鴨林 慶 院長の独自取材記事
彩の森動物病院
(狭山市/狭山市駅)
最終更新日: 2023/11/30
専門性の高い獣医師をそろえ、幅広い診療科目に対応する「彩の森動物病院」。トリミングサロンやペットホテルを併設し、大切なペットとの暮らしに長く並走してくれる動物病院だ。院長の鴨林慶先生が心がけているのは、「透明性を重視し、飼い主さんに誠実な獣医療を提供すること」と、「知識や技術だけでなく、人間性も大切にして獣医療を学び続けること」。治療の選択肢はすべて開示し、治癒の可能性や費用面など、飼い主が後悔のない選択ができるようサポート。「その時できる治療が、その子と飼い主さんにとって最善の治療とは限りません」と話す鴨林先生と向き合うと、ペットにとって何が幸せかを真摯に考え抜く誠実な人柄がわかる。「自分が飼い主だったらどうしてほしいかを考えている」という鴨林先生に、同院の特徴や診療方針について聞いた。(取材日2023年10月6日)
治療からトリミング、預かりまでをトータルサポート
こちらには2019年に移転されたと伺いました。
もともとこの近くで2012年から開業していたのですが、ありがたいことに多くの患者さんに来ていただけるようになり、増床を目的として移転しました。広さは以前の4倍近くになり、駐車場も全部で26台分用意しています。遠方から来院される場合や、緊急の場合もスムーズに駐車できるので、安心して受診していただきたいですね。ちなみに、当院は麻酔を必要とする手術や処置を除いて予約は不要です。すぐに診たほうが良いと判断すれば、他の飼い主さんのご理解を得てできる限り早く診察していますので、気になる症状があるときは遠慮なくお声がけください。ただし、初診の方は詳しく様子をお伺いする必要があるため、時間に余裕をもってお越しいただくことをお勧めします。
広々として明るく、気持ちの良い動物病院ですね。
ありがとうございます。入口を入ってすぐの天井が吹き抜けになっているので、開放感がありますよね。心配事や悩み事を抱えて受診された際にも、少しでも心地良く過ごしていただきたいと思っています。以前よりたくさんの患者さんを受け入れられるようになりましたが、予防接種が必要な時期などはとても混み合い、お待たせしてしまうことも少なくありません。担当する獣医師がいても場所がないから診察できないという状態を少しでもなくすため、診察室は6室備えました。また、犬の声やにおいが苦手な猫の負担を減らすため、犬と猫で待合室、入院室、ホテルを分けているのもこだわりの一つです。
トリミングサロンやペットホテルも併設されています。
病気やけがの治療はもちろん、トリミングやワクチンの接種、飼い主さんがどうしてもペットを残して出かけなければならない場合の預かりまで、トータルでペットとの暮らしをサポートするのが当院のコンセプト。「トリミングサロン hydepark」を併設し、トリミングとペットホテルのニーズに対応しています。トリミングサロンやホテルの利用中に体調を崩すようなことがあれば、当院の獣医師たちが速やかに、かつ適切に対応できるとあって、高齢の子や持病を持っている子をお預かりすることも多いですね。私の尊敬する大先輩で、ジャパンケネルクラブ公認訓練士が担当するしつけ教室も好評です。動物たちと長く、幸せな暮らしをしていただくために、上手に当院と併設施設を利用していただけたらうれしいです。
全員が常に高度医療に触れ、意識と技術をアップデート
診療内容が非常に幅広いですね。
当院には10人の獣医師が在籍しており、それぞれが外科、循環器、眼科、血液・免疫疾患、呼吸器疾患、エキゾチックアニマルと異なる分野の専門性の高い先生のもとでご指導いただいております。この点は当院の大きな特徴であり、強みでもありますね。一人ひとりが自分の専門性を生かして得意分野の治療を担いつつ、お互いの知見を共有し合うことで全体のレベルアップにもつながっています。また、今ある技術にあぐらをかかず、高いレベルの治療に触れて知見と技術をアップデートし続けてほしいという思いを込めて、私を含めた全員が専門性の高い診療施設にて毎週ご指導いただいています。指導いただく先生方は獣医師としてはもちろん人間的にも尊敬できる、信頼できる先生方なので、スタッフの人としての成長にもつながっていると感じています。
スタッフが学び続け、高め合える環境づくりに力を入れているのですね。
獣医師だけでなくそのほかのスタッフも、みんなが働きやすいと感じられる場所にしたいと思っています。みんなに伝えているのは、チーム内で陰口を言わないこと、派閥づくりなどはしないこと。誰か一人でも、働きづらい環境を作らないようにみんなで意識すること。そして、全員が一つのチームとして、心を一つにして働こうということです。人間関係のストレスがあると、仕事に身が入らなくなり、治療や対応の質が落ちて患者さんに迷惑をかけてしまいます。ぎすぎすした雰囲気だと、患者さんにも嫌な感じを与えますよね。そのような意識で環境作りをしたところ、スタッフの間に壁がなくなり、全員が尊敬し合って働けるようになりましたし、獣医療のレベルも、患者さんへの対応の質も大きく向上していると実感しております。
2次診療施設での経験は、高度医療が必要な難症例での連携にも生かされているのでしょうか。
そうですね。全員が高度医療の現場で難症例を見てきているので、「院内で治療できるか、高度医療施設への紹介が必要か」の判断はスムーズにできています。開業医として、自分の動物病院でできることを確実にこなすのは当然のこと。それと同じくらい、できないことをできないと判断し、必要な治療を提供できる高度医療施設との架け橋になることも大切な使命だと考えています。
治療の選択肢をすべて開示し、飼い主に寄り添う
予防医学の発展で、ペットの高齢化も進んでいるとか。
そうですね。動物も高齢になるといろいろな体のトラブルが発生しますから、開院当初から「Dog Dock」「Cat Dock」を実施し、飼い主の皆さんの予防意識を高めることに尽力してきました。人間ドックと同じように全身の状態をくまなくチェックし、問題が見つかれば飼い主さんと相談しながら治療していきます。病気の早期発見・早期治療につながるだけではなく、患者さんの基礎データや病気の進行速度を把握するためにも有用です。最近ではすっかり定着して、毎年1回、確実に受診してくれる子が増えました。特に問題のない若い世代であれば1年に1回で大丈夫ですが、年齢を重ねた子や何か不安なところがある子は頻度を増やしていただくと安心ですね。
診療では、どんなことを心がけていますか。
すべてをオープンにして、「動物の病気を一緒に治していきましょう」というのが当院の基本的なスタンスです。検査・治療を行っている様子をできるだけ飼い主さんに見ていただくようにしていますし、検査結果や治療内容は決してうやむやにせず丁寧に説明します。難しい話は、エックス線検査や超音波検査の画像を一緒に見ていただいたり、ボードに図解したりして可視化することも多いです。「先生がそう言うならお任せします」と言わせてしまわないように、飼い主さんが最善だと思う方法を選べるまでサポートしたいと思っています。治療により期待できる効果と費用が見合わない場合や、治療してもそれほど改善が見込めないと思われるときは、正直にお伝えして治療しすぎないようにすることも獣医師の責務。どんなときも「自分が飼い主だったらどうしたいか」を考えて、飼い主さんと一緒に治療の方向性を判断していきたいですね。
最後に、今後の展望をお聞かせください。
患者さんに優しい誠実な獣医療を貫くには、学び続けるしかないと思っています。さまざまな病気を発見できる、治療できる総合病院として頼っていただけるようにスタッフ全員が努力して、理にかなった獣医療を提供してまいります。病気やけがだけでなく、耳掃除、爪切り、ヒゲカットなどについてもご相談ください。