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中村隆俊 院長の独自取材記事

21動物病院新目白通り院

(新宿区/下落合駅)

最終更新日: 2023/01/22

西武新宿線下落合駅北口を出て徒歩2分。中落合2丁目の交差点を東に折れた新目白通り沿いに「21動物病院」はある。「21」の読みは「ツーワン」だ。ドアが開くと、目の前が診療室。出迎えてくれた院長・中村隆俊先生は、獣医界の異端児といわれるだけあって百戦錬磨の風貌だ。ところが話し始めるととても気さくで笑顔が優しい。「何から話しますか? 生い立ちかな? 僕は京都に生まれてね……」。話し始めたら止まらないユニークな経歴と数々の武勇伝に、取材を忘れて引き込まれてしまった。犬や猫はもちろん、サソリからニシキヘビまで、来るものは拒まずの名物獣医、中村先生。まずは子どもの頃のお話から伺った。 (取材日2012年3月15日)

子ども時代はボーンコレクター!?大学業後は放浪の人生

小さい頃は、どんなお子さんでしたか?

僕の出身は京都で、子どもの頃はやんちゃ坊主でしたよ。鴨川の岸に打ち上げられた動物の骨を拾ってきては、図鑑と照らし合わせて種類を調べ、その骨を自分の部屋に並べたり、ドリルで穴を開けてひもを通し首飾りにしたりしていたんです。祖母が気持ち悪がってね(笑)。僕が拾ってくると祖母が捨ててしまうので、またそれを拾ってくるという毎日を送っていました。子どもの頃から解剖的なことに興味があったのかもしれませんね。動物は昔から大好きでしたよ。いつもそばに犬や猫がいました。今でも大型犬を3頭飼っていて、キングサイズベッドで毎晩一緒に寝ています。

獣医になろうと思ったきっかけを教えてください。

実家の家業は歯科医院でした。幼い頃、毎日たくさんの患者を診察している父の姿を見て育ったんです。そんな影響もあって、僕も医学の道を志そうと思うようになったんです。ただ、一つどうしてもいやだったのが保険の点数計算でした。我が家では母が父を助けて作業していたのですが、それがとてもたいへんそうでね。あれがしたくなくて、人間の医者はやめようと思ったんです。それで獣医になったんですよ。今は時代が変わって、動物の治療にも保険ができてしまいましたが(笑)。人間は医師に対して不平をぶつけてくるけれど、物言わぬ動物たちにはそれがないでしょう。相手を裏切ることもないし。それも獣医を選んだ理由です。動物と人間という違いはあっても父と同じ医学の道に進んだのは、今思えば、やはりカエルの子はカエルなんでしょうね。

大学を卒業後、すぐに獣医にはならなかったそうですね。

まずはイギリスのオックスフォードへ行き、1年ほど研究生として細胞の勉強をしていました。海外への興味があったんです。その後いったん帰国して、今度はミャンマーで2年近く過ごしました。ブラックタイガーの養殖の指導に行ったんです。仕事の合間、現地のVIPに頼まれると、ボランティアで動物の治療もしていました。その後は日本で獣医師会の会長の運転手をしたり、たこ焼き屋さんをしたり……。なぜ大学卒業後すぐに獣医として勤めたり開業したりしなかったのかというと、とにかくなんでも経験したかったんですよ。人生、初めから一方だけを見て進むのは嫌だったんです。さまざまな経験をして視野を広げ、それから行く道を決めてもいいのではないかと。僕のところへ弟子入りしてくる若い獣医たちはみんな僕に似て異端児。なぜか同じような考えの人が集まってくるんですよね。

ある物を工夫して治療に使う。そんなセンスが「爬虫類のお医者さん」につながった

こちらの動物病院を始めたのはいつですか?

僕がこの下落合で動物病院を開いたのは平成元年でした。それ以前も、電話をもらうと往診に行くという移動獣医をしていた時期もあったのですが、いよいよ病院を構えて落ち着くことにしたんです。結婚して娘ができたから。子どもにはご飯を食べさせて、養わないといけませんからね。それがなかったら、今でも放浪してるんじゃないかな。新目白通り沿いのこの場所を選んだのは、周囲から「この通り沿いはどんな店もつぶれる」と言われていたからです。あの頃の獣医はたいてい駅前に医院を構えたものですが、その話を聞いて僕はあえてこの大通り沿いに挑戦したんですよ。病院の名前も「中村動物病院」ではなく、「21動物病院」としました。由来は「21世紀」。常に先を見る獣医でいたかったからですが、実はそれだけではなくて、「ニャン・ワン」にもかけているんですけどね(笑)。

「爬虫類のお医者さん」として有名と伺いました。

別に僕は爬虫類が好きだったわけではないんです。来るものは拒まずで診ているうちに、いつの間にか診療できるようになっていたんです。大学には爬虫類を教える教授なんていなかったし文献もない。自分で治療しながら手さぐりで学ぶしかありませんでした。「治療法のわからない爬虫類をどうやって診たの?」と聞かれるのですが、結局は「センス」なんですね。道具もなければ方法もわからなくて、「はてどうしよう?」となった時にひらめくセンスがあったとでもいうか……。例えば甲羅が割れたカメを治療した時、どうしようかと考えて僕が思いついたのが、サーフボード用のメッシュでした。それをカメの甲羅に貼って、その上からボンドを塗り、甲羅を接着したんです。ネズミの足の骨折を治療した時も、当時は専用の器具なんてない。あの細い足をどうしようと考えた僕は、注射針を切って器具を作りました。そうやって、ある物を工夫して治療に使う。僕にはそれを思いつくセンスがあったんだと思います。今の若い人たちは自分で考えてアレンジすることが苦手ですよね。もっと野蛮に育てたほうがいいんじゃないかな(笑)。

驚くような動物を連れてくる人もいましたか?

あるお笑いグループで、ショーにサソリを使う人たちがいるのですが、彼らのマネージャーが「サソリの毒針を抜いてください」と頼んできたことがあります。抜いてあげたのですが、「3ヵ月したらまた生えてくるから、そうしたら必ず来るんだよ」と注意しておいたのに、それを忘れてしまったんですよ。かわいそうに、グループのメンバーが頭を指されて入院したそうです。あと、体長12〜13メートルもあるニシキヘビがうまく脱皮できず、僕が皮にハサミを入れて、バナナの皮をむく要領で脱がせたこともありました。巻きつかれたらこちらが危険なので、必死でしたよ。困ったのは、「足が悪いんです」と、珍種の巨大ゴキブリを持ってこられた時。昆虫は専門外ですが抗生剤を打ってあげました。魚を持ってきた人もいて、あの時はコイを育てている知り合いに情報をもらって乗り切りましたね。

関節の悪い犬を治療するうち、ペット用の「グルコサミン」サプリメントを思いつく

ペット用の医療食やサプリメントも置かれているのですね。

はい。なかでも「グルコサミン」は、15年ほど前に僕が開発したサプリメントです。年を重ねてくると、どうしても関節を悪くする犬や猫が多かったので、考えたんです。当時は「動物にサプリメントだなんて」と、ばかにされたものでした。その頃動物病院では、関節の悪い動物には注射を打って治療していました。でも僕は、それでは時代遅れだと思ったんです。病院へわざわざ来なくても家で治療できるようにしたかったんです。グルコサミンは関節軟骨を構成する主な成分で、関節症の予防や改善に効果があり、骨折の後などに投与すると治りが早くなります。あるダックスフントが足の関節と背骨を悪くしたのでこれを与えていたのですが、その飼い主のおじいさんも足が悪かったんですよ。「僕も飲んでいいか?」と聞かれたので、「どうぞどうぞ」と(笑)。犬も人も両方飲めるんです。犬や猫が、抱くと痛がったり、散歩を嫌がったり、足をひきずったりしている場合は関節症の疑いがありますから、一度動物病院に見せたほうがいいですね。

診療の際に特に気を配っていることはなんですか?

ホテルのようなサービスを心がけることですね。ひと昔前の医者に多かった、上から目線の尊大な態度はもう流行りません。飼い主さんや動物たちにきめ細かくサービスしないと。例えば雨降りの日にタクシーで来た患者さんには、傘をさして外まで送ってさしあげるとか、動物に対しては、診療台の上に直接乗せずにタオルを敷くとか。ペットを亡くして悲しんでいる飼い主さんも、僕にできる範囲で慰めています。僕自身これまで多くの動物を亡くしてきました。大型動物を飼う機会が多いのですが、彼らはそれほど長生きしなくて、10年ちょっとで死んでしまうんですよね。動物を飼っていれば別れはつきものですから、ペットロスになる人の気持ちもわかります。こればかりは時間が解決するとしか言えない。話をしてあげるしかないんです。なかには何度も電話してきて、電話口で泣いている飼い主さんもいます。もし、どんどん気持ちが落ちていくくらいなら、新たに動物を飼ったほうがいいのかもしれませんね。

飼い主さんへのメッセージをお願いします。

この周辺は新宿に近いこともあって、一人暮らしで犬や猫を飼っている若い女性が多いんです。彼女たちのなかには、こちらが治療しようと思って「体を押さえてください」と助けをお願いしても、「いや〜!」と尻込みするばかりで、できない人が少なくないんですよ。自分が飼い主なのに(笑)。動物が欲しがるだけおやつを与えておいて、「ドッグフードを食べないんです」と言われても、それはあたりまえ。病気になっているのに気づかず、手遅れになってから病院へ連れてくるケースもあります。かわいくて、見たり触ったりしていると自分が心地いいから動物を飼うけれど、動物の体や気持ちのことはあまり考えていない、そんな人が多いように感じるんです。昔と違って今はドッグフードやキャットフードという便利なものがある。あんなに簡単なもので動物を飼えるのですから、もう少ししっかり面倒みてあげてほしいです。僕もそんな飼い主さんを教育していかないといけないかな(笑)。

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