご近所の皆さんからも信頼の厚い獣医師でしたね。そういう父を間近に見て、幼心に「お父さんのようになりたい」と尊敬していました。兄も同じ思いだったのか、獣医師になったんですよ。
どのような学生時代を過ごされましたか?
獣医師になるための勉強や臨床経験の他に、一生の友達だと思える人たちに巡り合えたことが、自分にとっては大きかったですね。学生時代は時間があれば6〜7人のグループでいつも集まっていて、一緒に川に行ったりキャンプしたり、温泉に行ったりしていました。このたび開業するにあたっても友達が助けに来てくれたんですよ。反対に先に開業している友達の内覧会のときには、僕がお花を運ぶ手伝いをしたり。今でもプライベートで交流が続いているかけがえのない仲間です。
日本獣医がん学会認定医の資格をお持ちなのですね。
2013年に日本獣医がん学会獣医腫瘍科認定医を取得しました。学生時代に臨床をしていると、腫瘍の症例がかなり多いんだなと感じて、興味を持つようになったんです。それに獣医師の場合、何科何科と分かれている訳ではないので、自分にとって何か強みがあった方がいいのかなと思っていたことも動機です。その強みを資格という形にしたくて勉強しました。試験前の追いこみの半年間は「何が何でも、がん認定医の資格を絶対取ろう」と、毎日仕事が終わった後に猛勉強を続けました。休みの日も7時間くらいは試験勉強していましたね。資格を取れたことはもちろんですが、自分にとっては知識が深まったことで診断のバリエーションや治療の幅が広がったことが、一番良かったです。病状を診て、積極的な治療をしても負担になるだけならしない方がよいとか、「攻め」だけでなく「引き」も覚えたことは大きかったですね。
すべては動物と飼い主の幸せのために
人間と同じように、動物でもがんは早期発見が大切なのでしょうか?
そうですね。早期発見のために予防には力を入れています。残念ながら、がんになる動物はとても多く、犬なら小型犬種も大型犬種それぞれになりやすい腫瘍があるんです。多くの飼い主さんが行う避妊や去勢はがんの最大の予防で、乳腺や卵巣の腫瘍や、精巣の腫瘍などの発生率をわずかにすることができます。動物の腫瘍・がんはとても多いので、飼い主さんも定期的な健康診断を受けられたり、総合栄養食の餌を上手に活用したりしていただきたいですね。それから、がんではありませんが、歯石の除去も行っています。特に犬は口の中にしこりができることが多いのですが、それは歯石がずっと歯についていて、それが慢性的な炎症になっているというのが一つの原因になっているのではと考えています。犬は基本的に歯磨きをしませんしね。
診察をするときに心がけていることを教えてください。
動物と飼い主さんの幸せを一番に考えています。そのことを根本に据えて、両者の幸せのために自分は何ができるのかという姿勢でいます。実際の診療では、動物の場合は人間のように症状や違和感を訴えることができないので、視診・触診・身体検査をしっかり行って、動物たちの思いをくみ取れるように最大限努力しています。今は動物の医療でも予防の観点から検査を重要視していますが、私の場合、それ一辺倒にはならないように気を付けています。というのは当たり前のことですが、動物というのは生き物なので必ずしも理論に当てはまるわけではありません。犬や猫自身の状態と飼い主さんの状況、頻繁に連れて来られるのかそうじゃないのか、治療にかかる費用のことも、そういうこともすべて考えて総合的に判断したいと思っていますし、そういうことができる獣医師になりたいと思っています。単に病気を治すだけじゃなく、動物と飼い主さんの一番の幸せを考えていきたいです。
ペットホテルやトリミングも行っているのですね。
まずペットホテルは「ケージに閉じ込めること」をしない開放的で家庭的な感覚に近いサークルホテルを取り入れています。ケージだと狭くて囲まれていて、檻っぽく・牢屋っぽく見えるのがかわいそうなので。少しでも安心して過ごせるように、床面は布地・タイル地にして家のような雰囲気にしているんですよ。自由に動けますし、天井がないので開放的だと思います。猫の場合は、天井がないとひょいっと飛び出していなくなってしまうので、天井はつけさせていただきますけどね。ひとサークルに1匹にして、なるべくストレスを少なく過ごしてもらえるようにと考えました。トリミングは、25年間、臨床をされていた看護師がトリマーも務めています。動物の知識が豊富なスタッフなので、安心して預けていただければと思います。万が一、トリミング中に急変しても、私はもちろんベテランのトリマーが迅速に対応できる体制を整えています。
ペットにまつわることが1ヵ所ですべて解決できる医院にしたい
休日はどのように過ごされているのですか?
ちょっと恥ずかしいんですけど、勉強が趣味みたいなところがあるので、何かしら勉強をしていることが多いです。リフレッシュしたいなというときは、おいしいものを食べに出かけますよ。事前にインターネットで調べて、友達と食事を楽しんでいます。お気に入りの店に繰り返し通うというよりは、いろいろな店を開拓していきたいタイプなので、これから先もフットワーク軽くおいしいものを探していきたいですね。
今後の展望を教えてください。
将来的には獣医師を増やして、できるだけ多くの動物を診ていきたいです。トリミングやホテルもありますので、ペットにまつわることが1ヵ所で解決できる医院にしたいですね。飼い主さんが悩みながら行こうか行くまいかと迷うのではなく、取りあえず行ってみようと気軽に足を運んでいただける存在になれば私も幸せです。そのためにも、治療費やトリミング代はなるべく抑えた価格設定にしています。飼い主さんだけではなく、犬や猫も怖がらず喜んで来院してもらいたいですね。そのためにも内装をウッド調にして、なるべく家に近いスタイルにしています。できるだけ、おやつもあげたいと考えています(笑)。
最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
当院は飼い主さんと動物の幸せを最優先に考え、サポートしていく病院をめざしています。がん認定医、経験豊富な看護師とトリマー、開放的なサークルホテルをご用意して、幅広く・きめ細かく対応していきます。夜間や救急の対応も行っています。開院して間もないですが、当院ができて愛犬・愛猫との生活がより安心して送れるようになった・楽しくなったと言っていただけるように最大限、努力していきたいと思います。どんなことでもかまいませんので、ぜひお気軽にご相談にお越しください。