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菊地 満帆 院長の独自取材記事

ファミーユどうぶつ病院

(八王子市/北八王子駅)

最終更新日: 2023/01/22

JR八高線北八王子駅から徒歩8分の「ファミーユどうぶつ病院」。八王子市で生まれ育った菊地満帆(みつほ)院長が2014年に開いた同院は犬、猫の診療をしており、夜間の救急診療も行う。めざすのは「ざっくばらんに相談できる動物病院」。菊地院長の穏やかな笑顔と語り口からは、その現実味が容易に想像できる。飼い主の生活背景や考えを聞き、相談しながら進める診療を続けることで、中には「親戚のよう」と話す飼い主も。院名の「ファミーユ」はフランス語で「家族」。ペットを家族のように思い診療していく決意から、院長自身も飼い主から家族のように思われるという、うれしい”副産物”も生まれた。診療やペットへの思いを聞いた。 (取材日2017年2月23日)

丁寧に診療することで、生き永らえる命もある

開院して間もなく3年。どんな動物病院をめざして診療に臨まれていますか?

飼い主さんがざっくばらんに相談できる動物病院でありたいと考えています。セミナーに参加したり、専門誌を読んだりして新しいの知識を取り入れ最善を尽くすことはもちろんですが、どこの獣医さんも勉強はしているでしょうから、技量に大差はないでしょう。それよりも、飼い主さんがペットの些細な変化を相談してくれることで治療に反映できることがあるので、相談しやすさが重要だと思います。良いか悪いかは別として、僕は話しやすそうに思われるみたいなんですね。

話しやすさは先生の笑顔からも想像されますね。診療時に意識していることはありますか?

今は当たり前かもしれませんが、上から言わないこと。時代もあったのか子どもの頃通っていた病院の先生は怖かったです。僕も必要なことはもちろんお伝えします。ただ同じ目線でお話しするよう心がけています。また、治療内容だけを見れば良いと思うものはあっても、それを飼い主さんが望んでいるかどうかは別です。来院頻度や費用のことも考えていくつかの方法を提案し、飼い主さんと相談しながら決めていくことが多いです。

夜間の救急診療にも対応しているそうですね。

ええ。通常の診療は夜の7時半までで、それ以降は携帯電話で緊急時のご連絡を受けています。夜間診療では私一人で対応していますので、できることには限界はありますが、救急の場合のみ、来院も受け付けています。大体、週に2回は電話が鳴りますね。病院の2階が自宅なので、緊急時にも対応しやすいんですよ。それに、入院しているペットのことが気になるんです。中には命が危ない子もいますから、なるべく様子を診てあげたい。丁寧に診療するかどうかでどれだけ生きられるかが変わることも多いのです。今後は、近隣に設備と人員が整った夜間診療をしてくれる病院ができているため、そういった病院とも連携していきたいです。

経験を積むうちに、仕事への責任を感じるように

ペットの健康のために、普段、飼い主にアドバイスしていることはありますか?

食事のことが多いですね。食事の内容によってコレステロールが高くなったり、膀胱結石ができやすくなったり、便がゆるくなったりするので。基本的にはドッグフードが望ましいのですが、それ以外のものもあげたくなっちゃうのが飼い主さんの心理だと思うので、与えて良いものや悪いもの、与える分量についてもこまかくお伝えします。それと、歯周病が様々な病気の発症リスクを高めますから、デンタルケアはなるべくやってほしいですね。

先生ご自身のことについてお聞きします。獣医をめざしたのはやはり動物が好きだったから?

そうですね。小学1年の頃に獣医が登場するテレビ番組を見てかっこいいなと憧れました。その番組をきっかけに祖母に犬が欲しいとねだったら買ってくれたんです。トイプードルとチンの雑種のメスで、アンちゃんと名付けました。大好きなアンちゃんとは毎日遊んでいたのを覚えています。そんなアンちゃんも怪我や病気になることもありました。その時に動物を自分で治せたらいいなとよく感じることがありました。それ以来、ぼんやりと獣医をめざそうと思っていましたが、高校3年の頃にアンちゃんが死んだことで、気持ちが固まり、日本獣医生命科学大学に進みました。今は犬と猫を飼っています。

獣医になってからの日々はいかがでしたか?

僕は大学卒業後、同じ市内の動物病院に勤務し、東京農工大学で研修医をした後、2014年にここで開業しました。ほぼ休みなく仕事をしていたので最初は大変でした。しかし、そんな中でも「自分が診ないとこの子は助けられないんだ」と強く思えるようになり、時間と手間をかけて診療しよう、小さな変化を見逃さないようにしようと自発的に考え、ペットや飼い主さんに向き合うようになりました。

ペットは家族と同じ、休まなくても良くなれば本望

印象に残っている診療エピソードがございましたらお聞かせください。

以前、ミーちゃんという猫を飼っている60から70歳くらいの女性の方が来院されました。最初はご飯が食べられていたので週に1度の来院で良かったのですが、段々と状態が悪くなって来院が週2に増え、最終的には自力で食べられなくなりました。飼い主さんは股関節が悪く、車で40分もかけて通っていただいていたのですが、「自分の脚は後でいいから」と、毎日通うように。ミーちゃんは数ヵ月ほど頑張った後に息を引き取りました。飼い主さんはミーちゃんが亡くなった後、「ここまで一緒に頑張ってくれるなんて、(先生は)親戚みたい」と言われて、喜んでいるようでした。とてもうれしかったですね。飼い主さんは後に人工関節を入れて、今も新たに飼うペットについて僕に相談されたりしているんですよ。

夜間も診療していてお忙しいことと思いますが、お休みはとられていますか?

休診日でも継続来院の必要があるケースもあります。だから休診日に飼い主さんとペットがいらっしゃったり、また入院中の子のお世話もあります。そんなこともあって、丸一日休みの日はほとんどないですね。でも、今は働けていて幸せ。独身で子どももいないですし、これといった趣味もないので、自分が休まないでペットが少しでも良くなるのであれば本望です。自分にとってペットは家族と同じで、そんなふうに言われる飼い主さんもたくさんいらっしゃいます。以前、実家でペットの犬が階段から下りようとして父とぶつかりそうになった時、思わず「この子のほうが大切なんだから」と言ってしまいました。父から大層怒られましたが(笑)。でも、ペットはそのくらい大切な存在です。

最後に、ペットを飼っている読者にメッセージをお願いします。

人間と同じように、犬や猫にも健康診断を受けさせることをお勧めしています。症状がなくても病気になっているケースは実はたくさんあり、早期に見つけて対処することでペットが生き永らえる可能性も高くなります。若い頃は年に1回、6、7歳以降になると年に2回の受診が望ましいでしょう。健康診断のことも含めて、お気軽にご相談ください。

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