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高橋和義 院長の独自取材記事

哲学堂アニマルクリニック

(新宿区/落合南長崎駅)

最終更新日: 2023/01/22

都営地下鉄大江戸線落合南長崎駅から徒歩約10分。桜の名所として名高い哲学堂公園にほど近いバス通り沿い、マンションの1階にある「哲学堂アニマルクリニック」。こじんまりとした待合いスペースには、高橋和義院長が「つい集めてきてしまうんです」と語る動物をモチーフとした小物やパネルが置かれており、院長の動物好きな人柄を感じさせる。動物のために、飼い主さんに言うべきことは言うというのが高橋院長の信条。厳しさの奥に動物への深い愛情を持った人だが、そんなのは当たり前と言わんばかりの雰囲気の先生でもある。中学生の頃から獣医師をめざし、30年間に渡ってこの場所で地域の動物たちを見守り続けてきた高橋院長に、獣医師という存在の持つ役割と、診療に対する熱い思いを聞いた。 (取材日2015年4月23日)

大切なことを、時間をかけてでも説明する診療方針を貫く

こちらに開業されたのは何年前になりますか?

開業が1985年ですから、もうかれこれ30年前になりますね。当時この辺りは今よりも戸建ての家が多くて、下見に来てみたらのんびり犬を連れて歩いている方をたくさん見かけたんです。都心に近い割には緑も多いし、大きな公園もあるし、動物と付き合うには良い地域だな、という印象を受けました。動物と付き合うのに良い土地であれば、それは獣医師にとっても良いに違いないと。古くからお住まいの方も多かったので馴染むまでに時間がかかるかなと思っていたのですがご近所の方は皆さん暖かみのある方ばかりで、すぐに地域に溶け込むことができました。今は自宅も近所にあります。

診療されるのはどんな動物でしょうか?

9割ほどが犬、猫ですが、基本的にはなんでも診ます。ただし万能なわけではありませんから、わからないことはわからないとお伝えして、専門の医療機関にかかってもらうようにしています。セカンドオピニオンもどんどん受けていただきたいですね。当院が診療方針として大切にしているのは、とことん飼い主さんとお話しすること。飼い主さんに知り合いを紹介いただくようなときには、「診療時間が長くなるから、待てないならやめたほうがいいよ」と言われているらしいです(笑)。

言うべきことをきっちり言うことが大事なんですね。

はい。でもそれは、飼い主さんが一番言われたくないことを言う、ということでもあります。「そんなに甘やかしてしまうと動物はこうなりますよ」とか「そんなに怒ると動物はこう反応してしまいますよ」とか。飼い主さんは、ご自分のペットに愛情をかけていらっしゃるからこそ、かわいがりすぎたり、逆にしつけで厳しくしたりするのです。飼い主さんからしてみれば、「愛情ゆえのその行動のどこが悪いのか」と思われる方もいらっしゃって当然だと思います。そこを動物の目線で語れる自分が、飼い主さんに納得感を持ってもらいながら説明を尽くすことが大事なのです。飼い主さんも、ペットのことを治してあげたいという思いで来院されるので、「ペットの状態を良くする」という点で、飼い主さんと獣医師の私も一致協力し合えると思います。そこから解決策、着地点を見出した治療を行うことが大切なんだと思います。

ペットに先立たれる飼い主の心のケアも獣医師の仕事

診療に対するこだわりを教えてください。

あまり大きな声では言いたくないのですが……(笑)。休診のときでもクリニックにかかってくる電話は全て私が把握できるようにしてあり、留守番電話の内容を聞いて急患の方にはこちらから連絡して休診でも診療することが多々あります。だから完全に何もない休日はあまりないかな。ずっとこんな感じなので子どもたちがまだ小さな頃にはかなり恨まれましたよ。家族旅行へ行こうにもすぐに戻れる場所しか行ったことがないから、絵日記が書けないって泣かれたり。申し訳ないことをしたと思っています。

そこまで熱心に取り組まれるのはなぜですか?

好きだからでしょうね。仕事と割り切れればそこまでやる必要はないと思うんです。動物をお世話して、病気が治ればすごくうれしいし、死んでしまったら悲しくてしかたがない。相手は人間ではないですから、私の能力が及ばなければどうにかなってしまいます。そこにやりがいを感じるし、だからこそ30年も続けれこられたんでしょうね。飼い主さんもペットも3代目なんてケースもありますよ。

診療に際して特に心がけていることを教えてください。

獣医師の役割とは、ペットが生きている間、そして死ぬときまで飼い主さんのパートナー、助言者、良き相談相手でいることだと思っています。ペットはほぼ飼い主さんよりも先に亡くなります。だからお別れするときに「やれることをやった」という満足感と、楽しい時間を一緒に過ごせたね、という思い出を飼い主さんに残してあげられるかどうかが私たち獣医師の仕事。いざペットの死に目に際してどう振る舞えばいいのか、飼い主さんだけに判断を委ねてしまうと飼い主さんはペットの死に対して責任を感じて心に負担を負ってしまいます。そこで少し俯瞰で見てあげて、こうしてみたら? こういう方法もあるよ? と判断の後押しをしてあげる。ペットの健康を守ることはもちろんですが、飼い主さんの気持ちに寄り添ってあげること。この子はいつか死ぬんだよ、ということを時間をかけてでも理解してもらうこと。そこを大切にしたいと思っています。

特に力を入れている治療法などはありますか?

漢方薬や生薬を治療に取り入れています。悪性腫瘍や皮膚病、中枢神経系の下半身不随などの治療で主に使うのですが、難しいのが、使ってみないとわからないという点。効く場合もあれば、毎日飲ませ続けても効果が出ないこともある。だから飼い主さんに難しい判断を迫ることもあります。でも、効果のあった例を知っている身としては可能性はわずかでもやってあげたいとも思ってしまう。そこはいつも悩みどころですね。それから当院では安楽死はお断りするようにしています。とても残念なことですが、飼えなくなったとか、病気を治すお金がないといった理由で安楽死を望む飼い主さんもいらっしゃいます。そんなときには、「いったんウチで預かるからもう1回考えてみて」とか、「お金は後でもいいからとりあえず治療させて」とお願いするんです。

子ども時代からの思いを胸に、患者と向き合う医療を提供したい

獣医師をめざしたきっかけを教えてください。

きっかけはふたつあります。ひとつめは中学生の頃。レース用の鳩を十数羽飼育していたのですが、ある日鳥小屋に侵入した猫にひと晩で全部殺されてしまったんです。自分の腕の中で死んでいく鳩たちを見ながら、自分はなにもしてあげられないのかと打ちひしがれました。その次は高校生の頃。ドーベルマンを飼っていたのですが、その子がフィラリアに罹ってしまった。その頃はフィラリアの予防薬がまだない時代で、パンパンにふくらんだお腹をさすりながらひと晩中声をかけ続けたのですが、やっぱり死んでしまったんです。それが決定打になって、自分は獣医師として開業すると心に決めました。大学では外科を専攻して、卒業後、先輩のクリニックで勉強させてもらった後に開業に至ったという形です。

どんな子ども時代を過ごされていたのでしょう。

やはり生き物の世話を焼くのが好きな子どもでしたね。虫やカエルを捕まえたり、隠しておいたカマキリの卵がふ化して家中カマキリだらけにしたり。ドブネズミを飼っていたら母親にこっぴどく叱られたこともありましたね(笑)。私の子どもの頃には今のようにおもちゃが溢れているわけではありませんでしたから、身近に存在している動くものを眺めるのが面白くて仕方なかったのを覚えています。あとはものづくりが好きでしたね。動物の小屋を自作したり。その素養は今も生きていて、骨折をつなぐための金具を自作することもあるんです。症状に合わせて、素材や形から吟味してつくったりしますよ。

これまでで印象に残っているエピソードを教えてください。

腎不全を起こした猫の飼い主さんのことが印象に残っています。本当にその子のことを大好きな方で、お母さんが、猫が死んだら娘も死んでしまうんじゃないかと心配されていたくらい。それを3年かけて、いつか看取らなければいけないということを言い聞かせ続けました。最後はきちんと葬儀も行って、猫の死から立ち直ってくれました。そこまで導けたことが、自分としてはとてもよかったな、と。別れ方を共に考え、飼い主さんに寄り添うという自分の役割を実感できた体験でした。

今後の展望と読者へのメッセージをお聞かせください。

今後は、今やっていることをさらに充実させたいですね。飼い主さんにきちんと説明して、納得いただいた上でお互い協力しあいながらペットの最期を迎えられるように導くこと。それから、病気をしないことが一番大切なので、予防診療の提供と、やってはいけないことをきちんとご説明して理解していただくこと。犬や猫も人間と同じで、まだ健康だからといって身体を甘やかしてしまうと、不測の事態が起きたときに大変なことになってしまいます。だから口うるさいと思われてでも言うべきことはハッキリ言い続けたいと思います。読者の皆さんへは、「いつもと違うな、と感じたときには必ず獣医師にかかるようにしてほしい」ということをお伝えしたいです。毎日一緒に過ごす飼い主さんの「いつもと違う」という感覚は医師にはわかりません。もしおかしいと思ったら、そのことをお伝えいただければ私たちはさまざまな可能性を探ってその違和感の理由を導き出します。当院でなくても構いませんから、少しでも違和感を感じたらすぐに獣医師に相談しするようにしてほしいと思います。

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