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内村 祐介 院長、諌山 紀子 副院長の独自取材記事
上野の森どうぶつ病院
(台東区/根津駅)
最終更新日: 2023/03/28
根津駅から言問通りを上がった所にある「上野の森どうぶつ病院」。受付カウンターの奥に飾られた看板犬&猫の巨大な写真が印象的だ。待合室には季節ごとのイベントがあり、現在は飼い主が書いた動物川柳が張られていた。一つ一つ読んでいると待ち時間も楽しい。「散歩のついでに来られるようにとの思いで開業しましたが、感染症の影響でそれも難しくなりました。ただ予約制であっても何か気になることがあれば気軽に相談していただきたいですね」と話す内村祐介院長。内村院長は消化器疾患や肝臓疾患、目や皮膚の疾患など幅広く診療しており、副院長の諌山紀子先生は心臓病が専門だ。心臓疾患について診察から外科手術まで一貫して診られるのも同院の強みの一つ。クリニックの特徴などについて2人に話を聞いた。(取材日2023年2月1日)
休診日なし夜間救急にも対応。いつでも相談できる体制
ガラス張りで入りやすい雰囲気ですね。
【内村院長】ここは上野の公園も近く、お散歩のついでに気軽に立ち寄れる動物病院というコンセプトで開業しました。動物病院は入りづらいと感じる飼い主さんも多くおられますので、外から院内が見えるようにして気軽に入りやすいようにしたのです。ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で予約制を取らざるを得なくなりました。ただ、予約制であっても、何か気になることがあればすぐに相談していただきたいと思っています。火曜日以外の平日は夜8時までで休診日はありません。年末年始も診療していますし、夜間救急にも対応しています。できるだけ受診のハードルを低くして、いつでも相談できる体制を整えています。 【諌山副院長】予約制にしたらゆっくりと話ができるようになった、待ち時間がなくて助かる、などと話される飼い主さんも多いですね。
最近多い疾患や気になる症状はありますか。
【内村院長】当院では消化器疾患や肝臓疾患、呼吸器疾患から血液系の疾患、皮膚疾患、眼科疾患など幅広く診療しています。どのような症状でも対応していますが、トリミングも実施しているので皮膚疾患はよく相談されます。最近、比較的多いのは下痢が続く低アルブミン血症と呼ばれるおなかの疾患や、できものなどの腫瘍疾患でしょうか。動物たちも高齢化が進み腫瘍に悩まされるケースも増えてきています。当院では手術を行うのみならず、リンパ腫や手術後の抗がん剤治療なども行っています。さまざまな治療法に対応するため、抗がん剤の種類は数多くそろっています。副院長が心臓疾患を専門にしていますので、心臓疾患で受診なさるケースも多いですね。なかなか症状が改善しない、解決できない、余命宣告されたなどで当院に相談に来たと話される飼い主さんもおられます。
副院長はなぜ心臓疾患を専門になさったのでしょうか。
【諌山副院長】学生時代に心臓の悪い犬を飼っていたのがきっかけで心臓外科に興味を持ち専門的に学びたいと思いました。ただ大学卒業時に恩師から「全身を診られなければ心臓は診られない」と言われました。そのため心臓外科の研究室を出た後、大学病院で内科の研修医としてさまざまな分野を学び、その後、心臓外科のより詳しい知識を修得するため東京女子医科大学大学院の心臓血管外科に進み博士号を取得しました。学生時代には2度ほどワシントン州立大学に留学したこともあり、そこでは専門的な循環器科、麻酔科、救急救命科など日本ではまだ発展していない循環器に関わる治療を学ぶことができました。その後、日本獣医循環器学会動物循環器認定医の資格も取得し心臓疾患について専門的に診察しています。
心臓疾患の診察から手術、術後のフォローまで対応可能
動物の心臓疾患にはどのようなものがあるのですか。
【諌山副院長】圧倒的に多いのが犬の僧帽弁閉鎖不全症です。高齢の小型犬に多く、発症率は9割に上るといわれています。初期では症状はほとんどありませんが、進行すると咳や息苦しさなどの症状が出てきます。こうした症状に気づいたら、すぐに受診してください。当院では症状に応じて飲み薬や点滴などの内科的治療に加えて、外科手術による治療を行っています。犬の心臓外科手術を執刀できる獣医師は少なく、行える施設も限られています。手術を行える施設でも手術の時だけその獣医師が来て執刀するケースも多いようです。当院では最初の診察から手術まですべてここで行っています。手術後に何か体調不良が起きても、それが心臓手術に影響されてのことか、あるいは一般的な疾患なのか、すぐに診察でき適切に対処できます。
診療の際、どんなことを心がけていますか。
【内村院長】ペットのご自宅での様子など詳しくお話を聞くようにしています。飼い主さんにとっては些細なことでも実はそれが疾患の大きなヒントになる場合もあります。治療法も一つのものだけを提示するのではなく、複数の選択肢をお話しして納得して選択していただけるよう配慮しています。 【諌山副院長】飼い主さんとペット、それぞれのライフスタイルに合わせた治療を行うようにしています。処方する薬の量や種類、通院の頻度など飼い主さんとしっかり話し合って無理なく治療を続けられようにしています。より良いと考える治療の提案は当然ですが、飼い主さんやペットが対応できない範囲のものではストレスがかかってしまいます。無理強いはせず、飼い主さんとペット、そして私たち獣医師が協力し合って病気と闘っていきたいと考えています。
こちらにはお二人以外の獣医師も診察しているのですね。
【内村院長】私たちの他に4人在籍しています。これまで各獣医師が異なる症例を診てきていますのでそれだけ経験値も高く、見逃すことなく疾患を発見できるように努めています。治療法もディスカッションすることでより良い方法の提案につながっています。飼い主さんとの相性も大切ですので、その方に合った獣医師が担当することも可能です。腕の良い獣医師がその飼い主さんにとって最良かどうかはわかりません。いくら腕が良くても飼い主さんが何も相談できない、話しづらい、と感じていたら、それはその方にとって良い獣医師とはいえないでしょう。獣医師と飼い主さんとの信頼関係はとても重要です。動物たちが獣医師をどう思っているかはよくわかりませんが(笑)、それでも飼い主さんの緊張はペットにも伝わります。一般的に、診察中に笑うことはあまりないと思いますが、当院では診察室から楽しそうな笑い声が聞こえてくることも多いんですよ。
動物と飼い主中心の最良の医療をめざす
こちらではセカンドオピニオンも行っていると伺いました。
【内村院長】以前の病院で受けた治療の説明が理解できなかった、十分説明がないまま治療が進んでしまいどんな症状なのか、どんな治療を受けているのかわからない、といった不安や疑問を抱えた飼い主さんがいらっしゃいます。そういった飼い主さんには時間をかけて丁寧に説明しています。セカンドオピニオンで来られた場合、また元の病院に戻る場合もありますし、当院での診療を希望なさる場合などさまざまです。より専門的な医療機関のほうが良いと判断した場合はすぐに適切な病院を紹介しています。一人の獣医師、一つの動物病院でできることには限界がありますので、連携する動物病院と協力しながら、より良い獣医療につなげています。
診療以外のいろいろなサービスも提供しているそうですね。
【内村院長】はい。ペットホテルやトリミングサービスも行っています。ペットホテルでは体調が悪い子を昼間だけ預かるケースもあります。トリミング中に、皮膚病や耳の汚れなどに気づくこともあり、病気の早期発見にも役立っています。特に年齢や病気で他の施設が利用できなくなってしまった場合に当院のトリミングサービスをご利用いただくことも多くあります。また、トリマーによるお手入れ教室やシャンプー教室、しつけ教室なども行っています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いいたします。
【内村院長】当院では患者である動物と飼い主さんを中心とした獣医療の実現をめざしています。そのためいずれもっと広い場所で、医療から生活グッズ関連までペットのことならすべてワンストップで完結できる施設を作りたいと考えています。日常で何か不安なこと、わからないことがあればどのようなことでも気軽に相談に来てください。今の病院での治療に疑問や不安がある場合もセカンドオピニオンを受けに来てください。それぞれの状態に即した最も適切な治療を見つけていただきたいと思っていますので、遠慮せずにご連絡ください。
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