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村田聡一郎 院長の独自取材記事

ハッピー動物病院

(品川区/中延駅)

最終更新日: 2023/01/22

「犬の椎間板ヘルニアも、手術で治る可能性は高くなっています」と、その診断と治療に詳しい村田聡一郎院長は言う。病気をあきらめずに治療するのはもちろん、予防にも力を入れて、動物も飼い主もハッピーに暮らしてほしい……そんな思いから名付けた「ハッピー動物病院」は、都営浅草線中延駅から徒歩1分、第二京浜沿いという便利な場所にある。「ここを開業場所に選んだのは、妻の実家にも近いことも理由。子育てなどで、お世話になっているんです」と、第二の故郷になっているようだ。そうしたなじみのある地域で、飼い主が気軽に参加できるしつけ教室などを開催し、地域との交流も深めている。「お困りの方も多い“しつけのやり方”、“歯磨きのコツ”などが好評です」と、今後も継続予定だという。獣医学的にも正しい診断と最新の知識をベースに、飼い主の希望も聞きながら、納得できる治療をめざすという村田院長。獣医師になって10年以上の経験をもとに、予防にも力を入れる同院の診療方針を語ってもらった。 (取材日2012年10月3日)

獣医学的に正しい治療と、飼い主の気持ちの両方を大切に

この場所で開業されたきっかけは何でしたか?

開業のタイミングは、大学時代からつきあっていた同級生との結婚など、私生活が大きく変化したからなんです。2人とも川崎市で別々の動物病院に勤めていましたが、子どもが生まれることも考えて、妻の実家に近い場所で開業を考えました。院内の設計は妻も診療できるよう診察室を2つ、待合室は広めにして、飼い主さんにゆったりとお持ちいただけるようにしました。表通りに面した窓を大きくしたのは、外からも中がよく見えて、どなたでも入りやすい場所にしたかったから。何となく動物病院は入りにくい、という印象をなくしたかったんです。医院名の「ハッピー動物病院」は、治療にも予防にも力を入れて、動物たちも飼い主さんもずっとハッピーに暮らしてほしいという思いから名付けました。開業後は妻の実家には子育てなどでお世話になり、この辺は第二の故郷のような感じになっています。

どのような方針で診療されているのでしょうか?

私は獣医学的に正しいとされる診断をもとに、よりリスクの少ない方法で治療することをめざしています。また、それと同じくらい、飼い主さんの気持ちも大切にしたいと思っているんです。最終的に治療方法をお選びになるのは飼い主さんですから。例えば皮膚病の中でも、膿皮症など細菌感染が原因の病気はステロイドを使わず、清潔にしてあげることと適切な抗生物質の使用が一番の対処方法です。それでもかゆみが続く場合は、症状と飼い主さんの希望に併せて痒みのコントロールをしていきます。最新の知識も含めて私がベストだと考える治療方法はお伝えするのですが、飼い主さんのお考えは本当にさまざまです。「できれば薬は使いたくない」、「手術で体にメスを入れるのは避けたい」といった気持ちも十分に理解できます。一方的に治療方法を決めないよう、飼い主さんが納得できるやり方を一緒に考えたいですね。

ほかに診療の特色について教えてください。

犬や猫以外に、ウサギ、フェレット、ハムスター、モルモットなどを診療しますが、特に「ここはウサギを診てくれるから」と、離れた地域から来ていただく方も増えています。実はウサギは扱いに慣れないと、腰を押さえている間に足を蹴り上げて、その反動で背骨を折る事故が起きやすい動物です。ウサギの診察には特に細心の注意を必要とします。以前勤めていた病院では椎間板ヘルニアなどの神経の病気に特に力を入れていました。その病院で経験を積んだ椎間板ヘルニアの治療は、当院でも積極的に行っています。椎間板ヘルニアは急激に症状が進むハンセン?型と、老化によって進行するハンセン?型があります。どの型にかかわらず、手術で治せる確率も高いので、是非ご相談いただければと思います。

予防で病気を減らして、動物も飼い主もハッピーな暮らしを

予防にも力を入れたいとのお話でしたが?

治療はもちろん大事ですが、予防によって動物たちの病気は減りますし、飼い主さんも安心して一緒に暮らせると思うんです。そうした予防に関する最新情報をお知らせできるよう、当院では初めて犬や猫などを飼う方には、時間を設けて詳しくお伝えしています。初診料をいただくことで、かなり長く時間をとって「初めて飼うための基礎知識」、「必要な予防接種」、「歯磨きで可能な歯周病予防」などの話をするんです。最近は猫もフィラリアに感染することがわかってきましたし、飼い主さんにお知らせしたい情報は待合室にも掲示して、目にとまるようにしています。

歯磨きで、歯周病予防に効果があるのですか?

歯磨きをきちんとしてあげれば、虫歯や歯周病になりにくいことは人間も動物も同じです。特に子犬は、「乳歯は生え替わるから磨かなくていい」ではなく、「将来の歯磨きの練習のためになるから磨いておこう」と考えて、磨きぐせをつけてください。生え替わった後も磨き続ければ、歯周病にかかりにくいですから。成犬になって、麻酔をかけて歯石を取ることも可能ですが、お金も必要ですし、麻酔が嫌だと感じる飼い主さんや動物たちもいらっしゃるでしょう。実はこうしたアドバイスを実行されているご家族には、歯の汚れやすい小型犬でも歯周病ゼロという、すばらしい子がいるんです。小学生の女の子が毎日磨いているのですが、私の話したことを本当に真面目に実行してくれて、動物もうれしそう。私までうれしくなりますね。

歯の磨き方などは、簡単に覚えられるのでしょうか?

そうした不安にお応えしたいと思って、最近は当院で「しつけのワンポイントレッスン」を開いています。親しいインストラクターにお願いして、歯磨きのやり方など毎回テーマを決めて開催するんです。しつけで困っても、「いきなり本格的な教室に通うのは不安」という方は多いようで、好評ですね。こうした飼い主さんに役立つイベント、新しい情報の提供などで、地域の皆さんにもっと親しまれる動物病院になりたいと思っています。また妻も獣医師ですから、「うちの子は女性の獣医師でないと扱いにくい」といったご希望にも応えられます。以前に勤めていた医院の先生にも「獣医師もいろいろなタイプがいると、飼い主さんと接するときにも楽だよ」と助言を受けましたから、妻の存在も頼りにしています。といってもたくさん獣医師を増やすのではなく、無理なく診療できる規模で、しっかり診療したいと思っています。自分たちで動物たちを診るのが大好きで開業したんですから。

休みの日もアクティブ。テニスの練習や犬たちと遊ぶ日々

先生が獣医師をめざしたきっかけを教えてください。

高校生で将来の進路を考えたとき、昔、動物を飼った喜びを思い出したんです。何とか親を説得して、ウサギを飼えたのは本当にうれしかったですね。それで動物と一緒にいる仕事をしたくて、獣医師をめざしたんです。一浪して入学した北里大学獣医畜産学部は、2年生から青森県の十和田キャンパスに進学するのですが、そこは自然にあふれた環境で、すごく自分にマッチしていました。海釣り、山登りと遊ぶ場所が豊富。朝4時に十和田を出て、竜飛岬までドライブして、戻って研究室で白衣を着るといった生活。テニスにも熱中していたので、東北地方全部を試合で遠征するなど、活発に動き回っていました。もともとふだんから動くのが大好きな性格で、こういう生活はとても向いていました。現在の妻とはこうした大学時代に出会った同級生です。

それから就職で都内に戻られたのですか?

ええ。私の実家は都内で、さほど土地勘のない青森で働くことに不安もあったので、就職は都内周辺で探すことにしました。就職活動では、大学の先輩で都内に動物病院を持つ方が、「この病院へいってみたらどうだ」と親切にしてくださって、おかげで自分の希望に合った就職先を探せました。最初に働いた動物病院は、獣医学的に正しい知識をもとに治療をめざす先生。犬の椎間板ヘルニアの治療経験も豊富で、私も大学の知識をもう一度しっかりと臨床で確認したかったので、この先生のもとで働けたことはいい経験になりました。その次に勤めた川崎市の動物病院も非常に面倒見がよく、働いている私たち獣医師の意見も採り上げてくれて、しっかりと仕事ができる病院でした。その後、結婚などのタイミングが重なって、2007年に開業することになりました。

開業された後、お休みはどのようにお過ごしでしょうか?

うちで飼っている犬のワイマラナーと同じで、基本的に動いているのが大好きな性格なんです。テニスは大学時代に本格的に始めて、今も区民大会や全日本獣医師テニス大会に出ています。獣医師の大会は、公務員として働いている人など、さまざまなタイプの業種で勤めている人が集まってくるので、そこで人間関係が広がって楽しいですね。ふだんも時間があると、病院のすぐ前を通る第二京浜沿いの道や、3kmほど離れた林試の森まで走っています。休日は子どもと遊ぶことが多いのですが、次男は案外と動物の扱いがうまくて、臆病なプードルなんかとも仲良くできるのが、ちょっと悔しいんですよ(笑)。コツを教えてほしいなと思っています。

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