野尻 亮輔 院長の独自取材記事
港南グラン動物病院
(横浜市港南区/港南中央駅)
最終更新日: 2023/12/15
港南中央駅から徒歩7分の住宅街で、地域密着の獣医療に取り組んでいるのが「港南グラン動物病院」だ。犬と猫を中心に健康診断や予防医療から、内科や外科の診療、トリミングやペットホテルまで対応し、飼い主と動物が安心して気軽に利用できる動物病院をめざしている。院長の野尻亮輔先生は、獣医学科を卒業後、複数の動物病院や夜間動物病院に勤務し、大学病院の研修医も経験。それらの経験を生かし、動物の一生涯に寄り添うことを目標にしている。「小さなことでも気軽に相談していただきたいです」と明るく、気さくに話す野尻院長に、同院のことや獣医療にかける思いなどを聞いた。(取材日2023年11月21日)
動物たちの生活すべてをサポートすることをめざす
こちらの動物病院の概要をご紹介ください。
病気の予防や治療から、トリミングなどのお手入れやペットホテルまで、動物たちのライフステージのすべてを網羅して、サポートをすることをめざしています。動物病院では内科・外科・歯科・産科・腫瘍科・整形外科など多くの病気に対応する力が求められます。その中で、飼い主さまからの要望に応え、満足していただける動物病院をめざして、スタッフ一同で頑張っています。現在獣医師は私と妻の2人ですが、小さい子どもがいるため妻には今は陰でサポートしてもらっています。私と同じく10年ほど勤務医の経験があり、治療についての相談をしたり、ともに手術をしたりしています。
院名に思いが込められているそうですね。
妻が以前飼っていた犬の名前が「グラン」といい、フラットコーテッドレトリバーという大型犬です。私にとってもかけがえのない家族のような存在でした。大型犬には腫瘍性疾患の発症が多く、普段から注意していたのですが、ある日突然ぐったりして調子が悪くなってしまいました。脾臓と呼ばれる臓器に腫瘍ができ、それが破裂して腹腔内出血を引き起こしたことが原因だったようです。幸い、一命を取り留めましたが、手術で脾臓を摘出した時にはすでに転移を起こしておりました。可能な限りの治療も行い、少しでも長く一緒にいられることを願いましたが、病気が見つかってから3ヵ月で天国へ旅立ってしまいました。
つらい経験ですね。
その経験から、言葉を話せない動物たちの変化に気づくために、よく動物を観察し、わずかな変化をいち早く感じることが重要だと考えています。血液検査やレントゲン・超音波検査を駆使し、病気の早期発見・早期治療につながるよう心がけています。そして、動物たちが病気になった時に「少しでも長く一緒にいたい」というご家族の想いにも応えられるよう、日々獣医療の情報収集を欠かさず行い、知識を増やし、その知識を動物たちの治療に生かせるよう励んでまいりたいと思います。獣医師の在り方を教えてくれたグランと一緒に多くの動物たちの一生を支えていきたいという思いを込めた病院名となっています。
猫にも優しい動物病院
特徴はどのようなところでしょうか?
私がずっと猫を飼っていたこともあり、猫に優しい病院にしたいと考え、国際猫医学会(ISFM)が掲げる国際基準の規格である「キャットフレンドリークリニック」のゴールド認定を取得しました。猫ちゃんはとても繊細な生き物ですから、専用の待合スペースや診察室、入院室を用意して、できるだけリラックスして過ごせる環境を整えました。診療についてもできるだけ負担をかけないように気をつけて治療にあたっています。ただ、猫ちゃんの性格もいろいろあり、こうすれば良いかなと考えて接しても、猫ちゃんから怒られてしまうことが多々あります(笑)。そのため、何がダメだったのかどのように接すればいいのだろうかと日々考えながら、より一層猫ちゃんに配慮した動物病院にできるよう励んでいます。
力を入れていることは何ですか?
腫瘍性疾患や循環器疾患の治療に力を入れております。がんと心臓病は高齢の子にとって、避けては通れない病気です。その中で欠かせない検査がレントゲンや超音波機器を用いた画像検査。先ほども少しお話しましたが、わんちゃんや猫ちゃんの病気は初期の段階だと気づけないことが多く、体の内側の問題ですと外からは把握ができません。様子がおかしいとご来院いただき、画像検査をすると、肺に腫瘍が見つかるということも。超音波検査は、聴診器を当てるのと同じくらい動物への負担が少なく、心臓の動きなどをリアルタイムで見れることやおなかの腫瘍を見つけることができ、得られる情報も非常に多い検査です。飼い主さまが動物たちの異変を感じた時に積極的に画像検査を行うことはもちろん、健康診断で年に2回程度の血液検査と年1回の画像検査の受診をお勧めしています。
ほかに力を入れていることはありますか?
SNSなどを活用し、診療時以外も飼い主さまに満足していただけるようにしています。当院のSNS上の公式アカウントでは飼い主さまと直接メッセージのやりとりができるように設定しています。また、健康診断の結果も早くお伝えできるよう、公式アカウントで通知を行っております。動物の様子で気になることがあった場合や診察後に疑問を感じた際には、公式アカウントにご連絡をいただき、お答えできるようにしています。診療時間外でも、可能な限り返答できるように心がけています。動物の体調はいつ崩れるかわからない中で、少しでも飼い主さまの不安を軽減できればと思っています。また、トリミング中に撮影した写真をデータでお送りしているのですが、そちらも多くの方に楽しみにしていただき、うれしいです。
自身と飼い主、動物のすべてが納得できるような診療を
診療の際に心がけていることを教えてください。
コミュニケーションをしっかりと取るように心がけています。飼い主さまとの対話をもとに私たちは動物たちのことを知ることができます。動物への声がけはもちろん、表情や全身を観察しながら状態を把握していきます。獣医療の場合、飼い主さまと獣医師と動物の三角関係で成り立つため、飼い主さまの協力は必要不可欠。開業して2年ほどたちますが、私なりの考えが、必ずしも動物や飼い主さまにとって納得のいく医療につながるとは限らないと感じることがあります。その病気に対する考え方や治療方法は十人十色で、いろいろな考え方が存在すると考えています。ご家族の意向に沿った治療を行っていくと、来院されるたびに動物の表情が変わっていることがうかがえます。ともに生活している家族だからこそ、言葉が通じずとも通い合っていると実感する瞬間です。その子の治療に関わった全員がこの治療をして良かったと納得できるような診療をしていきたいですね。
動物と接する際、どんなことに気をつけていますか?
動物病院というのは、基本的にわんちゃんや猫ちゃんにとっては怖い状況ですから、性格を見ながらできるだけ怖がらせないようにしています。可能であれば、診察が終わったらおやつをあげたり、ワクチン接種で怯えている子には、おいしいご飯をあげて気をそらしている間に打つなどの工夫をしています。どんなに動物病院が好きなわんちゃんでも、それは診察室の前までで診察室の中は嫌がりますから、中に入ってからも少し遊んであげて、ごめんねって診察して、終わったら待合室で遊んでもらう。そうすることで動物病院自体を嫌いにならないように接しています。猫ちゃんの場合は、優しく話しかけるようにしていますが、かわいいねって言った瞬間に「シャーッ!」っと怒られることもあります(笑)。性格を見ながら、触られたくない、近づかれたくない、見られたくないという子には、できる限り診察時間を短くする中で、できることをするように心がけています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
病気にもいろいろなものがありますので、すべての病気に対して100%の対応ができるようなオールラウンダーをめざし日々勉強して底上げしていきたいと考えています。獣医療も眼科や神経科、エキゾチックアニマル科など専門性の高い病院が増えてきておりますが、かかりつけの当院で診断・治療ができることが一番かと思いますので、そのニーズに応えられるよう努力していきます。いずれはしつけ教室やパピー教室などもできるようにして、子犬や子猫の頃から老犬、老猫になって亡くなるまで、すべてのライフステージに関わる動物病院になるのが目標です。日々、動物たちへの医療も進んでおり、どんどん長生きが望めるようになってきています。どんな小さなことでも気軽に相談していただきたいですし、たくさんの方に利用していただければと思っています。
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