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助川昭宏 院長の独自取材記事

動物病院うみとそら

(杉並区/永福町駅)

最終更新日: 2023/01/22

2010年11月、笹塚にある<a href='http://doctorsfile.jp/animal/18299/df/'>「アリーズ動物病院」</a>の姉妹病院として、永福町に開院した「動物病院うみとそら」。かわいらしいクリニック名は、院長の助川昭宏先生自身が名付けたもの。「誰でも、気持ちが落ち込んだ時に海や空を眺めると、元気になるもの。ワンちゃんも猫ちゃんも、飼い主さんも『うみとそら』を訪れることで癒されるような場所でありたいです」と語る。動物たちを見つめる眼差しはとにかく優しさにあふれ、丁寧に言葉を選びながら話す真摯な姿勢からは、誠実さがしっかりと伝わってくる。最先端の西洋医学を基本としながらアニマルヒーリングもあわせて行い、常に寄り添う気持ちを持ちながら診療してくことが助川院長の目指す「助川メソッド」。癒しの気持ちをいつも大事にしているのだという。日々の診療で感じる思いやアニマルヒーリングのこと、獣医師を目指した理由やご家族のことなどプライベートなお話まで、たっぷりと語っていただいた。 (取材日2012年1月10日)

海と空のように、誰にとっても癒しを与えられる場所にしたい

2010年11月にできたばかりのクリニックですが、開院の経緯をお聞かせください。

このクリニックは、笹塚にある本院「アリーズ動物病院」の姉妹病院として開院したクリニックなのですが、実は、獣医師もスタッフも、本院と同じメンバーなんです。ローテーションしながら診療にあたっています。病院によって雰囲気やスタイルが変わってしまうのは嫌だったんですよ。やはり医療にはチームワークが重要ですから、仲間を大事にしたいという気持ちも強くあります。いつも僕と同じ気持ちで一緒に頑張ってくれているスタッフは、気持ちの一番奥の部分が優しい人ばかりなので、何も言うことはありません。本当にうれしく、ありがたいと思っています。

開業場所に永福町を選んだ理由はなんでしょう?

2つ理由があります。まず、新たに開業する分院は、本院とのアクセスがいい場所というのが必須条件でした。先ほども言ったように、本院と分院の2つのクリニックを同じスタッフがローテーションして勤務する体制を作りたかったんですね。それを可能にするためにベストな場所が永福町だったわけです。あともう一つは、個人的な理由です(笑)。僕は神社巡りが好きでして、このあたりは、自分の趣味を充実させるのにもちょうどいい場所で、とても気に入っています。大宮八幡が目と鼻の先にあるという環境ですし、近所にある善福寺川公園には、昔よく飼い犬の散歩で来ていたので、思い出の地でもあるんです。なじみの場所で、神社好きの気持ちも満たされて、なおかつ地域医療にも貢献できる。僕にとっては最高の場所ですね。

「動物病院うみとそら」というクリニック名はインパクト大ですが、由来を教えていただけますか。

このクリニックは僕にとっては2つめのクリニックですから、自分の目指す医療によりいっそう近づけていきたい。その気持ちをクリニック名に込めたいな、と思ったんですね。「動物たち、飼い主さんたちにとって一番癒しの場所はどんな場所だろう」と考えた時に、まず僕自身が一番癒される場所がどこかを考えてみたんです。そこで思い浮かんだのが、沖縄だった。大好きな沖縄の海に入りながら空を見ていると、また一年頑張れるなとか、こんなにリラックスできる状況があるんだな、と感じました。なので、飼い主さんにも動物たちにもこのクリニックに来ることによって、安心する、癒される、そんな気持ちになってもらえるような場所にしたくて「うみとそら」と名付けました。

診療のなかでお感じになるのはどんなことでしょう。

やはり圧倒的に小型犬が多くなっていますし、ペットを家族の一員として飼われる方がとても増えてきているように思います。少し前は欧米に比べてペットと一緒に生活する意識が遅れていて、ペットを擬人化してかわいがる傾向がありましたが、今は動物として家族の一員という意識になり、欧米スタイルに変化してきていますね。この地域にお住まいの方は意識も非常に高く、わが子のために一番いいことを獣医師と協力してやっていこうとお考えの方が多いですね。定期的に通ってくださる方も多く、お散歩でクリニックの前を通る時、院内に足を踏み入れようとするワンちゃん・ネコちゃんもいます。飼い主さんが「今日は何も用はないのよ」となだめている場面をよく見かけます(笑)。動物たちからも来やすい場所だと思ってもらえていたら、本当にうれしいですね。

心掛けているのは「寄り添う医療」。同じ方向を目指すことで獣医師、飼い主、ペットみんなが幸せに

診療される上で一番心掛けていらっしゃるのはどのようなことですか。

「寄り添う医療」です。動物医療の分野でも二次病院や専門医が増え、最先端医療を受けられる時代になりましたが、やはり不治の病もたくさんあり、どうしても治せない病気にかかってしまうこともある。僕がこれまで目指し、作ってきたのは、最後の最後まで寄り添っていかれる病院です。飼い主さんにもいろいろな考え方があって、最先端の医療をしてあげたい方もいれば、それが苦痛を伴うのなら「この子にとって最先端の医療はベストではないんじゃないか」と考える方もいらっしゃる。例えば末期がんの場合を見ても、手術をするのか、抗がん剤にするのか、またはホスピスでいくのか。人によってかなり考え方が違いますから、こちらはいくつもの選択肢を出し、その子にとって一番いい治療法、目指す方向はどこなのか、飼い主さんと一緒に考えていくことを大事にしています。みんなで同じところに向かい気持ちを寄り添っていくことが幸せの一番の近道だと実感しています。姉妹病院のうみとそらを開院したことで、寄り添う医療をより広域でご提供していけるように頑張っていきたいですね。

アニマルヒーリングも取り入れてらっしゃるそうですね。

はい。「寄り添う医療」と合わせて、ここでは「アニマルヒーリング」ということをとても強く考えています。ヒーリングというと、まだなかなか受け入れてもらえない部分もあるのですが、例えば、お母さんがお子さんに「痛いの、痛いの飛んでいけ!」をすると、安心してお腹の痛みが取れたりしますよね。同じように、どなたも愛情からくるハートヒーリングが出ているので、エネルギーの出た手で直に動物を触り、レイキエネルギーを入れてあげるんです。ヒーリングだけで病気が治せるわけではないので、病気そのものは今まで通りに西洋医学にのっとった質の高いものを提供しながら、緊張やストレスからくる部分をヒーリングで補っていかれればと思っています。心を込めて触って話しかけてあげることで動物も癒されますし、動物によって癒されている飼い主の方も一緒に癒されることになるんですよ。ヒーリングを使いながら西洋医学で動物と飼い主さん両方を癒していくことを「助川メソッド」として確立したいと、今、頑張っているところです。

思い出に残っているエピソードがあればお聞かせください。

治りにくい病気が治って退院されていくのももちろんうれしいのですが、治らない病気でも最後まで飼い主の方と一緒に何が一番いいのかを考えながら寄り添い続け、残念ながら亡くなってしまった時でも、飼い主の方に「ありがとうございました」と言っていただけたときが、一番心に響きます。「次に動物を飼った時にも、またよろしくお願いします」という言葉をいただくと、とても励みになります。このクリニックは、お陰様で動物たちにとってとても身近な存在と思ってくださる方が多いので、ペットが病気になったり亡くなったりした時も、一緒に苦しみや悲しみを分かち合える存在でありたいと思っています。

動物と飼い主が一緒に楽しい時間を過ごせるように、常に寄り添い、心を込めて診療

先生はなぜ獣医師を目指されたのですか。

実は父も獣医師でしたので、小さい頃から気がついたら獣医師を目指していました。いつも父の診療する姿を見ていましたし、家には動物がたくさんいて、僕自身も動物が大好きだったんです。自然の流れでここまできましたね。姉も獣医師になったんですよ。僕が自身のクリニックを開業した当初は、実家が近くにあるということもあって、父の診ていた飼い主さんが来てくださることもありました。父の地盤を引き継いで僕のやりたい医療の方向性に変えていくよりは、自分の力で一から始めたい思いで自分自身のクリニックを開業しましたが、獣医師を目指すきっかけになったのは、やはり父。いつもとても優しい獣医師だったんです。そこは僕も引き継いでいきたいなあと思いますね。

お忙しい先生、ご家族とゆっくり過ごされる時間もあるのですか。

忙しくしていますが、なるべく休みを取るよう心掛け、家族と一緒に過ごす時間も大事にしています。やはり気持ちの切り替えは大切。動物たちと一緒に過ごす時間は大好きな時間ですが、それと同時に家族や自分自身のほうを向いて過ごす時間も、その次のステップに進んでいくための頑張る力になっていくと思うんですよ。僕の子どもは、中3の長女、中1の長男、小4の次女の3人。今、長女と長男は獣医師になりたいと言っているんです。時々このクリニックにも顔を出しますし、簡単なお手伝いも喜んでしてくれます。もちろん、どんな夢でも、それに向って頑張ってくれたら応援します。もしその夢が本当に獣医師ならとてもうれしいですし、いつか一緒に診療できるような日が来たら幸せだろうなあと思いますね。

大事なペットたちと笑顔あふれる快適な生活を送っていくために、読者にメッセージをお願いします。

本院を開業してから13年が経ちましたが、いろいろなものが僕の理想に近い形になってきました。往診もしていますし、初めてワンちゃん・ネコちゃんを飼うための方の講習会「パピーパーティー」も毎月開催しています。最先端の西洋医学とアニマルヒーリングを併用しながら動物たちに寄り添っていく「助川メソッド」をしっかりと確立し、今後もスタッフや仲間と連携を取りながら「寄り添う治療」に取り組んでいきたいですね。よく、ペットが亡くなって初めて自分が癒されていたことに気づいたという方も多いのですが、生きている間にそれを実感しながら一緒に楽しい時間を過ごしたほうが絶対に幸せですよね。動物は子どものようにかわいいものですが、人間より早く年をとり、最後は親のように先に亡くなるので、切り替えが難しくなかなか受け入れられない方も多いんです。でも切り替えがちゃんとできないと、最後に「ありがとう」という気持ちで送ってあげることはできません。最後、「ありがとう」という気持ちで送ってあげられるお手伝いができるよう、これからも常に寄り添いながら心を込めて診療していきたいです。

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