駅から近く、交通アクセスのよい場所に立地する「ひとみ動物病院」。個人開業の動物病院では珍しく、がんの専門的な治療を受けることができる病院だ。院長の人見隆彦先生は、日本獣医がん学会腫瘍認定医の資格を有し、開業に至るまでにも専門的な治療に取り組んできた。「今後はがんや病気になりにくい、予防医学にも力を入れていきたい」と話す人見先生。休日であったはずの取材日前日も、深夜2時まで手術を行い、その後も術後が心配でずっとその犬に付き添っていたという。動物が好きだからこそと、やわらかい笑顔で治療について語る先生に、ペットに対してがん治療を行うということについて、またその時の飼い主としての向き合い方まで詳しく話を聞かせてもらった。
(取材日2014年12月1日)
―がん治療に特化している動物病院は、珍しいのではないでしょうか。
学生時代に、授業の一環で病院実習がありました。そのなかでがんに苦しむ動物たちを多く見て、もっと専門的に治療できるところが増えれば、助かる命も多くなるのではないかと感じたんです。そこからいろいろな場所で研修をさせていただきながら、知識を増やしていきました。日本獣医がん学会腫瘍認定医の資格もその流れで取得したものです。以前と比べて、ペットに対するがん治療の選択肢は格段に増えてきています。外科手術、放射線治療、抗がん剤……当院にいらっしゃる飼い主さんには、いろいろな選択肢から選べることを教えてあげたいですね。
―医院のホームページにも犬猫がなりやすいがんについて、詳しく掲載されていますね。
それぞれのがんによって、なりやすい年代が異なります。また、犬種や血統によってがんにかかりやすい種類があったりもするんです。現代では長生きをするペットが増えたので、がんに罹りやすくなっていると言われています。犬であれば半数以上ががんに罹患するとされていますが、これは環境の向上により寿命が延びたことと、昔は検査や治療が施されずに亡くなっていく犬が多かったことも背景にあります。
―がん治療を行うにあたり、気にかけていることはありますか?
栄養管理をしっかり行うようにしています。がんがあって、痛みや吐き気など様々な原因で食事が摂れないなら、まずは鎮痛剤や吐き気止めなど対症療法をしっかりと行います。食欲が戻らなければ、胃ろうをつけてあげることもあります。動物の場合、闘病の結果がんで亡くなるというより、食事が摂れなくて栄養が足りずに亡くなることが多いです。つらい状態の子に無理に食事を与える、嫌がる子の口をこじあけて薬を飲ませるというのは、飼い主・ペットともにストレスがかかりとても苦しいことです。私が一番目指したいのは、楽しく治療に挑むということです。
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