髙橋 翼 院長の独自取材記事
府中ウィリアムどうぶつ病院
(府中市/府中駅)
最終更新日: 2023/01/22
府中駅より徒歩5分ほどの便利な場所に佇む「府中ウィリアムどうぶつ病院」。ユニークで覚えやすいネーミングは、院長の高橋翼先生が子どもの頃に住んでいたイギリスで、知り合いが飼っていたダックスフントと同名で呼ばれていたことが由来だという。生まれた頃から動物に囲まれていた高橋院長は、人と動物のより良い関係づくりを志して獣医師となり、あらゆる科に対応できる診療体制を整えている。歯科や眼科、皮膚科などに必要な機械をそろえたり、猫に優しいキャット・フレンドリー・クリニックをめざして猫と犬の診察室を分けるなど配慮している。2016年4月に開院したばかりの高橋院長に今後実現したいプランなどさまざまな話を聞いた。 (取材日2016年5月23日)
内科だけでなく、歯科や眼科などあらゆる科に対応
待合室は広くて明るく、お部屋がたくさんありますね。
明るく広々とした空間を確保することで、開放感や居心地のよさをオーナーさんに感じていただけたらと思いました。また、間仕切りをあまり作らず、ガラスのドアを使用したりすることで、医療の透明性と言いますか、開かれた病院であることを表したつもりです。部屋は、繊細な猫ちゃんのために猫専用の診察室や待合室をご用意している他、トリミング室、レントゲン室、手術室、眼科に使用できる暗室、感染症の隔離室、多頭飼いされている方向けの待合室、奥には猫ちゃん用とワンちゃん用のペットホテルもあります。色々な症状に対応できるよう機械もたくさん導入していまして、歯科の機械、眼科の機械などもあり、ペットホテルには酸素の濃度調節と温度調節ができ、自動で酸素を作る機械もあります。あとは、ご近所にご迷惑がかからないよう、壁に鉛を入れて防音に努めています。
こちらを開院されるまでの経緯について、教えてください。
馬が好きで、競走馬の診療に携わっていました。競走馬ですから、一般の内科というよりは外科や筋肉系の治療が主でした。もっと根本的な原因をしっかり治す医療に携わりたいと思うようになり、都内にある大学の先輩の動物病院に勤め始めました。そちらの動物病院の佇まいは病院という感じではなく、様々な設備があるこじんまりとした空間を広々と見せており、アロマを焚いたりするなど、とてもスタイリッシュで格好いいなと思っていまして、開院するにあたり参考にさせていただいています。とてもいいクリニックだったのですが、いろいろな病院でさまざまなやり方を学びたいと思っていましたので、その後は東京都や神奈川県、埼玉県の動物病院で研鑽を積みました。循環器科や眼科、皮膚科など大学病院で学んだことを実践させていただき、ある程度自信がついたため、開院を決めました。
この地に開院されたのは、どうしてですか?
小学校に入ってから府中市に住んでおりまして、なじみ深い所ですし、地域の皆さんのお役に立ちたいと思ったからです。優秀な先生方がそろっている市ですので、より専門的な診療が必要だと思ったときにはお願いしたりしながら、連携もとりやすくありがたいですね。また、お買い物帰りに寄っていただくなど、いつでもお越しいただける気安さを求めて、駅の近くに開院しました。
犬はもちろん、猫に優しい病院づくりをめざす
クリニックの特色について、教えてください。
ワンちゃんや猫ちゃんの他に、うさぎやフェレットなどの小動物も診ています。代診の鈴木先生が来てくださっているので、院内でのセカンドオピニオンが可能です。当院はあえて担当の医師を決めず、昨日は私が診療したけれど今日は鈴木先生に診てもらうという風にしています。お互いに相談することによって、よりよい医療をご提供できると考えてのことです。固定の獣医に診てほしいという方もいらっしゃるので、なるべくいろいろな先生が診て、その中で先生を選んでいただいても良いのではないでしょうか。理想としては、毎日日替わりで歯科、皮膚科、眼科などの専門分野の先生にお越しいただき、もっとレベルの高いセカンドオピニオンを実現したいと思っています。また、猫ちゃんに優しいキャット・フレンドリー・クリニックをめざしています。
キャット・フレンドリー・クリニックをめざすにあたり、どのようなことに取り組まれていますか?
繊細で怖がりの猫ちゃんのために、専用の待合室や診察室、入院室などをご用意し、ワンちゃんを診た後しばらくは猫ちゃんを診ない、もしくは服を着替えるなど、匂いに配慮しています。また、診察室に入って来た時、まずオーナーさんの方にキャリーケースの入口を向けていただき、私の声を聴いて慣れてから出していただくようにしています。それから、何より猫ちゃんが大好きだと思う気持ちが伝わるよう心がけています。以前飼っていた猫をペットホテルに預けた際、かなり警戒心が強くなってしまったことがありまして。やはり、預け先の環境や扱い方などが大きく影響するということを肌で感じ、なるべくストレスを与えないようにしたいと思います。中には、自分の猫が病院に迷惑をかけるとお思いになって診療を躊躇されるオーナーさんもいらっしゃいますが、「あの病院なら連れて行きやすい」と思っていただけるとうれしいですね。
他に、力を入れている分野はありますか?
トリミングに力を入れていますね。ベテランのトリマー兼看護師が多数おりまして、トリミング中に「皮膚の様子がおかしい」「何か出来物のようなものがある」など気づいてくれます。それらが病気の発見につながることもあり、大変助かっていますね。また、私自身もトリミングに立ち会い、それぞれに合うシャンプーを選んでいます。中でも炭酸泉を使用したシャンプーは、人間用に販売されているものもあってご存知の方も多いかと思いますが、お勧めすることが多いです。溶け込んでいる炭酸ガスが血行をよくし、皮脂などの汚れを分解し落としやすくしてくれるので、健康で艶やかな毛並みが期待できます。おかげさまで、オーナーさんたちからもご好評をいただいています。
地域の動物病院と連携を取り、より良い診療をめざす
獣医師になったきっかけについて、教えてください。
祖父も父も馬の獣医師でしたので、小さいころから牧場で暮らすことが多かったんです。馬が身近な存在であった他、犬や猫、うさぎ、アヒルなども飼っていて、まさに動物に囲まれて育ちました。いずれは動物に携わる仕事がしたいと思い、中でも動物と人との関係をよくするために導ける仕事として、獣医師をめざすようになりました。最初は競走馬専門の獣医師だったことは、先に申し上げた通りです。学生時代には乗馬の指導員などを経験したこともありますし、牛や豚などの診療経験もありますので、ご相談いただけたら診療できると思います。また、うさぎやハムスター、フェレットなどの小動物を診ることもできます。
お忙しい中、休日はどのようにお過ごしですか?
年中無休ですが、代診の鈴木先生にお任せした時は、できるだけランニングなどで体を鍛えたり、お寺やお城などの史跡巡りをしたいと思っています。また、絵画や映画、音楽といった芸術を鑑賞したいですね。医療のことだけでなく他の世界を知ることで視野を広げ、人間としても成長したいと思っています。中には好みではない絵画展のお知らせなどをいただくこともありますが、とりあえず行ってみようと。実際に足を運んでみると、芸術家の作品からいただけるエネルギーってすごいので、“行かず嫌い”になってはいけないなと思いますね。医療にも同じことが言えると思います。この分野は不得意だからと勉強もしないでいるのは良くないので、どんな分野にも対応できるようにしたいと思っています。
今後のクリニックの展望について教えてください。
地域のホームドクターとしてあらゆる科を診ることができ、色々な専門分野の先生に週に一日だけでもお越しいただいて二次診療に近いレベルにしたいと思っています。そして、各専門分野のドクターには一般的な診療を経験していただき、お互いに学び合える環境を作っていきたいですね。また、もっとドクターの数を増やし、24時間体制にしたいですし、繊細な猫ちゃんや他の動物がいると気になってしまうワンちゃんのために時間外診療もできるようにしたいと思っています。他に、動物保護団体さんと連携を取り、治療をしながら新しい飼い主さんを探してあげられるようにしたいと考えています。国家資格をいただいた一獣医師としての使命を果たすために、動物と人にとってより良い未来を探っていきたいと思います。