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穐山 遥 院長の独自取材記事

トリトン動物病院

(台東区/田原町駅)

最終更新日: 2026/07/13

長年地域のペットたちの健康を支えてきた「トリトン動物病院」。2026年1月、創業者である父から息子・穐山遥(あきやま・はるか)先生へとバトンが渡され、新たな章が幕を開けた。「ここが実家で、両親の診療を見ながら育ったので、獣医師以外の進路は考えられませんでした。この仕事をつらいと思ったことがなく、天職だと思っています」と語る穐山院長は、高度医療や一次診療の現場を経験するとともに、動物病院運営も経験するなど、継承のために周到にキャリアを設計してきた。先代からの姿勢を守りながら、新しく生まれ変わりつつある同院と、ここでの診療にかける想いを聞いた。(取材日2026年6月23日)

生まれ育った場を守る、経験を重ね地域への想いを形に

まずは継承に至られた経緯を教えてください。

私の実家でもあるこの動物病院は、両親が長年にわたり地域の皆さんと向き合いながら育ててきた場所です。以前からここで診療に携わりたいと考えていたこともあり、2026年1月に継承し、新たな一歩を踏み出しました。現在も父が時折診療を手伝ってくれており、これまで大切にしてきた温かな雰囲気を受け継ぎながら、新しい体制で診療を行っています。飼い主さんの中には、子どもの頃から私を知ってくださっている方も多く、「大きくなったね」と声をかけていただくこともあります。そうした地域とのつながりを大切にしながら、両親が築いてきた信頼を受け継ぎ、私自身の診療にも少しずつ親しんでいただけるようになりました。これからも、安心して何でも相談できる身近な動物病院として、地域の皆さんと動物たちに寄り添っていきたいと思っています。

これまでの歩みについて教えてください。

大学卒業後は、東京大学大学院農学生命科学研究科附属動物医療センターで外科研修医として研鑽を積みました。さまざまな症例に向き合い、専門的な診療を学んだ経験は、現在の診療の礎となっています。その後は、地域の一次診療を担う動物病院に6年間勤務し、日常診療から予防医療まで幅広く経験を重ねました。さらに、複数の動物病院を展開するグループでは分院長を務め、診療だけでなく動物病院運営についても学びました。大学時代、恩師から「地域医療を担うなら、まずは外の世界でさまざまな経験を積んでから戻りなさい」と繰り返し教えられました。その言葉を胸に一歩ずつ経験を重ねてきたことが、今の診療につながっています。専門的な知識と地域医療で培った経験を生かし、飼い主さんと動物たちにとって最善の選択を一緒に考えられる存在でありたいですね。

大学の付属動物病院では外科を専門に経験されたのですね。

手術そのものへの憧れというより、将来、地域の動物病院で診療を担う上で必要な力を身につけたいという思いから外科を選びました。地域の動物病院と大学付属の動物病院では、それぞれ担う役割が異なります。だからこそ、「この子にとって最善の治療は何か」「どのタイミングで専門的な医療につなぐべきか」を自ら判断できる獣医師でありたいと考えていました。そのためには、高度医療の現場を知り、専門的な診療への理解を深めることが欠かせないと思ったのです。地域のかかりつけ医は、すべてを抱え込むのではなく、必要に応じて専門施設と連携しながら、動物と飼い主さんにとって最善の選択へ導く存在だと考えています。そこでの経験は、その判断力と視野を養う大切な時間となりました。

飼い主と歩むために、一つ一つの理解を大切に

診療で大切にしていることを教えてください。

飼い主さんに、その子の状態を深く理解していただくことを大切にしています。病気を治療するのは獣医師ですが、その子と最も長い時間を過ごし、小さな変化に気づけるのは飼い主さんです。だからこそ、私たちは同じ方向を向いて治療に取り組むパートナーでありたいと考えています。診断結果だけでなく、病気の状態や今後の見通しまで、わかりやすくお伝えするよう心がけています。専門用語はなるべく使わず、診療室のホワイトボードに図を描きながらご説明することもあります。診察に少し時間を頂くこともありますが、飼い主さんが安心して治療に向き合えるよう、一つ一つの対話を大切にしていきたいと思っています。

丁寧な説明へのこだわりはどのようにして生まれたのですか。

大学付属の動物病院で、重い病気と向き合う多くのペットと、そのご家族に接した経験が、今の診療につながっています。例えば、高齢で麻酔の負担も考えなければならない場面では、「手術をするかどうか」だけでは安心して決断できません。病気の特徴や治療の選択肢、それぞれのメリットやリスクを丁寧にお伝えすることで、「体への負担が少ない方法を選び、この子との時間を大切にしたい」と、ご自身で納得して選択される方もいらっしゃいました。私が大切にしているのは、獣医学的な正解を押しつけることではなく、飼い主さんが十分に理解し、納得した上で治療を選べるようお手伝いすることです。だからこそ、選択肢をわかりやすくお伝えし、一緒に最善の道を考えることを大切にしています。

継承にあたり、大切に受け継いだことと、新たに取り組まれたことを教えてください。

地域に寄り添う、かかりつけ動物病院としての姿勢は、これからも大切にしていきたいと思っています。その一方で、動物たちが安心して治療を受けられる環境づくりのため、医療設備も充実させました。今回のリニューアルでは、動物用ICU(集中治療室)を刷新し、新たに消化管内視鏡を導入しました。ICUは温度や湿度も管理でき、呼吸や体温管理が重要な動物の診療にも役立っています。また、内視鏡の導入により、誤飲にも体への負担が少ない治療が可能になりました。状態によっては開腹手術を避けて異物を取り除けるため、日帰りや短期間の入院で治療を終えられる場合もあります。検査機器も更新し、院内で迅速に診断できる体制を整えました。これからも、長年親しまれてきた安心感はそのままに、新しい医療を取り入れながら、動物たちを支えていきたいです。

「困ったら相談しよう」と思える身近な存在をめざして

元気なうちから動物病院を受診することは、なぜ大切なのでしょうか。

私は、予防診療の一番の役割は、その子の「いつもの姿」を知ることだと考えています。元気な時こそ、普段の様子や性格、ご自宅での過ごし方をお聞きできます。その積み重ねが、いざという時に小さな変化に気づき、適切な治療につながる大切な手がかりになります。例えば、足を触られるのを嫌がる子も、それがもともとの性格なのか、痛みのサインなのかは、普段の様子を知っているからこそ判断できます。健康診断も「異常がなかった」で終わるものではなく、その子らしい健康な状態を知る大切な機会です。最近は、ペットとの旅行や保護犬・保護猫を迎えるご家庭が増え、感染症への備えもより重要になっています。ワクチン接種や予防薬はもちろん、その子の暮らしに合わせて健康を守ることも、かかりつけ医の大切な役割だと考えています。

今後の展望を教えてください。

将来的には、休診日のない動物病院をめざしたいと考えています。動物たちの体調は曜日を選びません。だからこそ、飼い主さんが「困った時はここに相談しよう」と安心して頼れる存在でありたいと思っています。その実現にはスタッフの充実も欠かせませんので、一歩ずつ環境を整えていきたいですね。また、必要に応じて高度な外科や専門診療を担う獣医師と連携し、地域でも専門的な医療を受けられる体制を築いていきたいと考えています。かかりつけ医として身近な存在でありながら、必要な時には専門性の高い医療にもつなげられる動物病院をめざし、動物たちと飼い主さんを支え続けたいと思っています。

ひと言メッセージをお願いします。

動物病院は「具合が悪くなったら行く場所」だけではありません。食欲がない、トイレの失敗が増えた、爪を切ってほしい、お留守番が苦手など、どんな小さなことでも気軽にご相談いただければと思っています。インターネットにはさまざまな情報がありますが、中には正しい判断が難しいものもあります。迷った時には、「まずはトリトン先生に聞いてみよう」と思い出していただけるような存在でありたいですね。エキゾチックアニマルを含め、幅広いご相談に対応できる体制を整えています。父は長年、地域の皆さんから「トリトン先生」と親しまれてきました。私はまだ「若先生」ですが、いつか「2代目・トリトン先生」として安心して頼っていただけるよう、一つ一つの出会いを大切に歩んでいきたいと思っています。

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