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- 渡邉 康人 院長、渡邉 美智子 副院長
渡邉 康人 院長、渡邉 美智子 副院長の独自取材記事
モア・ペットクリニック
(江戸川区/篠崎駅)
最終更新日: 2023/01/22
篠崎公園にほど近い「モア・ペットクリニック」は、院長の渡邉康人(やすと)先生と、その妻の美智子先生という夫婦の動物病院。2012年に開業後、犬・猫を中心とした一次診療をメインとしている。大学時代は挨拶する程度だったという2人だが、それぞれ獣医師として尊敬し支えあっていることは、話の端々から容易にわかる。今回は2人に、獣医師を志したきっかけからクリニック独自の取り組み、診察している動物に対し「気になって夜眠れないことがある」という思いの深さ、また院名の意外な由来まで幅広く話を聞いた。 (取材日2016年11月16日)
幼き日の夢を形に
まずは先生それぞれに、獣医師になったきっかけからお聞きします。
【康人院長】少年時代から生き物が大好きで、犬やハムスター、トカゲやヘビ、カエルなどいろいろ飼っていました。獣医師への夢をはっきり見定めたのが、日本大学附属中学2年生の時。それまで獣医師にどうしたらなれるのか分からなかったのですが、日大に「獣医学科」という学部があることを知り、ここに進めば獣医師になれるんだと発奮。猛勉強して、獣医学科に合格しました。 【美智子先生】幼い頃実家で飼っていた犬のもとに、男性の獣医師が往診しに来てくれていました。とにかくじっとしていられず、狂犬病の注射などをする際もとにかく暴れている犬にその先生は「良い子ですね~!」と、女の人なのかしらと思うほどの声でやさしく接してくれていたんです。そんな対応能力の高さに、獣医師という職業に憧れを持ったのがきっかけです。
設備面で工夫しているところがあればお聞かせください。
【康人院長】来院された飼主さまが長い時間を過ごされる待合室を快適にできるように、と開業の準備段階より気にかけてきました。まずワンちゃんと猫ちゃんが同時に入ってこられてもできるだけ距離を取れるよう待合室のスペースを可能な限り広く取りました。その甲斐あって、お昼休みの時間にドッグトレーナーさんを呼んでしつけ相談会などを開催できています。特に繊細な猫ちゃんが来院された際には第2診察室を臨時の待合室として個室感覚でお使いいただいています。他には、ワンちゃんや猫ちゃんも使うことができるウォーターサーバーを用意したり、待合室前方にある大型のモニターで、最近のペットの病気に関するトピックスや当院のご紹介、動物に関する豆知識などを放送する番組などを流しております。カウンター付近には、飼主さまから最近ご相談の多いオーラルケア用のガムやグッズを置いて、気軽に相談していただけるよう工夫しております。
同院の特徴や注力されていることはなんですか?
【康人院長】最近の動物用医薬品やサプリメント、医療機器などの発達は目をみはるものがあり、勤務時代には本当に手を焼いた外耳炎やアトピー性皮膚炎、関節炎や涙やけなどさまざまな疾患に対して近年、画期的なお薬が次々と発売されました。当院は、普段からアンテナを張って、そのような最新の治療法をいち早くご提供できるよう心がけております。また内視鏡やCO2レーザー等の機械を導入し、患者さんに負担の少ない治療が行えるよう努力しております。 【美智子先生】私は特に、歯科や画像診断に興味があり、心臓内科に力を入れています。最近は、ペットの口腔内について以前より関心を持っていただけるようになりました。歯周病や重度の歯石は、内臓疾患にも繋がります。ただし、そのようになってからでは自宅でのケアはなかなか大変ですので、小さい頃からの日々の口腔ケアを積極的に推奨しています。
飼い主にとってのベストな治療を
改めてこちらのモットーを教えてください。
【康人院長】飼い主さまに寄り添う治療を第一に考えております。さまざまな病気があるのと同様に飼い主さまにもさまざまな事情があります。経済的な事情や飼い主さまの体力的な事情、忙しくて頻繁な通院が難しかったり、ワンちゃんの年齢を考えて、あまり積極的な治療を望まれていなかったりすることがあります。そのような時に、飼い主さまのお話をしっかりと伺い、何を求めているのか、何を望んでいるのかということをきちんと共有することを大切にしています。
独自の取り組み、強みを教えてください。
【美智子先生】男女2人の獣医師がいますので、飼い主さまのご希望やその動物に合わせて診察することができます。診察券には、休診日や夜間専用の電話番号が記載されていますので、急な体調不良などにも極力対応させていただいております。この飼い主さまとのホットラインで命が救われたケースも多々あります。トリミングやホテルだけの来院でも健診を行っていますので、ちょっとした体調の変化にも気づくことができ、病気の早期発見につながっていると思います。また、定期的に専門の業者さんに依頼し、床の清掃やワックスがけ、ケージを動かしての消毒、細かな毛などが中に付着しているエアコンのクリーニングなどを行い、清掃を徹底することで臭いや汚れのない院内にしています。
飼い主の方からどんな声をいただきますか?
【康人院長】他院から移ってこられた飼い主さまからは「ようやく言いたいことが言えるようになった」「こんなにも話を聞いてくれる先生はいなかった」といった声を頂戴しています。「以前は診察台の上で暴れて大変だったのに、ここではとても大人しくしている」という意見もいただきます。恐怖心のあまり暴れたり、攻撃性が出てしまいがちだったペットが、当院ではまさに「借りてきた猫」といったようにおとなしくなり、飼い主さまがびっくりされることも多いんです。もちろん、診察・治療の際の動きや声のトーンには最大限の注意を払っておりますが、そのようなお声をいただけるのは動物好きとしては、本当にうれしいですね。
心のこもった2人だからできる診療
お二人は大学時代に知り合ったんですか?
【康人院長】はい。でも当時はすれ違ったとき挨拶する程度でした。結婚したのは2年ほど前、学会で久しぶりに再会したことがきっかけです。 【美智子先生】その頃彼はすでにここを開業していたのですが、院名の由来を聞いたときに衝撃を受けました。実は「モア・ペットクリニック」の「モア」は「より良い」という意味ではなく、彼の勤務医時代のあだ名「モアイ」からきているというんです。学生時代は周囲からは「ナベちゃん」と呼ばれていて、私の中でもずっと「ナベちゃん」だったので……。 【院長】顔が長いことから勤務先の先生方から「モアイくん」と呼ばれ、さらには飼い主さまからも「モアイ先生」と言われていたことが命名のきっかけです。
お互い獣医師としてどう支えあっていますか?
【康人院長】彼女は治療に関して積極的に意見を述べてくれるので助かります。どちらが主でどちらが従、ということはありませんが彼女が治療するときもあります。2人で手術することもあります。いずれにしても1人だけではここまではこれなかったと思います。 【美智子先生】私はどの動物に対しても自分が飼っている子だと思って向き合っていますので、治療となると私のほうが積極的かもしれないですけど、逆に日常生活でも飼主さまのペットのことが心配で、夜眠れなくなったりします。そこの割り切り方は彼に支えてもらっています。 【康人院長】彼女が非常勤の勤務先から帰ってくるときは僕が夕食を作って待っているのですが、腕によりをかけて作った料理も上の空で、「あの子どうなった?」と聞いてきたり、「今から電話しちゃおうかしら」なんて言ってみたり……。思うことは大切ですし必要なことですが、引っ張られすぎないように言い聞かせています。
最後にメッセージをお願いします。
【康人院長】私たちが治療するワンちゃん、猫ちゃんを一番よく見入るのは、他ならぬ飼い主さまです。飼い主さまから見たらとるに足らないと思われるような仕草や症状が、実は重大な病気のサインだったということも本当によく経験します。私たちも普段の会話からできるだけ病気を発見できるように全力を尽くしますが、飼い主さまも「こんなことで……」などと思われずにどんどん相談していただきたいと思います。お散歩の途中でワンちゃんの水飲みに立ち寄っていただけるような気軽な病院を目指しております。 【美智子先生】これからも学会や勉強会に積極的に参加して、日々の診療に生かし、飼い主さまにより多くの選択肢をご提供していきたいと思っておりますので、なにか心配なことや気になることなどなんでもご相談していただきたいと思います。