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塩田 眞 院長の独自取材記事

塩田動物病院

(杉並区/荻窪駅)

最終更新日: 2023/01/22

「塩田動物病院」の塩田眞院長には「動物医療の猛者」という言葉が似合う。塩田院長は、海外の厳しい学生生活を通じて養った自立精神で、日本の動物医療に足りないものを次々に作り上げてきた。夜間救急、動物医療保険制度、それに学会や治療器具まで。塩田院長が判断し、日本の動物医療にもたらされたものは枚挙に暇がない。その一方で、夜間救急への対応で、もう仮眠しかしていない生活が何年も続いているという。何がそこまで塩田院長をかりたてるのか。その理由は学生時代のある強烈な体験にあった。「獣医師になったのは、流れだよ」そう塩田院長は語る。しかし、塩田院長が語る「流れ」とは「運命」を指す言葉のように聞こえた。獣医療に従事してきた約40年間にわたる日々を塩田院長に伺った。 (取材日2014年10月20日)

夜間救急、動物医療保険を作ったパイオニア

先生がここで主に行っている治療について教えてください。

ここで診ているのは犬と猫が半々ぐらい。それと、研究所のサルやキツネが多いかな。私が得意とするのは外科系の治療で、1kgの子から100kgの子まで幅広く手術します。こんなにどんな動物でも手術できるという動物病院はそう多くないでしょう。それと、猫の心筋症に由来する血栓症は30年ぐらい手術の経験があります。この病気は多く発症するのが午後10時から午前1時で、発症から2時間以内に手術すれば助かります。当院は夜間救急もやっているので、こうした手術ができるというわけです。手術にかかる時間は、今では1件あたり15分ほど。椎間板ヘルニアの手術でも40分程度ですね。ここまで早くできるようになったのは、数万件に及ぶ手術経験によるところが大きいです。

夜間救急について詳しく教えてください。

15年ほど前に当院が夜間救急を始めた頃は、日本にはまだ全然動物病院の夜間救急がありませんでした。それまで、夜間に開院している病院がなかったです。私は、その状況に非常に憤慨していました。当院では、30年程前に当時まだ28万円もした携帯電話を買って、飼い主さんの緊急の電話に応える、ということをやってきました。自分の患者さんの責任を取るためです。でも、その携帯電話が本当にいつでも鳴るんです。私がソウルに行っているときにも鳴ったし、当院の患者さんじゃない方からも電話があった。これを受けて、「こんな状況じゃいけない、いつか夜間救急を始めなければ」と思っていたんです。現在夜間救急は、午後8時から午前3時まで電話を受け付ける体制で行っています。でも、午前3時までといっても午前4時30分ぐらいまでは稼働していますね。ずっと仮眠しかしていない生活です。

動物の医療保険制度の設立にも携わったそうですね。

そうなんです。今ではその保険会社も一部上場するほどの規模になりました。ここまで浸透して、作って良かったと思いましたね。動物の保険制度を実際に作り上げていってくれたのは小森伸昭氏という人です。当時、「こういうものが必要だと思う」と言った私に対し「それじゃあ自分が作る」と小森氏は言ったのです。まだ若かった小森氏に対し、当時は「何を考えてるんだ、この若造は」と思ったものです(笑)。初めは半年ぐらいで諦めるんだろうと思っていましたが、1年、1年半と小森との協議は続き、ついに保険制度が立ち上がりました。保険制度ができる前は、動物の治療は全額自己負担でしたが、保険制度ができて3割負担で治療が受けられるようになりました。これにより、以前よりも「治療する」という選択をする飼い主さんが増えました。動物にとっても、うれしいことでしょうね。医療保険制度以外に、獣医麻酔外科学会や獣医神経学会も立ち上げました。表に名前は出てきませんけどね。日本の動物病院ではまだまだ浸透していなかったレントゲンや心電図モニター、血液検査の器具も導入しました。こうして、新鋭の機器や治療を取り入れたりすることが多数あったけれど、苦労というような苦労はありませんでした。

自立精神を養い、命の意味をみつめた海外での学生生活

当時、日本ではまだ導入されていなかった治療を導入できたのはなぜですか?

私の出身大学はバングラデシュ農科大学というところなのですが、この学校はアメリカにあるテキサス大学の姉妹校でした。ここでの教育方法は日本の獣医学とまったく違います。200人ほど入学して、卒業したのは18人というたいへん厳しい学校です。大学を出るまでにウシやゾウ、ヤギなど1000頭近い手術を行い、ウシの狂犬病、犬の狂犬病など伝染病も多く診てきました。私が診るのを拒んだのは炭疽菌に侵されたウシぐらいのものです。この大学で鍛えられたからこそ、さまざまな分野に対して取り組む姿勢ができあがりましたね。

先生はなぜ獣医師になろうと思ったのですか? また、獣医師としてのやりがいを教えてください。

獣医師をめざしたのは、流れなんですよね。父が獣医師をやっていたことも、流れだと思う。人間がどの職業に就き、何をつくる人になるかというのは、流れ。獣医師をするために、私は毎日必死ですよ。でも、毎日が楽しくてしょうがない。すべての治療が真剣勝負だから、「一番」印象に残ったケースというのもないね。だけど、他の獣医師じゃ考えられないような治療をしていると思いますよ。例えば、前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)という腱が外れてしまった犬がいたら、私は人工の腱を作ります。普通の獣医師だったら作る気にすらならないと思うけれど、私は作る気があるから作ってしまいます。それで、通常だったら歩けなくなっている犬が、まだ普通に歩けている、ということもありますよ。

なかなか先生ほど動物医療に熱意を傾けられる獣医師はいないと思います。

学生の頃、命について考えさせられる経験をしたんです。私が学生だった当時のバングラデシュは、毎日何千という人が餓死していました。ある日、こんなことがあったんです。すぐ前を歩いている子どもが突然倒れて、餓死したんです。でも、その子どものすぐ横で、ウシとヤギが草を食べて生きているんです。それを見て、「なんでお前、ヤギに産まれてこなかったの。それなら助かったのに……」と思いました。今までで1番ショックでした。こういった経験を通して、「本当の生き物の姿」というものが見えてきたんです。私にとっては、動物も人も、命の価値は同じ。いかに苦しみや痛みを感じさせないであげるかということが、私の獣医師としての基本目標です。

苦しみや痛みを感じさせない治療の具体例を教えてください。

当院には昔レーザーがありましたが、現在はありません。理由は、レーザーがかえって体を傷付けていることがわかったからです。レーザーは患部の細胞を焼き切るものです。例えば、レーザーを使って6個の細胞が焼き死んだとしましょう。するとその細胞は、もう元には戻らないのです。でも、通常のメスを使えば、細胞は切られてもその後、再生が可能です。欧米の医学部ではレーザーのこうした悪い点がわかってきて、もう買わない方向に転換しつつあります。人間の治療で本当に必要とされるレーザーは眼科ぐらいですね。それ以外はメスに戻るというのが、今の治療なんです。それに、メスで治療したからといって、使い勝手が大きく変わるわけでもありません。血で染まるガーゼの数が2、3枚増える程度なんです。体には血管と一緒に神経が走っているから、血が出ない手術をすれば動物にとっても痛みが少ない手術は充分できるのです。

深い教養と交友関係で照らし出す未来の獣医学

先生の交友関係を教えてください。

獣医師の権威である山根義久医師とは長い付き合いですね。獣医学の話でよく盛り上がります。でも、外科の話になると山根医師は「負けました」とすぐにおっしゃいます(笑)。私は、山根先生のような素晴らしい獣医師から学ぶこともあれば、若い獣医師をたくさん育てているという自負もあります。日本だけじゃなくて、海外も含めてね。他にも、国立民族学博物館の人たちと話したり、医学部と話したり、獣医学の枠に留まらずにいろんな分野の人と話します。会話は、言語学から人類学、動物学、そして生命論の話になったりする。電化製品の試作機を、ここで初めて起動してみた、なんてこともありました。全然ジャンルの違う人でも、話が面白いからという理由で気に入ってもらえているようです。

先生の今後の展望を教えてください。

日本の獣医学の未来を変えたいです。現在、大学の獣医学部では実験動物を使わずに、ぬいぐるみを使うところがあるというんですよ。こんな悲しい話はありません。犬や猫を実際に触ったこともない、飼ったこともない、という人間には獣医師や看護師にならないでほしい。アメリカでは、獣医師になるために、学問だけでなく子どもの頃に動物に接した経験があるかどうかも問われます。でも、日本は成績だけで学生を入学させてしまう。良くないと思います。それと、アフリカでエボラ出血熱が、アメリカで西ナイル熱が発生していますね。これらの病気は近く日本に入ってきてしまうかもしれません。もし仮に入ってきた時に、獣医師はどんな働きをするのかと、しばしば考えます。例えば、西ナイル熱は鳥が運ぶ病気なので、鳥専門の獣医師が何をするのか、ということですね。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

電話相談は無料なので、なにか心配なことがあったらかけてきてください。夜中でもいいですし、東京に住んでなくたっていい。すぐ通院できない状況だとしても、相談だけでできることはあるはずです。また、薬は使わなくなっても捨てないで手元に置いておいてください。そして、病気の名前と、もらった薬の名前、薬の作用をメモしておくと、救急の場合はとても便利です。その薬がペットの命を救うこともあります。翌朝まで動物を苦しめるよりは、ずっといいでしょう。

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