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誤飲した異物の除去や組織採取など 獣医療の幅を広げる内視鏡
すぎもと動物病院
(練馬区/上石神井駅)
最終更新日: 2024/04/09
体の内側から患部を確認できる内視鏡は、人間と同じように動物の診療でも使われている。例えば腫瘍の状態を確認したり、生体検査のために組織を採取したり、誤って飲み込んでしまった異物の除去も可能だ。「すぎもと動物病院」の杉本祐一院長は、二次診療施設で夜間救急に携わった経験から内視鏡の必要性を実感し、開業時より診療に取り入れてきた。これまでに数多くの内視鏡検査を手がけ、今もなお勉強会などを通じて消化器の病気に関する知識を深めている。そんな杉本院長に、動物の内視鏡検査はどのように行われるのか詳しく話を聞いた。(取材日2024年1月29日)
目次
開腹することなく誤飲した異物の除去や組織採取などを図れる。確定診断をサポートし診療の幅を広げる内視鏡
Q.そもそも内視鏡とはどのようなものでしょうか?
A.消化管にスコープを挿入して、消化管内を確認する検査機器です。人の医療でいうところの「胃・大腸カメラ」ですね。「何かしらの異常がありそうだ」という場合、基本的にはまず超音波やエックス線を使った検査を行います。しかしそれだけでは情報が不足している、生体検査をしてみないと確定診断が難しいと判断することも。そのような際に内視鏡があれば、先端に鉗子がついているので、異物の除去や組織の採取が行えるのです。もしないとなれば、開腹手術を行わなければなりません。動物の体への負担を減らそうと考えたとき、内視鏡は有用でしょう。ちなみに当院ではさらなる動物の体への負担軽減を図るために細いスコープを使用しています。▲動物の体への負担が少ない内視鏡を使用
Q.内視鏡検査の流れについて教えてください。
A.内視鏡検査は体勢をまっすぐに保つ必要があるため、まず全身麻酔をかけます。その後内視鏡を挿入し、患部の確認や組織の採取を実施。そして検査結果をもとに確定診断や治療に進みます。特に問題がなければ目覚めた後に帰宅となりますが、内視鏡検査を実施するということは病気の疑いがあるということ。検査後そのまま入院となるケースも少なくありません。現状どの動物病院でも内視鏡を導入しているわけではないので、対応している場所を探したり、大学病院へ予約したりする必要があります。当院でも大学に付属の動物病院をご紹介することはできますが、内視鏡を含めた多様な検査・入院設備を整え、可能な限り院内で対応できるよう努めています。▲数多くの内視鏡検査の経験を持つ杉本院長
Q.こちらでは開業時から内視鏡検査に対応されているのですね。
A.はい。私は開業前に二次診療施設で夜間救急に携わっていたのですが、誤飲や消化器の症状から内視鏡検査を必要とする場面がとても多かったんです。その経験を踏まえ、開業時から内視鏡検査、また夜間診療にも対応しています。トラブルは時間を問わず起こり得ますし、超音波やエックス線の検査だけでは判断が難しいこともありますからね。例えば消化器にできた腫瘍が良性なのか悪性なのか、その見極めや確定診断の際に内視鏡検査は欠かせないと考えています。今後も質の高い内視鏡検査の実施や適切な診断をめざすために、勉強会に参加して消化器の病気に関する知識をさらに深めたり、消化器を専門とする先生のもとで研鑽を積んだりしています。▲急なトラブルにも対応できるよう、夜間診療にも対応している同院
Q.内視鏡検査の実施はどのような場面で検討されるのでしょうか?
A.例えば、若い動物で吐き気が止まらないというケースですね。高齢ならば腫瘍の可能性が高いのですが、まだ若ければ異物の誤飲を先に疑います。ただしすぐに内視鏡検査を実施するのではなく、まずはバリウムを飲ませて状態を確認。胃からバリウムが流れてこないとなれば、内視鏡検査を検討するという流れになるでしょう。また悪性腫瘍の疑いがある場合も内視鏡検査を提案することがあります。腫瘍が良性か悪性かは、超音波検査やエックス線検査だけでは判断が難しく、組織検査が必要になることがありますからね。▲内視鏡検査は悪性腫瘍を見極めるために有用だという
Q.日頃の生活の中で、家族にできることがあれば教えてください。
A.ワンちゃん猫ちゃんの誤飲は、ご家族のちょっとした気配りで防げるのではないかと思います。当院にも「ペットの元気がないけれど、病気ではないか」と心配して来られる方が多いのですが、実は気づかぬうちに誤飲をしていたというケースがよく見られます。ひもや小さな異物など誤飲の原因になるものが、ワンちゃん猫ちゃんの行動範囲内に落ちていないかを確認してあげてください。また消化器の病気になると、嘔吐や下痢が続いたり体重が徐々に減ったりすることが多いです。トイレのチェックに加えて、体重測定を日課にすれば異変に気づきやすくなるかもしれませんね。▲少しでも気になることがあれば気軽に相談してほしい
動物病院からのメッセージ
杉本祐一院長
異物の除去や組織の採取などを、開腹手術を行わずに対応できるのが内視鏡検査のメリットです。しかし検査のベースは血液検査・エックス線検査・超音波検査であり、その延長線上に内視鏡検査があるんですね。つまり、内視鏡はより詳しい検査や難しい症例の確定診断を図ることができる、院内でできることの幅を広げるためのツールだということ。ワンちゃん猫ちゃんの体は私たちよりはるかに小さく、さまざまなトラブルも起こりがちです。消化器の病気や腫瘍など、外から見ただけではわからないこともあります。もし少しでも気になることがあればすぐに来てください。
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