角田 守利 院長の独自取材記事
東戸塚ペットクリニック
(横浜市戸塚区/東戸塚駅)
最終更新日: 2024/03/04
横浜市戸塚区平戸にある「東戸塚ペットクリニック」角田守利院長は、犬や猫と飼い主が楽しく日々を過ごす手助けをしたいとの思いを大切に診療に携わる獣医師だ。動物への検査や治療の負担をできるだけ軽減したいと、超音波検査機器や内視鏡検査機器を導入。内視鏡については、動物医療より進化する人間医療の専門家のもとでトレーニングを積んだという。超音波スケーラーも導入して歯科治療にも力を入れる。「大切なのは動物との楽しい生活。歯磨きやお手入れが動物や飼い主さんのストレスにならないようにサポートしたい」と語り、動物が高齢になった際の介護負担を考え、健康寿命の延伸にも取り組む。動物と人の幸せな暮らしを願う、優しい笑顔の角田院長に、診療の特徴や動物医療に対する思いを聞いた。(取材日2024年2月6日)
動物と人の幸せをめざし、健康管理や早期発見に注力
こちらは犬と猫を対象とした動物病院とのことですね。
そうです。割合は、犬のほうが多いです。飼い主さんは、少し遠方から来てくださる方もいらっしゃいますが、近隣の方が中心です。力を入れているのは、ワクチンや健康診断、フィラリア予防など健康管理に関わるものと、心臓病などの早期発見、内視鏡を使った消化器疾患の検査や治療、歯科治療などです。多い訴えとしては、かゆみや湿疹など皮膚や耳の病気、嘔吐や下痢といった消化器に関係するような病気ですね。当院では、例えば皮膚の症状で来られた場合でも、全身を診た上で、主訴である皮膚の状態を詳しく診療することを心がけています。飼い主さんの悩みや不安などもよくお聞きしながら、動物の健康管理について、歯科などを含めて飼い主さんが気づきにくいことをよくお話しすることも心がけています。
先生はどうして獣医師を志されたのですか。
小さい時から、ずっと身近に動物がいました。飼っていた犬を初めて動物病院に連れて行ったときに、獣医師という職業を知り、それ以来、獣医師になりたいと思うようになったのです。そこで獣医学部に進み、大学卒業後は、南区のすがわら動物病院に勤務して、いろいろと勉強させていただきました。もともと横浜出身でこの辺りも生活圏でしたので、地元で開業したいという思いがあり、ここで開業しました。その後、地域のニーズなども考えて超音波検査機器や内視鏡検査機器など、必要な検査機器や診療設備などを少しずつ充実させてきました。超音波検査機器や内視鏡検査機器は、道具をそろえただけでは使いこなせないので、導入にあたっては、その都度、専門家の先生から使用方法や診断方法などの手ほどきを受けました。内視鏡は人間の医療のほうがかなり進んでいるので、医科の先生の指導を受けたのですよ。
超音波装置や内視鏡など検査機器が充実しているのですね。
一般に犬や猫は小さいですから、できるだけ負担をかけないような低侵襲な機器や使い方が必要だと思うのです。そこで、できるだけ検査機器をそろえ、人の医療の技術も取り入れることで、負担を軽減しながらしっかり診断を行い、飼い主さんに向けて現状がどうであるか、今後の対応としてどういう選択肢があるのかをわかりやすくお伝えしたいと考えています。また、例えば、内視鏡検査では、痛みや苦しみが出ないように目的の場所まで内視鏡のカメラをスムーズに入れること、目的の場所についた後、器具を使用して細胞を採取する技術などを習得しました。動物の内視鏡検査は全身麻酔をかけますから、動物が痛みを訴える心配はありませんが、低侵襲であることは重要だと思うので、人の場合の医療技術も取り入れて安全に配慮して検査や治療を行いたいと考えています。
動物の体への負担、飼い主の負担を軽減することを重視
こちらは歯科治療にも力を入れているそうですね。
超音波スケーラーを導入して、全身麻酔による歯石除去を行っています。おうちで毎日、歯石がつかないように歯磨きするのが良いのですが、動物の性格や種類などによって、歯磨きがとても難しいこともありますよね。歯磨きによって飼い主さんがけがをしたり、ストレスを感じたり、動物との関係が悪くなったりするのは本末顛倒だと思っているので、無理をせず、できる範囲で予防していただいて、あとは、こちらでサポートしたいと考えています。
先生の診療方針について聞かせてください。
一番大切なのは飼い主さんと動物が一緒に充実した生活を送ることであり、そのために、動物医療がどのようにサポートできるか、役立つかということですね。例えば、犬を飼っていても出かけるところが動物病院ばかりでは本末顛倒だと思うのです。一緒にお出かけするなら、楽しいところへ行ってもらえるように、健康管理というところでお手伝いしていきたいのです。また入院については、どうしても入院してしっかり治療を受けてほしい場合もありますが、ある程度治療効果が望めるのであれば、毎日通院してもらって治療したほうが動物の負担が少ないと考えられるケースもあります。入院することがかえってストレスになったり、ご飯も食べられないということもありますからね。ですから、医療者としての意見をよくお話しながら、動物にとってどちらがいいかを、飼い主さんと相談しながら決めていくという感じですね。
飼い主さんとの信頼関係を大切にされているのですね。
最近の飼い主さんは、ワンちゃんや猫ちゃんを家族の一員として大切に考える方が多く、こういうことに注意してくださいと投げかけるだけでも、細かく気づいてくださると思います。動物が健康かどうか心配されていて、些細なことでも相談いただけるので軽症なうちに対応することができますし、よく観察されているので、病気や不具合を早期発見できることも多いと感じます。最近は、スマートフォンなど便利なツールがあるので、うんちの色や形を写真に撮ってもらったり、呼吸の仕方、歩き方など気になるしぐさを動画で撮影してもらったりすることができるのも便利ですね。
健康寿命を延ばし、一緒に楽しく過ごせる時間を長く
獣医師として、印象的なエピソードなどがありますか。
ずっと来てくれていたワンちゃんや猫ちゃんが残念ながら亡くなってしまって、その悲しみを乗り越えて、飼い主さんが次の子を新しくお迎えされて、再度、当院に来てくださるときは、本当にうれしく思います。そういう方がいていただけるのが、励みになりますね(笑)。また、私も犬と猫を飼っているのですが、あまり病気をしないんですよ。どんなところに気をつけているか、どんな飼い方をしているかというような毎日のちょっとした工夫は、飼い主さんたちに常にフィードバックしています。些細なことでも、飼い主さんといろいろ話をすることは、私たちにも気づきがありますし、飼い主さんにとっても役立つヒントがあるかもしれないと思っています。
今後の展望について聞かせてください。
少しずつ、犬と猫の寿命も伸びていますから、年数だけでなく、飼い主さんとともに元気に生活できる時間、健康寿命を伸ばしたいと思っています。動物が高齢になって介護が必要になると、動物にも飼い主さんにも負担が大きくなりますよね。飼い主さんがあまり世話に追われることがなく、動物が高齢になっても元気に過ごせるように役立ちたいのです。お口の中、排泄の世話など動物をきれいに清潔に保つこと、しかも飼い主さんの負担を少なくするためには、どうしたらいいか、人間の介護関連の情報なども参考にしながら、医療面で工夫できないかということは常に考えています。健康という以外にも、衛生的、活動的とのキーワードを大切にしながら、動物も飼い主さんも快適な毎日が過ごせるようにしていきたいですね。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
動物の健康のためには、やはり食事管理と運動が大切です。特に犬の場合は、毎日の散歩が必要ですし、小さいうちにアレルギーがあるかどうかを把握しておくことも長い目で見ると大切だと思います。また犬も猫も、中年にあたる年齢になってくると、体のバランスが崩れたり、心臓の病気が少しずつ起きたりするようになってきます。さらに高齢になると、高齢発症の病気や、関節などの運動機能の病気が出てきますので、年齢に合った飼い方のヒントをかかりつけの動物病院に聞いて、取り入れていくことが大切だと思います。その子によってそれぞれ必要な検査や予防方法、適した飼い方などがありますから、かかりつけの先生とよく話をして、動物と楽しく快適に生活していくヒントを見つけていただきたいと思います。
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