関 健太郎 院長の独自取材記事

南大泉せき動物病院
(練馬区/武蔵関駅)
最終更新日: 2023/01/22

西武新宿線武蔵関駅と東伏見駅のほぼ中間に位置する「南大泉せき動物病院」。クリニック周辺は、石神井公園もあって、人も動物も暮らしやすい雰囲気の街だ。2016年3月に開院したばかりの真新しい院内で診療にあたるのは、院長の関健太郎先生。さわやかな笑顔と穏やかな人柄が魅力的な獣医師だ。腫瘍の治療とうさぎの診療に豊富な経験を持つ。「気軽に入りやすいクリニックにしたかった」との言葉どおり、クリニックの間口はガラス張りで、待合室も広くてかわいらしい造りとなっている。インタビューでは、診療ポリシーや今後の展望、意気込みなど、たっぷり語ってもらった。(取材日2016年3月16日)
散歩途中に、気軽に立ち寄れる動物病院を
新しくて、とてもきれいな院内ですね。こだわった点はありますか?

先日、開院したばかりです。散歩の途中に、気軽に立ち寄ってもらえるよう、かわいらしい雰囲気の院内にしました。間口は全面ガラス張りで、外から中が見えるようにしています。院内が見えないと扉を開けにくいですから。院内設備については、猫は犬と一緒の部屋だと、ニオイや音で、緊張して、何も食べなくなったりするので、犬と猫の入院室は分けています。また、健康診断に力を入れていますので、腹部のエコーだけでなく、心臓用のエコーのプローブも用意しています。
開院にあたって、この場所を選んだのはなぜですか?
まず、この地域の印象として、駅前は賑わいがありますが、少し歩くと、静かで、落ち着いた雰囲気になります。また、石神井公園もあって、人間も動物も、とても暮らしやすい街だろうなと感じます。実際に訪れてみると、犬の散歩をする若い家族もよく見かけますね。でも、この近くには、意外と動物病院があまりないようです。そんなときに、運良く、このテナントを使わせて頂けることになったので、開院するに至りました。来院している動物は、まだ日が浅いので、判断できない部分もありますが、やはり犬と猫、うさぎが多いようですね。
獣医師を志したきっかけについてお聞かせください。

小学2年の頃、うさぎを飼った経験があったからでしょうか。私の親が中学校の教師で、その学校で、飼育していたうさぎが産んだ子どもを1羽もらってきて飼い始めたんです。それからは、動物に関心を持って、亀、インコ、ハムスターなどを飼いました。それと、大学の獣医学部を舞台にした漫画を読んで、非常に面白かったので、獣医学部に進学したいと強く思うようになりました。小学6年には、獣医学部に進学すると決めていましたね。
学生時代は、どのようなことを学んだのですか?
北里大学獣医畜産学部に進学して、牛、豚などの家畜動物について学びました。そして、解剖学研究室に入って、動物の組織を採り、顕微鏡で見て、どこに異常があるか調べたりということをしていました。卒業論文のテーマはマウスと遺伝子についての研究です。ほぼ365日、仲間と一緒に過ごして楽しい学生生活でした。その時に生まれたばかりの猫を飼い始めて、ミルクをあげながら育てていたりしていましたよ。
腫瘍の治療とうさぎの診療経験が豊富なクリニック
勤務医となってから、どのような経験を積んできたのですか?

一般的な小動物の臨床を重ねながら、何か好きな分野を見つけたいと考えて経験を積んできました。千葉の動物病院で勤めていたときは、高齢の犬、猫、うさぎが多かったので、腫瘍の問題にぶつかることが何度もあったんです。それで、腫瘍について勉強しないといけないなと思い、熱心に取り組むようになりました。また、うさぎの治療も数多く経験しましたね。当時、うさぎを得意とする先生がいなかったので、診療経験を積んで先輩の立場になるにつれて、必然的にうさぎを診る機会も増えました。それを続けていると、さらにうさぎの治療を頼まれて、経験が増えていくという感じですね。先生の人数が多い病院でしたが、少しずつ信頼され、指名してもらえるようになったことは、うれしかったですし、大きな自信になりました。その分、プレッシャーもありますが、この動物のために何ができるのか、常に考えて治療にあたってきました。
診療ポリシーについてお聞かせください。
1つ目は、地域の飼い主さんに寄り添って、診療すること。時間外診療もできる範囲で受け付けます。急な診察を求める飼い主さんは多いですし、不安な気持ちもわかりますからね。24時間診療はできませんが、緊急の場合は留守電を入れて頂ければ、折り返すようにしています。当院で速やかに対応ができそうにないケースであれば、同じ練馬区内の動物救急センターで対応することもあります。2つ目は、納得してもらえるまで、わかりやすく説明すること。無理なことはしません。きちんと診断して、今の状況と、治療について、説明して、納得していただくことを心がけています。3つ目は、安心できる動物病院であり続けること。この街で、ずっとやっていくわけですから、飼い主さんと信頼関係を築き、安心して来ていただきたいです。些細なことだからどうしようかなと迷わずに、足を運んでもらえたらと思います。
具体的には、飼い主さんと、どうやって信頼関係を築いていくのですか?

できること、できないことを誠実にお伝えすることでしょうね。そして、やるからには、出し惜しみしないこと。腎不全の犬を治療したときは、一晩中つきっきりで、6回、7回と腹膜透析を行ったこともありました。精一杯、全力を尽くした結果が信頼につながると思います。千葉でお世話になった病院を辞める際、飼い主さんたちから、お花やお手紙を頂いたことは、とてもうれしく、今後、診療を続けていく上での糧となりました。
健康診断のきっかけ作りとして「お散歩カード」を発行
診療以外にも、力を入れて取り組んでいることがあるそうですね。

ペットフードのアドバイスを行っています。脂肪分が多いものを与えると皮膚が脂漏症になるなど、栄養の偏りが病気の原因になります。バランスの取れた手作りのごはんを用意するのが一番ですが、その手間を考えると、現実として難しいものがあります。今は、栄養バランスのとれた、ペットフードもありますので、うまく活用してほしいですね。また、トリミングに来てくれた飼い主さんあてに、「その後、いかがですか」とお手紙を書いています。ちょっとした、心づかいですが、信頼関係を作る上で、大事なことかなと考えています。また、お散歩カードもお渡ししています。お散歩の際、立ち寄ってもらうとスタンプを押して、スタンプがたまるとグッズのプレゼントや、健康診断10%オフなどの特典がつくものです。予防は力を入れてやっていきたいので、健康診断のきっかけとなればと考えています。
休日はどのように過ごされていますか?
家族と楽しく過ごしていますね。車が好きだったので、昔はラーメンを食べにドライブに行ったりもしていました。最近は、自分で料理することが楽しいです。料理しながら、ちょっとお酒を飲んだりするのが今の私にとって、幸せな時間です。ゴーヤが好物で、ゴーヤチャンプルを作るのですが、ビールと合うんですよね。
今後の展望についてお聞かせください。
いつも来てくれる方々の不安を解消するため、体制が整えば、休診日をなくしたいと考えています。あと、腫瘍など外科的な処置は以前の病院で携わってきて経験がありますので当院でもしていきたいですね。当院でできることを少しずつ増やしていくつもりです。また、このクリニックが、動物たちや飼い主さんたちのコミュニティとして、交流の場となるような工夫をしていきたいですね。
読者の方へメッセージをお願いします。

猫は年をとると、確実に腎機能が落ちます。猫は犬と比べて、病院にくる機会が少ないので、腎機能の低下に気づかないことが多いです。水を飲む量が増えたり、おしっこの量が増えるのも腎不全の症状の一つ。ちょっと様子が気になるときは、容器をお渡ししますので、猫を連れてこれなくても、おしっこだけお持ち頂ければ、検査できます。腎機能低下に早期に気づけば、ごはんに気を配るだけで、寿命が延びることもありますので、気にかけてあげて欲しいですね。また、セカンドオピニオンを求めて来られたり、新しい治療などの情報を求めて来られたりする方もいます。獣医師によって得手不得手な分野もありますし、動物にとって、もっと良い方法があるかもしれないので、いくつかの動物病院で診てもらうのはいいことだと思います。検査結果を持ってきてもらうだけでも構いませんので、気軽に来院して欲しいです。