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供血犬とともに支える 動物の命を救うための輸血

クレア動物病院

(大阪市天王寺区/四天王寺前夕陽ヶ丘駅)

最終更新日: 2023/09/29

人間の医療に必要不可欠な輸血。もちろん動物にも輸血による医療は施されるが、必要な血液が確保できずに治療をあきらめる人は少なくない。大阪市天王寺区にある「クレア動物病院」は、輸血にも注力しているクリニック。院長を務める田中誠悟先生は、高度医療施設での診療経験を通して輸血の重要性を実感してきたという。「血液バンクのない獣医療では血液の確保が難しく、輸血をあきらめるオーナーさんたちを見てきました。だからこそ、当院では血液を提供してくれる供血犬を飼育し、緊急事にも対応できる体制を整えています」そう話す田中院長に、輸血の大切さや現在の獣医療における問題点、同院の供血犬についてなど、詳しい話を聞かせてもらった。(取材日2023年9月21日)

血液バンクのない獣医療の輸血を供血犬とともに支える

  • Q.こちらで行っている外来での輸血について教えてください。

    A.

    ▲輸血に注力する田中先生

    動物も人間と同様いろいろな病気があり、治療の際に輸血が必要となることがあります。特に、自己免疫疾患である免疫介在性溶血性貧血(IMHA)や非免役介在性溶血性貧血、血友病や播種性血管内凝固症候群(DIC)などの血液凝固不全、交通事故などの外傷、腫瘍の破裂などによる腹腔内出血などの際には、早期の輸血が必要となります。そこで当院では外来を設け、輸血を必要とする際に対応しています。初診での受診はもちろんですが、セカンドオピニオンも可能ですし、緊急時の受け入れも行っています。また、気になる費用についても事前に説明いたします。輸血が必要になる病気でお悩みの場合には、一度ご相談ください。
  • Q.獣医療においての輸血の現状について教えてください。

    A.

    ▲獣医療においての輸血に関する説明を飼い主にわかりやすく説明

    人間の輸血は血液バンクが支えています。しかし動物の輸血には、人間のような献血システムも、必要な血液を保管・管理して輸送する機関もありません。そこで、輸血を実施するためには、健康な若い犬から必要な血液を提供してもらう必要があります。この時、血液を提供してくれる犬のことを「供血犬」といいます。しかし、この供血犬を常に確保できている動物病院は少なく、輸血のたびに同居している犬や友人・知人の犬、ドナー登録をしたボランティアから提供をしてもらわなくてはいけません。動物病院によっては供血犬探しはオーナーさんの担当というところもあり、オーナーさんの心理的・時間的な負担が多いのが現状です。
  • Q.輸血はどのような流れで行うのか教えてください。

    A.

    ▲飼い主の不安に寄り添いながら治療を進める

    輸血には時間がかかりますので、緊急時を除いて午前中から行います。前日までに輸血相談のお電話をいただけると準備がスムーズかと思います。来院後は血液型の検査と、輸血用血液と患者の血液が適応するかを調べるクロスマッチ検査を行います。基本的に初めての輸血は、その型に関係なく輸血することが可能ですが、2回目以降の輸血では血液型が関係してくることがありますので注意が必要です。輸血可能と判断したら輸血を開始します。特別な痛みはなく、点滴と同じように犬の血管を確保し、アレルギー反応が起きないかどうか確認しながらゆっくりと進めます。終了したら数時間は体調を観察し、問題がなければ夕方に帰宅していただけます。
  • Q.輸血を対応できる動物病院は珍しいのですね。

    A.

    ▲緊急時に対応できるように体制を整えている

    輸血をできる体制が必要なことは、獣医師なら誰もがわかっていることです。しかし、血液を安定的に確保することが非常に難しいのも事実です。動物病院で供血犬を飼育できればいいのですが、供血犬はおよそ8歳以下で体重が最低でも10kg以上、できれば20kg以上である必要があり、さらに健康でなくてはいけません。つまり若く健康的な大型犬でなくてはいけないのです。大型犬を飼育するにはスペースも必要ですし、飼育費用もかかります。さらに散歩やトレーニングなど時間や人手も必要です。これらをすべて満たし、維持していくのは大変なこと。供血犬も道具ではなく大切な命。「血液が必要だから」で簡単に飼育できるものではありません。
  • Q.こちらには供血犬がたくさん在籍していますね。

    A.

    ▲供血犬もクレア動物病院の大事なスタッフ

    これまで獣医療に携わり、多くのオーナーさんが血液を確保できずに治療をあきらめていく姿を見てきました。いくら仲の良い犬友達がいたとしても「あなたの犬の血を分けて」と、気軽に言える人がどれだけいるでしょうか。私はそう多くないと思います。そこで私が選んだのが、供血犬を飼育すること。供血犬に関しては、賛否あるかもしれません。しかし、私たちは供血犬をスタッフとして愛し、大切に育て、ともに働いていると思っています。現在は4頭いて、いつも元気いっぱいな子たちなので大変なこともありますが、彼女たちのおかげで当院は緊急の輸血にも対応できます。これからも感謝の気持ちを持って、一緒に頑張っていきたいと思っています。

動物病院からのメッセージ

田中誠悟院長

当院のセカンドオピニオンには輸血に関する相談も多く、多くのオーナーさんが輸血できる所を探しているんだなと実感します。すべての動物病院で気軽にできるようになるのが一番ですが、現状のシステムではなかなか難しい。だからこそ、供血犬の存在や輸血対応可能な動物病院の存在を頭の片隅において、いざという時に備えておいてもらいたいなと思います。同時に、輸血だけで病気が治るわけではなく、原因を見つけ原因に対する治療を選択していくことも大切です。当院では輸血も含めて幅広い選択ができるよう、徹底的にサポートいたします。輸血や血液の病気に関する悩みがあれば、気軽にお電話ください。

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