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- 齊藤 真男 院長
齊藤 真男 院長の独自取材記事
サム動物病院
(新座市/志木駅)
最終更新日: 2023/01/22
志木駅南口より徒歩1分と好立地にある「サム動物病院」は、1991年7月に開院した25年の歴史ある動物病院だ。駅からの利便性の良さもあり、志木市・新座市・朝霞市の三市から来院する患者が多いそうだ。院長の斉藤真男(まさお)先生は話を聞くことを大切にし、動物たちの年齢・性格・経済状況などから飼い主と相談して治療方法を相談しながら考えていくように心がけている。病名をすぐに決めつけず、さまざまな角度から症状を見て診断することが重要だとしている斉藤院長に、クリニックや診療について話を聞いた。 (取材日2016年3月18日)
患者のニーズに応え、耳内視鏡を導入
この病院について教えてください。
病院名であるサムの由来は、私のイニシャルを文字っているのですが、Small AnimalとMedicineを掛け合わせた言葉でもあります。実は、開業したら病院名はこの名前にしようと、学生時代から考えていたんですよ。開業時は別の場所も候補に挙げていたのですが、幼稚園から中学校まで地元の学校でなじみがあり、タイミング良く物件の空きが出たこともあってこの場所に開院しました。
どのような患者さんが来院されますか?
駅から近いこともあり、大型犬より小型犬を飼う方が多く、最近では猫を飼っているご家庭が増えてきました。獣医療がどんどん変化していて、飼い主さんが動物を飼うことへの意識レベルも上がってきているように思います。犬猫以外では、最近うさぎを連れてこられる飼い主さんがいます。うさぎは、体の異常をあまり表に出さないので、来院した時には重症になっていることもあります。うさぎは、ストレスにとても弱く、胃や歯の病気にかかることが多いんです。食べたものを吐き出せないため、胃に停滞しやすく、歯の不正咬合も起こりやすいんですよ。フェレットやセキセインコなどの小鳥も扱っています。小鳥は、皮膚病・吐き気・元気がないなどの症状が気になって連れていらっしゃることが多いですね。
耳内視鏡を導入されたと伺いました。
耳奥を洗浄するビデオオトスコープを当院で導入しました。これは通常の手持ちの検耳鏡と違い耳の奥を深く広く観察できる医療器具です。耳の内視鏡のようなものとイメージしていただければわかりやすいかと思います。先端にはカメラがあり、耳奥の状態が液晶画面に映し出されますので耳内を深く、広く観察できます。そのため、従来使用されていた手持ちの検耳鏡よりも精度の高い洗浄ができます。この器具の詳しい使用方法などは当院のHPで紹介しておりますので、ぜひご覧ください。
診察時に尻尾で血圧検査を行い多角的方向から病名診断
こちらならではの診療はありますか?
犬や猫は高齢化に伴い、フラつきや失神などの症状を訴えることが最近多いです。猫は甲状腺亢進症を、犬は心臓疾患を疑いますが、こうだという思い込みをしないように注意しています。猫は特に甲状腺亢進症に付随して高血圧が発見されるケースが多く、犬はもともと患っていた心臓病が進行すると低血圧になっていることもあるんです。そうした動物たちの症状もあって、ここ数年は診察時に積極的に血圧を測ることを重視しています。ただし性格上、興奮してしまい1割程度で測定できないケースもあります。また、手術時には、5ミリの血管も凝固して止血するシールドシステムも導入しています。
診療時に心がけていることはありますか?
心がけているのは、話をよく聞くことですね。また、視診・触診も大切にしていますが、その時に思い込みをしてしまわないように気を付けています。病名を決めつけてしまうことで、ほかの原因を見つけにくくなってしまうからです。例えば、ずっと心臓の薬を飲んでいる動物が呼吸が悪くなったとき、心臓病だと思い込まずに炎症の検査をするようにしています。レントゲンでは撮影しても、肺水腫も気管支炎も同じように映し出してしまいます。しかし、血液検査で炎症反応を示すCRP・SAAが高ければ、同じ咳症状でも心臓が原因ではなく、肺にも問題があることがわかるんです。
治療方針を決める時のポイントを教えてください。
人間と動物は違って、同じ病気でも治療方法は個体によって異なります。動物の性格や年齢を考慮し、治療にかけられる費用などもご家庭の事情で差が出てくるものです。飼い主さんと相談し、第一の治療方法を見出せるようにしています。
来院患者が満足できる対応をスタッフ一丸で取り組む
学生時代に印象に残っていることはありますか?
大学2年の夏休みの出来事ですが、北海道の農家へ1ヵ月お手伝いに出かけたんです。牛の出産を手伝わせてもらいました。立ったまま出産する牛から、2〜3人で足を持って引っ張り出すんです。生まれ落ちた後はなかなか動けなかった子牛が、30分ほど経過し徐々に立てるようになる姿を間近で見ました。とても感動した出来事です。
休日はどのように過ごされていますか?
とにかく汗をかいてストレスを発散するようにしています。血圧が少しだけ高めだった時期があり、4〜5年前から月1回のゴルフとジムで体を動かすように意識しています。他業種の方々と知り合うことで幅広い知見を得られるのがゴルフの魅力ですね。診察後も帰宅して食事を終えてから、週に2回程度ウォーキングをして足腰を鍛えているんです。ウォーキングは1回に1時間以上歩くようにしていて、血圧は平常になりました。
先生の理想とする病院像を教えてください。
獣医療は、動物と飼い主さんのためにあるものです。同じ病気でも飼い主さんのニーズはさまざまですので、ニーズに合う治療を提案できるようにしていきたいと思っています。難しい症例でも、大学病院や二次診療機関へ行かなくてもできるだけ対応できる病院を将来的にはめざしたいですね。そのためにも、講習会やセミナーに参加し、日々の診療に役立てるように努力しています。
今後の展望をお聞かせください。
当院のホームページでは、診察・受付・電話応対・トリミングなどの対応について意見を寄せられるようにしています。飼い主さんの声には、いつも真摯に対応するようにしたいんです。受付にも持ち帰り用のQRコードを用意していて、ご自宅からフォームに沿って投稿できるシステムを導入しています。1件不満があると、その10倍以上の方が同じ意見を持っていると、私は思っています。病院をより良くするため、スタッフにもマナー講習などに参加してもらい、情報共有して患者さんの対応に生かしてもらっています。この仕事はサービス業だと思っていますので、来院される患者さんに満足していただける病院づくりをしていきたいと思っています。