西武新宿線田無駅から車で5分。住宅街になじみながらも目を引く明るいイエローの建物が「エルザ動物小鳥の病院」だ。30年以上、この地で診療してきた院長の菅又恒子先生は、自身も猫10匹、犬2匹の飼い主である。つい最近まで、カラスや烏骨鶏も飼っていたそうだが、ほとんどが保護されたり誰かが飼えなくなったりしたものだと言う。移転前の動物病院には、野生動物のリハビリスペースもあったそうで、ペットでも野生でもそこに注ぐ愛情には並々ならぬものがありそうだ。そんな菅又先生の動物への想い、診療へのこだわりについてじっくりと聞いた。
(取材日2016年8月10日)
―こちらは「動物」と「小鳥」の病院なのですね。
鳥を診ることにはこだわっていたので、「小鳥」の文字は院名にあえて入れたんです。患者さんで一番多いのは猫で、全体の45%くらいでしょうか。比較的遠方からも患者さんに来ていただいています。あとは犬が35%、鳥が20%ほどの比率です。そのほか、ハムスターやうさぎなどの小動物も診ます。鳥はセキセイインコ、オカメインコ、文鳥、コザクラインコなどが多いですね。フクロウやコンゴウインコなど大型のものは、小鳥とはかかる病気も違ってくるので、専門病院に行っていただいています。
―「小鳥」へのこだわりは、どういったことからですか?
中学生の頃、ジュウシマツを飼っていましたが、具合が悪くなった時に診てもらえる病院が60年代当時はなかったんですね。なんとか治してあげたくて、鳥の飼い方の本などを片っ端から読み漁りました。2ヵ月ほどの闘病を経て、結局亡くなってしまいましたが、おなかが腫れていたので、今から思えばおそらく慢性の卵管炎だったかと思います。その後、やはり飼っていたカナリヤも具合が悪くなりましたが、ちょうど鳥かごにペンキを塗っていたので、これも今から思えば鉛中毒だったのでしょう。その時、動物病院に連れていっても、犬猫しかわからないといわれ、自分で何とかするしかないと思いました。そして、鳥を診られる医師になろうと強く思ったんです。もっとも先日、小学校のクラス会があって友人らが言うには、小学生の頃から獣医になるんだと公言していたらしいですね(笑)。とにかく、進路を決める際にも迷わず獣医学部を選びました。
―どういった想いで開業されたんですか。
昔から動物をペットと野良で分けて考えたことはなく、私にとってはどちらも同等の存在でした。飼い主さんがいないからといって区別すべきではないと思い、接しています。しかし、一方で、ペットの場合は飼い主さんが納得できるような治療を受けられるようにも心がけています。治療費についてもあまり高過ぎては診療が受けにくいのではないか、と考えました。こうしたさまざまな面で自分がいいと思うような診療を行うために開業をすることになりました。私にとって、開業は目的ではなく手段でした。
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