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- 保坂 創史 院長、保坂 記世 副院長
保坂 創史 院長、保坂 記世 副院長の独自取材記事
南大沢どうぶつ病院
(八王子市/南大沢駅)
最終更新日: 2023/01/22
八王子市の南大沢駅からバスで10分ほどの柚木街道沿いにある「南大沢どうぶつ病院」は、計9台分の駐車場を有する車でも通いやすいクリニックだ。日野市や多摩市、町田市に近接し、腫瘍科と循環器科の専門科を持つ同院には、近隣住民をはじめ多くの患者が訪れる。丸みを帯びたアイボリーの外観に、ブラウンとホワイトの内装がくつろいだ雰囲気を醸し出す建物は、2011年に建てられた。2004年から近隣で開業していた院長の保坂創史先生と副院長で妻の記世先生は、移転によりさらに充実した環境や設備を取り入れることができたという。動物だけでなく飼い主の心のケアも大切にしていると穏やかに話す2人に、獣医療への思いを聞いた。 (取材日2018年1月9日)
専門性のある地域獣医療の受け皿に
温かみがあって、とてもかわいらしい建物ですね。
【院長】もともと2004年から近くのテナントで開業していましたが、手狭になり2011年7月に新築し移転しました。以前から丸みのあるデザインを採用しており、開業当初から来ていただいている方にも安心してもらえると思い、引き続き取り入れています。診察室は2つから3つに増やして一つ一つが広くなり、動物や飼い主さんたちにとっても過ごしやすくなったと思います。腫瘍科や心臓疾患の相談に来られる方が多いので、レントゲンや超音波のカラードップラ―も新しさにこだわって取り入れました。院内にはカメラを設置しているので、例えば入院中の動物を興奮させることなく、飼い主さんにモニターで様子を見ていただくこともできます。
腫瘍科と循環器のトラブルに関する来院が多いのでしょうか?
【院長】開業当初から、腫瘍に関する悩みをもつ動物を多く診てきました。実際、千葉や埼玉、神奈川からいらっしゃる方もいます。また、少しでも痛みの少ない治療を探し、遠方から来院される方もいらっしゃいますね。やはり僕は腫瘍科を担当することが多いですが、その子が違う病気になってももちろん診ますし、当院には循環器科の副院長のほか、皮膚科や内科、健康診断を担当できる獣医師を含めた4人で診療しているので、さまざまなご相談に対応できます。基本的に犬猫専門で、ワンちゃんが6割、猫ちゃんが4割ほどの割合で来院されています。
お二人が診療の際に大事にされていることをお聞かせください。
【院長】動物の状況を診ることはもちろんですが、動物自身は言葉がしゃべれないので、飼い主さんとしっかりとお話させていただきます。まずはご自宅で感じられた変化を伺って症状を把握するので、お話を聞き漏らさないよう気を付けています。治せる場合はもちろんお伝えし、もし厳しい場合でもやはりお伝えして、動物たちがどうすれば快適に過ごせるかどうかを提案し、治療方針をご相談します。他の医療機関との連携や紹介も可能です。その子と飼い主さんにとって一番いい治療を見つけるために、しっかりとしたインフォームドコンセントを重視しています。 【副院長】私どものほうからも、ご自宅での状況がわかるような質問の仕方ができるよう工夫しています。不安に思われている飼い主さんの心が少しでも楽になるように、しっかりとお話しながら治療していくことが大切です。
医師とスタッフ、みんなで一丸となり、健康を守る
どのようなときに来院してほしいとお考えですか?
【院長】やはり皮膚など見えるところのしこりは気になるところではないでしょうか。心配ならばご相談いただければと思います。見つかりにくいがんなどもありますが、早期に発見して治療することが重要です。そのためにも元気な時に健康診断を受けてほしいですね。 【副院長】特に猫ちゃんは特定できる症状が少ない場合もありますので、いつもより元気がない、うずくまっている時間が長いといった少しの変化でも心臓に異常が見つかるケースが意外と多いです。詳しい検査を行っておらず不安があるという方にも、来ていただきたいですね。
クリニックではトリミングも取り入れていますね。
【院長】動物病院で行うことに安心感を感じられる方が多いようです。トリマーさんがいると、例えば僕たちが処置した後に少し汚くなってしまっても、飼い主さんにお返しする前にさっときれいにしてもらえます。動物看護師さんの場合は皮膚のしこりを発見してくれたり、耳掃除で異常を見つけてくれたりすることがありますね。トリミングのスタッフたちは実際にその子と接している時間がやはり獣医師たちよりも長いので、体調の変化を僕たちよりも早く見抜いてくれます。よく動物を観て仕事してくれているなと感心させられます。
長く勤めていらっしゃるスタッフも多いようですが、秘訣はありますか?
【院長】当院には院内のスタッフ兼トリマーが5人いますが、スタッフたちは皆好かれていて、すごくいい子たちばかりです。出産しても戻ってきてくれるスタッフがいるので、働きやすい環境と思ってもらえているようです。手術の時は遅くなってしまったり、休憩時間が順番になってしまったりと負荷をかけてしまうこともありますが、みなしっかりとやってくれており助かっています。 【副院長】現在は小学生から幼児の子どもがいるので、私は昔よりも病院にいられないのですが、皆楽しそうに働いてくれていて、とてもコミュニケーションが取れていると思います。私からみてもスタッフ同士、とても仲が良いですね。
早期発見の啓発と飼い主の心のケアを重視
お二人が獣医師をめざされたきっかけは?
【院長】高校生の時に進路を決めました。飼い猫の具合が悪くなった時に動物病院に連れて行ったら亡くなるまでがすごく早くて、とても悔しい思いをしたこともきっかけです。自分が獣医師になった今では、手の施しようのない病気だったのだと推測できるのですが、当時は猫の変化に気付けなかった自分が悔しかったですね。腫瘍科はペットの高齢化とともに増えてくる病気であり、しっかりとした診断・治療をしたいと思い選びましたが、やはりテーマは早期発見・早期治療です。 【副院長】私は小学生の時に猫を亡くしたことがきっかけです。その時の獣医師が当時はまだ珍しかった女性の先生で、すごく憧れました。小学校の卒業文集にも書いています。循環器科を学んだのもあきらめずに治療を続ける女性の先輩が魅力的だったからですね。犬種によって病気や治療に違いがあって奥深く、勉強していて楽しい分野だと思いました。
やりがいを感じるのはどのようなときでしょうか。
【院長】飼い主さんに感謝されたり、具合の悪かった子が元気になってタタタっと診察室に入ってきたりしたときは、すごくうれしいですね。年齢や病気によってはどうしても助けられない場合もあるのですが、前の子を亡くした飼い主さんが新しい子を飼って来院していただけると、信頼してくれているのだと感じますし、救われます。 【副院長】私自身、動物がすごく好きなので、言葉では言えない苦しみを抱えている子を助けてあげられたときはうれしいです。悲しい場合もあるのですが、次の子と来院していただけると治療に納得していただけたのかなと安心します。
読者にメッセージをお願いします。
【院長】健康診断はとても重要だと思っています。腫瘍であっても、種類によっては早期に発見してしっかり治療をすれば治せる場合も多いのです。症状が出てからでは進行している場合も多いので、特に6歳以降は少なくとも年に1回の健康診断をお勧めします。そしてやはりスキンシップをたくさんしてあげてください。体を触ったり、歯磨きをしている時に口の中のがんに気付いたりすることもあります。変化を見逃さないことがとても大切です。 【副院長】飼い主さんの心のケアもとても重要だと考えているので、不安に思っていることやお考えを、どんなことでもお話しください。診断の助けにもなりますし、アドバイスをさせていただくこともできます。私たちも子どもを持ち、具合の悪い患者の代わりに症状を上手に伝える難しさを感じましたし、聞く側の姿勢も改めて意識しました。たくさんお話をしながら、心が楽になる診療をしていきたいと思っています。