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情報提供で家族には安心を 猫伝染性腹膜炎(FIP)から猫を守る

井荻アニマルメディカルセンター

(杉並区/井荻駅)

最終更新日: 2024/09/26

若い猫を中心に発症する、猫伝染性腹膜炎(FIP)。診断や治療が難しく、不治の病ともいわれるこの病気は、新しく子猫を迎え入れた家族にとって気がかりなことの一つだろう。犬と猫の診療を行う「井荻アニマルメディカルセンター」の高橋渉院長は、そんなFIPについて学び、国際猫医学会の最新情報にもアンテナを張りながら診断と治療に力を入れている。他の動物病院では診断がつかなかった猫が紹介されてくることも多いという。「FIPは早期発見し適切な対処を行うことが大切。正しい情報を伝えて、ご家族にも安心してもらいたい」と高橋院長。1匹でも多くの命を救うため力を尽くしている高橋院長に、FIPについて教えてもらった。(取材日2024年8月28日)

診断が難しいFIP。些細な端緒も見逃さないよう知識を身につけ診療に注力

  • Q.子猫で気をつける症状について教えてください。

    A.

    ▲猫のストレスに配慮した診療を行っている

    子猫は大人の猫と比べ免疫、体力などが弱いため、さまざまな感染症のリスクがあります。多い感染症の一つは猫風邪と呼ばれる猫ウイルス性鼻気管炎で、人間の風邪のように発熱や鼻水などの症状が現れます。またここ数年で増えているのがおなかの寄生虫感染です。当院では新しく飼われてご来院される子猫の約半分が、何らかの寄生虫を持った状態です。目に見えない大きさの寄生虫が原因ですと、ご自宅で見つけるのは難しいため、猫を飼い始めたらまず一度動物病院で検査をすることをお勧めします。特に同居する猫がいる場合、感染の拡大に注意が必要です。こうしたいろいろな感染症由来の病気の一つに、FIPと呼ばれる猫伝染性腹膜炎があります。
  • Q.FIPとはどのような病気なのですか?

    A.

    ▲わずかな異変でも早期受診、早期発見が大切と語る高橋院長

    多くの猫が体内に持っている「猫腸コロナウイルス」が変異することで発症する、ウイルスの病気です。正確な発症原因は特定されていないものの、ストレスなどがトリガーとなって発症するとされており、新しく猫を飼い始めたご家庭でも起きやすいといわれています。FIPは基本的に猫同士で感染はしないとされていますが、若い猫だけでなく大人の猫も発症することがわかっています。新しく迎え入れた猫だけでなく、その家にもともといた猫にも環境の変化があり、FIPを発症することも少なくありません。FIPは診断や治療が難しく、致死率が高い疾患で、早めの受診が重要になります。
  • Q.FIPの具体的な症状について教えてください。

    A.

    ▲受付のモニターには診療時間や飼い主への豆知識などが流れる

    FIPの症状は幅広く、それが診断を難しくしている理由でもあります。特徴的な病態は腹水や胸水がたまるというもので、苦しそうな様子や呼吸が荒い時にはFIPを疑います。そのほかにも身体の中に腫瘤のようなものができたり、猫風邪のような発熱や食欲不振、体重の減少、その他にも目の異常や神経症状といった変化が現れたりします。当院でも、「うちの子、昔から食欲がなくて……」「もともと体が小さいから」と言っていた猫が、発熱をきっかけに受診してみたら、実はFIPを発症していたということもありました。猫によって症状の程度も異なるため、いつもと違うなと感じた時が受診のタイミングと思っていいでしょう。
  • Q.FIPの診療で大切にしていることを教えてください。

    A.

    ▲さまざまな可能性を考えながら診療にあたる

    まずは早期に正確な診断をつけることです。当院へは他の動物病院からFIP疑いと紹介されてくる子も多いため、血液検査、画像検査などとともにPCR検査を行いFIPかどうか可能な限り診断をつけた上で、治療につなげることを大切にしています。また、FIPと聞くと動揺されるご家族も少なくありません。ですから病気についての正しい情報や治療の選択肢を伝え、安心してもらうことを心がけています。治療中も極力ストレスがかからないよう、できるだけ入院はさせず、通院も少ない回数で済むようにしています。治療期間や費用についても、ご家族と同じ目線で考えますのでご相談ください。
  • Q.ご家族への説明やフォローもしっかりされているのですね。

    A.

    ▲2019年「キャットフレンドリークリニック」のゴールドに認定

    はい。動物医療の分野では、さまざまな疾患や治療法の研究が日々進められており、情報が乱立しているのが現状です。FIPのような診断や治療が難しい病気であれば、ご家族はどの情報を信頼すべきかわからず、なおさら不安になるでしょう。こうした背景もあって、私はどんなことに対しても、国内外の文献や学会などを通じて常に新しい情報を入手するなどし、より正確な情報をお伝えするよう努めてきました。国際猫医学会で推奨された治療法や、エビデンスのある情報をもとに判断し、正しいルートで取り入れた医薬品等を使うことにもこだわっています。大切な猫の命を守れるかと不安を抱えるご家族にこそ、正確な知識を得て安心してほしいのです。

動物病院からのメッセージ

高橋渉院長

残念ながら、現時点でFIPを予防するためのワクチンは存在しません。そして、発症すると短期間で急速に症状が悪化していきます。そのため、いかに早く病気を見つけ、治療に移れるかが重要になります。しかし、猫は体の不調を隠そうとする生き物のため、病気かどうか気づきづらいものです。新しい猫を飼い始めた時や環境の大きな変化があった時、大切な猫ちゃんに些細なことでも違和感を感じたら、迷わず動物病院を受診するようにしてください。FIPは、専門とする獣医師がまだまだ少ないのが現状です。私自身、国際猫医学会や勉強会を通じて学んだ最新の情報や知識を、地域の皆さんに対して積極的に発信していきたいと思います。

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