関東では高級住宅街の代名詞となっている東京・大田区田園調布。駅から7分の便利な場所で、30年近く診療を続けているのが「アーク動物病院」だ。麻布大学獣医学部の同級生だった院長の増川洋史先生と奥様の増川薫先生は開院当初から、犬猫以外にもフェレット・ウサギ・ハムスター・プレーリードッグ・モルモット・リスや小鳥など小動物の診療を続けてきた。総合医として一次診療を行ないたいという思いから幅広い診療内容を提供するほか、日本補助犬協会のメディカルサポートや野生動物の保護など、動物たちのために様々な支援も行なっている。病院に洋史院長と薫先生をたずね、診療スタンスやペットとの付き合い方、愛犬・ボンゾとのなれ初めなど興味深く話を聞いた。
(取材日2014年8月14日)
―開業の経緯や地域の特徴を教えてください。
【洋史先生】僕が東京出身なので都内を希望していましたが、あえて田園調布を選んだのではなかったんです。薫先生が移転前の店舗を見つけてきて、条件が合ったので開業しました。開業は1986年11月、2000年にここに移転しました。当初は近隣の方が患者さんでしたが、転居されても遠くから通ってくれる方が増えています。
【薫先生】この地域ではハムスターや小鳥などどんなに小さな動物でも、費用は関係なく良い医療をしてほしい、この子を助けてほしいという方が多いようです。開業当時、小動物を見られる動物病院があまりなくて、私も獣医師になってから国内外でセミナーを受講するなど積極的に勉強しました。珍しいペットでは、お猿さんを飼っている方が通われていました。飼い主さんがいないと威嚇して私たちにも触らせないので、最初は治療のため麻酔をかけるしかなかったのですが、次第に私にだけは逆らわなくなりました(笑)。
―麻酔と聞くと身構えてしまう飼い主も多いと思います。
【洋史先生】僕が学生の頃は大学の実習でも麻酔事故が起きるほどでしたが、近年は質が上がり、事故率は下がっています。最近の麻酔事故はリスクの見逃がしによるものが多く、事前の検査が不十分で起きる場合がほとんどです。要点をきちんと押さえ、覚めた後も興奮して暴れないように手をかけることが必要です。当院では年に2回、麻酔をかけて歯石をとる子がいるくらい、飼い主さんが信頼してくれています。
【薫先生】動物医療全体としても最近は交通事故より少ない確率と思います。安全な麻酔と手術、日頃の健康管理のためにも、定期的に健康診断を受けて変化に気づいてあげてほしいです。麻酔と一言で言いますが注射麻酔と吸入麻酔とありますし、当院では全身麻酔の際には静脈確保し必ず点滴をしながら行ないます。モニターを確実に行ない、変化があったときにすぐに対応できる状態で全身麻酔を行います。
―待合室がすごく広いですね。
【洋史先生】落ち着かないペットを連れた方が3組いても大丈夫という点にこだわって、設計してもらいました。
【薫先生】この付近は大型犬が多い地区ですし、モルモットや小鳥を連れた飼い主さんは、犬猫が近くにいると緊張しますよね。車いすの方もペットや補助犬とご一緒に来院できるようにと思ってバリアフリーにしました。すると補助犬を連れた方が見えるようになり、日本補助犬協会の方とつながりができて、私も人生が変わりました。
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