花見川団地と国道262号線を結ぶ通り沿いには、ホームセンターや大手古書店などが連なっているが、その一角にあるのが「石井どうぶつ病院」だ。エントランス上の看板に描かれた猫のイラストが親しみやすい雰囲気を醸し出す。石井聡院長は、子どもの頃、豊かな大自然の中で動物とともに暮らしたいと思い、獣医師の道をめざしたという。世界最長距離を走る犬ぞりレースのサポートスタッフとしてアラスカに滞在したり、西サモア(現・サモア)には海外青年協力隊として派遣されるなど、さまざまな貴重な体験を重ねている。「ペットを飼う上で一番大切なことは、動物も人間もともに楽しく幸せを感じられること」と話す石井院長。地域の獣医療への思いなどについて話を聞いた。
(取材日2017年1月25日)
―開業してから18年経っておられますが、どんな変化をお感じですか。
獣医療はここ20年くらいの間に急速に進化しています。それに呼応するかのように、より高度で専門的な獣医療を希望する飼い主さんが増えていると感じます。ペットも家族の一員として、より長く一緒に暮らしたいと考えておられるのでしょう。この地域に限らず全体的な傾向だと思いますが、飼い主さんの高齢化も進んでいます。ご高齢の方でもう一度ペットを飼いたいと思っても、躊躇されてしまうということも多いですね。ペットを飼った経験から責任感が強く、いい加減な気持ちでは飼えないと思われるようです。
―具体的にはどんな不安を感じられるのでしょうか。
ご本人の年齢を考えると、自分が責任を持って動物の最期まで面倒をみられないのではないかと不安に思われるようです。ですが、そういったご高齢の方にこそ本当はペットを飼っていただきたいのですね。ご高齢の方は、お子さんたちも独立して家を出てしまい、孤独を感じることもあると思います。そんな時こそペットと暮らす楽しさを味わっていただきたいのです。現在、私は千葉市獣医師会に所属しておりますが、獣医師会でも飼い主さんの高齢化については議論に上がっていて、大きな課題と捉えています。獣医師や飼い主さん、お互いできることはたくさんあると思います。今後は、行政の協力なども得ながらより良い解決法を探っていきたいと考えています。
―石井院長が獣医師をめざされたきっかけを教えてください。
もともと動物が好きということがありましたが、子どもの頃から大自然の中で暮らすことにも憧れていました。小さい頃は、世界名作アニメに出てくるアルプスのような世界(笑)。その後、中高生時代になると富良野の大自然が舞台の連続ドラマに出てくるような暮らしです。このドラマは動物や獣医師とは直接関係ありませんが、北海道のような大自然の中で好きな動物と暮らすためにはどんな職業がいいかなと考えた結果、獣医師をめざそうと思い至りました。一時期は動物園の獣医師もいいなあと思ったこともありました。野生動物に憧れたのですね(笑)。
ドクターズ・ファイルの情報をスマートフォン・携帯からチェック!スマートフォン版では、GPS位置情報を利用した最寄りの病院探しができます。