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高石 裕未 院長の独自取材記事

高石動物病院

(三鷹市/三鷹駅)

最終更新日: 2023/01/22

JR中央線・総武線の三鷹駅、吉祥寺駅から徒歩で約20分、このエリアで有名なアニメーション美術館のほど近くに位置する「高石動物病院」は、のどかで緑あふれるこの地で30年以上の歴史を刻んできた。2017年1月に副院長として勤務していた高石裕未先生が先代から引き継ぎ院長に就任。飼い主とのコミュニケーションに重きをおき、「いたくない こわくない動物病院」をモットーに、日々診療に向き合う。幼い頃から、獣医師として動物たちと向き合う両親の姿を見て育ち、動物たちと共に過ごしてきた裕未先生。言葉の端々から、両親への思い、動物たちへの愛情がひしひしと伝わってくる。やさしい笑顔が印象的な裕未先生に、院長就任への思い、診療の際に大切にしていることなどについて語ってもらった。 (取材日2017年2月8日)

飼い主と対話を重ね信頼関係を築く

2017年1月、院長に就任されたのですね。

はい、そうです。日本獣医生命科学大学大学院獣医学博士過程終了後、埼玉県の動物病院に勤務し2011年から当院で副院長として診療していました。先代の院長である父と話し合い、「そろそろ世代交代を」ということで、2017年1月に院長に就任しました。これまでの業務内容と大きく変わる点は特にありませんが、院長という責任ある立場として病院運営を担っていくことを思うと、身がひきしまる思いです。わが家は父、母、弟も獣医師という「獣医一家」で、開院以来、地元を中心にたくさんの飼い主さんと一緒に歩ませていただいてきました。これからも「いたくない こわくない動物病院」をモットーに、飼い主さんや動物たちと距離の近い診療を続けていきたいと思っています。

飼い主さんたちの反応はいかがですか?また、院内の一部をリフォームされたと伺いました。

当院には、父と母が開業した頃から通い続けてくださっている飼い主さんもたくさんおられます。年配の方も多く、診療の時「お父さんとお母さんは元気ですか?」と、よく声をかけてくださるんですよ。私の小さい頃のことを知ってくださっている方も多く、「昔はここでちょこちょこしていたのよ。立派になったわね」などと声をかけていただくこともあります。そんな時は恐縮してしまいますが(笑)、いつも温かく見守ってくださり感謝の気持ちでいっぱいです。院内は、飼い主さんや動物たちにとってより温かい空間にしたいと思い、やわらかい色調の壁紙に変えるなどリフォームを行いました。第2診察室を設け、混雑時にはこちらでも対応したり、こわがりな猫ちゃんの避難スペースにしたりなどさまざまな用途で使っています。

診療の際、大切にしていることはどんなことですか?

飼い主さんとのコミュニケーションに重きをおき、信頼関係を築くことです。動物たちは、言葉はしゃべれませんが、さまざまなことを本能でキャッチします。飼い主さんが、獣医師と話をする時に緊張したり不安に思っていたりすると、動物たちはその様子を見てストレスを感じてしまいます。逆に、飼い主さんが心を開いて話をされることで、緊張していた動物たちもだんだん慣れてきて「この人は大丈夫な人なんだ」と安心してくれると思います。かわいがっている動物が苦しそうだと飼い主さんは不安になりますし、特に初めて動物を飼う飼い主さんは、どうすればよいのかわからず戸惑ってしまいます。その気持ちはそのまま動物に伝わるので、雑談を交えたり、ちょっとした映像を流すなどしながら飼い主さんに寄り添い、しっかりコミュニケーションをとることを心がけています。

教科書どおりではないオーダーメイドの治療を

病院の特徴を教えてください。

1970年代からはじまった研究により、「人と動物が良い関係性を保つことで、お互いにとって精神的にも肉体的にも良い影響を与え合う」ということがわかってきました。当院では、飼い主さんと動物が、できるだけつらい思いのない一生を送れるよう、動物たちに、なるべく怖くない痛くない治療を施しています。それぞれの疾患に対しては、さまざまなアプローチ法があります。その子のことをいちばんよくわかっている飼い主さんの意見を聞きながら、教科書どおりではないオーダーメイドの治療法をその都度ご提案し、一緒に計画を立てていくようにしています。

大学院進学をめざした理由を教えてください。また、どのような勉強をされていたのですか?

大学時代に学んだことをもっと深く勉強したいと思ったことに加え、お世話になった先生方が良い先生ばかりで、もっと一緒にいたいという気持ちも大きく、大学院進学を決めました。応援してくれた両親には今でも感謝しています。大学院時代は、さまざまなことに挑戦しました。「どうしたらよいのだろう」「私は今何をしているのだろう」などと自問自答した時期もありましたが、獣医師として根幹となる部分を築くことができたと思います。かなり長い間大学にいたことになりますが、終わってしまえばあっという間ですね。当時の学びが、すべて今につながっていると思います。

ご両親から影響を受けたことはどんなことですか?

幼い頃から、仕事をしている両親の姿をずっとそばで見てきました。両親はいつも生き生きしていましたね。動物たちが元気になって飼い主さんの元に戻っていく姿を見て、元気をもらっているように感じました。そんな姿を見て、いいな、素敵だなと思っていました。母から聞いた話なのですが、昔、雷が嫌いなわんちゃんがいて、雷がすごいのに飼い主さんがおうちにいない日があったそうです。そのわんちゃんは、一人でいるのがこわくてパニックになり逃げだし母を頼って病院までやってきて、入り口のドアをガリガリしてきたそうです。その子にとって、うちの病院は、「第2のわが家」のような存在だったのでしょうね。このエピソードを聞き、飼い主さんだけでなく動物にとっても、不安な時や心配な時に頼ってもらえる存在でありたいと改めて思いました。

「お散歩ついで」に気軽に足を運んでほしい

日々の診療を通して感じることや気になることはありますか?

医療技術の進歩により、最近は、動物も人間と同様高齢化してきています。そんななか、夏はすごく暑くなったり、冬は温かい日と寒い日の差が激しかったりなど気温の変動が激しく、体調を崩してしまうわんちゃん猫ちゃんが増えてきているように感じます。その子の年齢や体調に合うケアやアドバイスの必要性を痛感しています。また、歯周病などお口のトラブルを抱える子も多いですね。動物ができるだけ小さいうちから、口腔ケアの大切さなどもしっかり伝えていきたいと思います。

お忙しい日々の中のリフレッシュ法を教えてください。

近くに公園があるので散歩したり、吉祥寺でウインドウショッピングをしたりするくらいでしょうか。家にいても気がつくと、結局仕事のことが頭から離れないですね(笑)。自宅では、猫を2匹飼っています。12歳と13歳で、寒い日におひさまがポカポカあたるところでゴロンと気持ちよさそうに寝転がっている姿を見ると、幸せな気持ちになります。一緒に横になってのんびり過ごすのも好きですよ(笑)。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

繰り返しになりますが、これまでと同様、動物たちや飼い主さんといっしょに成長していければと思っています。スタッフ全員いつも笑顔を忘れず、一人ひとりの飼い主さんと対話を重ねながら誠実に向き合っていきたいですね。飼っているわんちゃんや猫ちゃんの誕生月に来院いただくと、記念に写真を撮ってちょっとしたプレゼントを渡すなど、飼い主さんや動物たちとの距離が近くなるような取り組みも行っていきたいと考えています。当院が、地域の皆さんのコミュニケーションの場になればうれしいですね。今でも、診察がなくても散歩のついでに立ち寄ってくださる飼い主さんもいらっしゃいます。元気な時の表情が見られると、その先の臨床につながります。気になる症状がない時も、気軽に足を運んでほしいと思います。

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