京浜急行「立会川」駅、JR「大森」駅より歩くこと10分。桜新道沿い鈴ケ森小学校斜向かいに「たなかじろう動物病院」はある。院内は3つのフロアで構成されており、一階が診察室、二階がトリミング室、そして三階が手術室と犬舎・猫舎とそれぞれ分けられ、機能的な作りになっている。出迎えてくれたのは、爽やかな笑顔と快活な口調が印象的な田中二郎院長。「自分の理想とする治療を押し付けず、飼い主さんと話しながら最善の方法を探りたいんです」と話す田中院長は、飼い主のライフスタイルに合わせた治療でなければ続かないという持論のもと、診療では飼い主との対話を大切にしているという。地域の小学校のPTA会長も勤め、「この土地でずっと医院を続けていきたい」と語る田中院長に、地域への思い入れや治療のこだわりなどたっぷり語っていただいた。
(取材日2013年4月26日)
―動物が抱えるトラブルで最近多いものは何ですか?
歯周病ですね。動物も長生きになり、また歯磨きの習慣も定着していないので、人間と同じように歯周病になる子が増えてきました。動物によってかかりやすい子とそうでない子がいるのはどうしてかと聞かれることがあるんですが、体質と生活習慣が関与しているのではないかと考えています。例えば、遅い時間に食べさせていると食事から睡眠までの時間が短いので、朝まで口腔内に食べ物が残っているのかもしれません。人間と違って、動物は自分で症状を訴えることができませんから、そういった細かな生活習慣について話してもらえると、診療がスムーズになることが多いですね。
―歯周病の治療はどんなことを行いますか?
やはり人間の歯と同じように定期的に歯石取り、いわゆる、ディープクリーニングをする必要があります。しかし、しっかりと歯周ポケットの歯石までを取ろうとすると、痛みを伴いますし、動物は人間と違ってじっとしていられませんから、麻酔をかけた上で行うことになります。しかし、飼い主さんとしては「麻酔をかけてまで……」と思うこともあるようです。中には麻酔なしで行うクリニックもあるとは聞いています。でもそれでは表面の歯石しか取れないため、いくらやっても歯周病の状態は改善しないんです。必要であれば麻酔を使ってしっかりクリーニングすることが大切です。歯周病は口腔内だけの問題ではありません。全身に悪さをする重大な病気です。せっかく動物の口の中にまで気を配っているのですから、正しい知識を持っていただきたいと思いますね。
―動物病院は、敷居が高いと思っている方も多いようですが。
ええ。その理由の一つが、費用だと思います。動物病院は費用が高いと思われがちですが、実際にはそんなことはないんですよ。最近は動物用の保険に加入する方も増えてきており、以前よりは受診しやすい環境が整ってきていると思います。せっかく加入したのだからということで、ちょっとしたことでも来てくれる飼い主さんが増えましたね。そのおかげで、重症になる前に病気を見つけられたり、治療を開始できるようになりました。動物の将来のことを考えると加入しておいていいのではないかと思います。
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