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獣医循環器認定医が診る 犬と猫の心臓検査
池上アクア動物病院
(大田区/池上駅)
最終更新日: 2021/10/12
ペットの高齢化に伴い、増加しているのが心臓疾患。犬では腫瘍に続いて2番目、猫では3番目に多い病気だ。にもかかわらず、専門的に診ることのできる獣医師は未だ少ないのが現状でもある。そんな中、日本ではまだ珍しい獣医循環器認定医である水越崇博先生が院長を務める、池上アクア動物病院。世界有数の動物専門心臓外科チームの一員でもある先生が手がける心臓検査に、今回特別に立ち合わせていただいた様子をご紹介する。(取材日2013年3月21日)
目次
気になるポイントについて聞きました!
Q.この検査は、どのようなときに受ければよいのですか?
A.老齢の犬猫、特に小型犬にはぜひ受けてほしいです。ワクチン接種などの際に胸の雑音を指摘された場合も検査をお勧めします。心臓の悪い子は定期的に。例えば「超音波検査を3ヵ月に1回」など、病状に応じてご提案します。Q.どのような心臓疾患が見つかりますか?
A.小型・中型の犬に多いのが僧帽弁閉鎖不全症。左心房と左心室の間の弁で逆流を生じる病気です。大型犬では拡張型心筋症、猫では肥大型心筋症。幼い子であれば、動脈管開存症や心房中隔欠損症など先天性の疾患も見つかります。Q.雑音以外に、心臓疾患の症状にはどのようなものがありますか?
A.目覚めや運動時など血圧上昇時に咳をする・水を飲む量が増え、おしっこも増える・運動や散歩を嫌がる・ふらついたり、失神したりする・お腹の腫れなどの症状があります。猫の場合には、何となく元気がないという症状だけのこともあります。
流れをステップで紹介します
1まずは詳しく全身状態を検査
視診や触診、聴診により、舌や歯茎など口腔内の粘膜の色、リンパ節の腫れ、血圧、心臓の雑音や不整脈の有無・程度などを確認。それとともに、心臓疾患が疑われる症状がないか、飼い主さんから日常の様子をヒアリングする。
2体の状態をとらえるため、さらに詳しく血液検査
全血球検査・生化学検査・電解質検査により心臓以外の病気の可能性を除き、心臓の薬を使う際に影響する腎臓や肝臓の機能なども調べる。すでに心臓疾患の診断がついている場合は、必要に応じて心臓マーカー検査も行う。
3レントゲン検査で、心臓・肺・気管などの状態をチェック
心臓の腫れの有無やその部位、程度などを調べる。あわせて肺や気管、脊椎などに異常がないかもチェック。心臓疾患によって循環が悪くなると、肺で鬱血が起きる。そのため、通常はレントゲンで黒く写る肺が白くなる。
4心臓の電気的な動きを知る心電図検査
不整脈の有無やその程度を見る。心臓が肥大や拡大を起こしていると波形が大きく現れたり、心臓に電気が流れるのに時間がかかって心電図の幅が広がるため、その様子を観察。暗室でのレントゲン後、動物が落ち着いたタイミングで行うことが多い。
5心臓の動きをリアルタイムで観察する超音波検査
心臓や弁の動き、弁の逸脱の有無などを見る。色分けにより血流の向きまでわかる検査機器を使用するため、弁のどのあたりで血液が逆流を起こしているのか、そのスピードや程度までとらえられることも、超音波検査の特長だ。
動物病院からのメッセージ
心臓疾患は、手術による外科治療以外に完治させる治療法がありません。内科的治療では、薬を用いて病気の進行を遅らせ、できるだけ症状がない状態で先を長くする処置になります。そのため、検査による早期発見がとても大切なのです。普段からその子の心拍数と呼吸回数を測って把握し、興奮時に咳をする・呼吸が荒く舌が紫色・よく水を飲むなど、心臓疾患が疑われる症状にも気を配り、心配な時はぜひ詳しい心臓検査を受けてください。
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