廣間純四郎 院長の独自取材記事
みなみ野動物病院
(八王子市/八王子みなみ野駅)
最終更新日: 2023/01/22
JR横浜線八王子みなみ野駅よりバスで「みなみ野5丁目」下車すぐの緑豊かな住宅街の中に、「みなみ野動物病院」がある。廣間純四郎院長を含め4人のドクターがおり、皆勉熱心。オールマイティに診療をこなすことがメインのため、専門は特に謳っていないが、それぞれ二次診療を行っている病院で研鑽を積んでいるという。廣間院長自身も母校である麻布大学の放射線科で研修を受け、画像診断と軟部外科・神経外科・整形外科が得意。また、内科医として開院している父を尊敬し、そのことが医療を志した原点となっているという。白衣は着用せず、ポロシャツで診療にあたることが多く、これも父が私服で診療していたことに由来するそう。「設備の整った“赤ヒゲ先生”をめざし、お困りの飼い主さんや動物たちのためにお役に立ちたいと思っています」と廣間院長。その診療に対する思いについて、じっくりとお話を伺った。 (取材日2014年7月28日)
画像診断で多くの命を救ってきた、設備が整った“赤ヒゲ先生”
大学をご卒業後から開院までの経緯について、教えてください。
麻布大学獣医学部を卒業後、3年間勤務医をしました。1軒目は川崎市にある犬猫専門のクリニックで2年間、その後、八王子市内にある犬猫専門のクリニックで1年間お世話になりました。2軒目の山本動物病院の山本院長は、私のめざす臨床を体現されている方で、とても尊敬しています。動物たちにはもちろん、飼い主の方に対してもとても暖かく接してらして、そんな山本院長のお人柄を慕ってたくさんの患者さんがいらしていましたね。私自身、診療から手術まで、文字通り手取足取りでさまざまなことを教えていただきました。飲みに連れて行っていただいたり、ご飯をごちそうになったりしながら、私生活についてまでご指導いただいた感じですね。1年間勉強させていただき、臨床の経験を積み、当地に開院することに決めました。山本院長とは、今でもお付き合いをさせていただいています。
どのようなクリニック作りをされていますか?
犬や猫たちのホームドクターとして、設備が整っている“赤ヒゲ先生”をめざしています。お困りの方がいらしたら、どんなことでもご相談にいらしていただきたいと思っています。クリニックの特色については特に謳ってはいないのですが、あえて言うなら、画像診断と外科はわりと得意な方でしょうか。言葉を発さない犬や猫の診療ですから、画像検査はとても重要な役割を果たしていますね。当クリニックには超音波、レントゲン、内視鏡がありまして、特に消化器疾患の診断率はかなり向上しています。また、異物を食べてしまった場合など、内視鏡で取れることも多く手術をしないで済みますので、動物たちの負担が減るのも良い点ですね。他に、整形の専門ドクターに、毎月1回来ていただいています。専門のドクターに来ていただくことで、私も含めスタッフ達にとっても勉強になりますし、さらにより良い医療を患者さんにご提供できると思っています。
診療に際して、どのようなことを心がけていますか?
ペットへの愛情のかけ方は、人それぞれですよね。番犬として頼りにされている方もいれば家族の一員として考えておいでの方もいらっしゃいます。飼い主さんが何を望んでいるのかということや、どこまで費用をかけられるかなどをこちらが汲み取って、その人に合った医療をご提供できるよう心がけています。また、検査や設備投資などについて、無駄なことはしないようにしています。検査については、本当に必要と思われるものだけを積極的にお勧めしています。
患者へ親身に対応する父を尊敬し、飼い主やペットの気持ちに添った診療をめざす
医療の道を志したきっかけについて、教えてください。
愛知県の実家で父が町医者をしておりまして、困っている人を放っておけないような人で、内科、小児科、眼科など、あらゆる疾患について診ていました。患者さんのお体や時間、医療費などの負担についても配慮して、必要のない検査や設備投資はしないという考えから、聴診器ひとつで診療にあたっていました。また、病気を診るだけでなく、家庭の悩みになどについても親身になって相談を受けていたので、地域の方たちから慕われていましたね。そんな父の姿を見て、幼稚園の頃から医師になりたいと思っていました。私のめざす医療の原点は、父にあったと言っても過言ではありません。結果的に人間を診る医師ではなく獣医師の道を選択しましたが、臨床に対する想いに変わりはありませんね。自宅が病院でしたし、実家にいた時は動物を飼ったことがなかったのですが、大学生になって一人暮らしをしていた頃、知人から猫を譲り受けて以来約13年間一緒に過ごせました。この経験からも、ペットを大切に思う患者さんたちのお気持ちに添った診療をしていきたいと強く思っています。
お父様の、どういったところを尊敬されていますか?
本当に患者さんのために診療を行っているところですね。患者さんを増やすことを目的とした病院同士の競争とは無縁で、ずっと町医者としてのスタイルを変えずにやっています。自宅で診療していたためか、夜間に緊急で来られる患者さんもいらっしゃり、受けていました。病気の時だけでなく悩み事の相談までされて、嫌な顔一つせずに親身になって答えていて、子ども心にすごい人だなぁと思っていましたね。父ほどのことができるかわかりませんが、私もお困りの飼い主さんや動物たちのために、最善を尽くしたいと思っています。
獣医師になって良かったと思うのは、どのような時ですか?
犬や猫の寿命は人間より短いですし、生まれてから亡くなるまでの一生を診ることができるという点にやり甲斐を感じていますね。また、人間を診る医師ですと、血液検査や画像診断などは専門の病院にゆだねることが多く、内科、外科、皮膚科、眼科という風に診療内容が細分化されていますが、獣医師は科の区別がありませんので、診断から治療、手術まで、全てのことに携われることにもやり甲斐があると思っています。その都度臨機応変な対応ができるオールマイティな獣医師をめざしていますが、難しい症状の場合は専門のクリニックをご紹介して行っていただくこともあります。また、難しい外科手術の場合は専門のドクターにお越しいただくことが多いですね。その方が患者さんの負担が減りますし、スタッフたちも手術の様子を見せていただいて勉強できます。
犬や猫のホームドクターとして、より良い医療を提供していきたい
お忙しい中、どのようにリフレッシュされていますか?
車やバイク、自転車に乗って出かけることが好きです。車はメカニックについては詳しくないのですが、最近USトヨタの「タンドラ」という5700CCの大型車を買いました。念願の車を購入できてうれしいのですが、ドライブする暇がなかなかないですね(苦笑)。自転車は、友人にサイクリングに誘われて、最近始めたばかりです。麻布大学で教えている仲の良い後輩がサイクリングを趣味としているので、そのうち一緒に走りに行けたらいいなと思っています。また、バーベキューをするのも最近の楽しみです。日本バーベキュー協会の上級を持っている知人に美味しい焼き方を教えてもらい、スタッフや仲間を自宅に招き、楽しんでいます。あとは、お酒を飲むことが好きですね。2軒目のクリニックでお世話になった山本院長や、友人たちと飲みに行くこともありますし……いわゆる“飲み二ケーション”ですね(笑)。人とのつながりを大切にしたいと思っています。ひとりでじっくり飲みに行って、色々と考えをめぐらせることもあります。
今後のクリニックの展望について、お話しください。
動物病院も患者さんを獲得するための努力をするようになり、必要以上に設備や建物を充実させたり、割引などサービスに力を入れていくところが増えていると思います。しかし、私は医療そのものを提供していきたいと考えています。設備についても今のところは超音波やレントゲン、内視鏡を重宝していますが、町医者として患者さんにとって必要な医療機器があれば、取り入れていきたいですね。他は、自然体でい続けることでしょうか。白衣で診療していないことも、何かを狙っているわけではなく、自然なんです(笑)。他のドクターにはスクラブという、丈が短かくて首元がVネックになっているドクターウェアを着用してもらっていますが、私は私服のポロシャツで診療することが多いですね。飼い主さんと同じ目線でいられることにも、役立っていると思います。
ドクターズ・ファイルの読者に、メッセージをお願いします。
信頼できる獣医師を見つけることが大事だと思います。人それぞれ、皆求めることが違うと思うんですね。例えば、最新の設備が整っているところがいい、ひとりの先生にじっくり診てもらえるところがいい、費用があまりかからないところがいい、逆に費用が高い方が高度なことをしてもらえそうでいい……など。なかなか思うようなクリニックに出会えず点々としていると、ワンちゃん猫ちゃんがいつまでたってもクリニックに馴染むことができませんし、獣医師側もコミュニケーションがとりづらいですね。飼い主さんがご自分に合ったクリニックを見つけて、その獣医師を信頼して任せていらっしゃることが、ペットにとっても安心できる環境につながると思います。ぜひ、大事なペットをずっとお任せできるようなホームドクターを見つけてください。当クリニックも、飼い主さんやワンちゃん猫ちゃんたちに信頼していただけるよう、スタッフ共々尽くしていきたいと思っています。